2018年10月25日に行われた、キヤノン株式会社2018年12月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:キヤノン株式会社 代表取締役副社長/CFO 田中稔三 氏

2018年3Q実績のポイント

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田中稔三氏:お待たせいたしました。キヤノン株式会社の2018年12月期第3四半期、7~9月の連結決算がまとまりましたので、その概況について説明させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

この第3四半期、7~9月の業績のサマリーです。第3四半期の世界経済は、米国につきましては良好な雇用環境を背景に、堅調に推移しました。しかし欧州は、輸出が弱含みで推移し、新興国も現地通貨の下落等々で成長が鈍化した結果、全体では緩やかな回復にとどまっております。

こうした中、当社の第3四半期は、複合機やレーザープリンターなどのオフィス機器につきましては、カラーシフトによる堅調な需要に加え、当社新製品の耐久性や保有コストの優位性が評価され、販売を伸ばしながら対前年で増収増益を達成しました。

一方、レンズ交換式カメラにつきましては、当社を含めた各社のフルサイズミラーレスへの参入発表が、ハイアマ製品の買い控えにつながったことや、新たな需要獲得を狙い、掘り起こしを図った若年層、女性の需要に一服感が見られたことから、売上は減収となりました。また、有機EL関連製品に関しても、パネルメーカーの投資が一巡していることにより、過熱気味だった昨年と比べて売上が減少しております。

2018年 全社PL(3Q)

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利益につきましては、売上減少の影響を受けたものの、プロダクトミックスの好転、あるいは生産効率の向上によって、売上総利益率を上昇させることができました。今年度より、サービスの売上原価を独立表示することに伴い、従来は販売管理費に計上していたサービスコストの一部を売上原価に組み替えております。この影響を除いた売上総利益率は49.3パーセントで、前年から0.8パーセント、着実に上回っております。

以上より、この第3四半期の売上は対前年6.8パーセント減の9,265億円。営業利益につきましては、対前年12.4パーセント減の683億円となっております。

2018年 セグメント別PL(3Q)

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いまお話しした第3四半期における、ビジネスユニット別の売上の状況です。オフィスビジネスユニットでは、複合機が本体の高耐久性や、個人認証とプリント管理などのソリューション機能を、業界で唯一標準装備している優位性が高く評価されています。

下期からは、外部のクラウドサービスとの連携を可能とするソリューションの提供を開始したことで、複合機においても高まるクラウドサービスへの需要をとらえて、カラー機を中心に販売を大きく伸ばしております。

レーザープリンターにつきましては、本体はカラーMFPを牽引役として前年を大きく上回る台数を販売し、消耗品の販売についても堅調に推移しております。以上の結果、オフィスビジネスユニットは対前年0.2パーセントの増収でございました。

イメージングシステムビジネスユニットですが、レンズ交換式カメラは、当社が進めるフルラインナップ戦略の一環としまして、ユーザーの裾野拡大に向けて、エントリーモデル3機種を今年も投入しております。

中でも「EOS Kiss M」は、上位機種と同等の撮影機能を搭載し、初心者でも使いやすい操作性を実現したことで順調に販売を伸ばし、ミラーレスでの当社のシェア拡大に大きく貢献しております。

こうした中、当社を含めた各社が、フルサイズミラーレスへの参入を相次いで発表したことで、とくにハイアマ製品への一時的な買い控えにつながっております。加えて、新たな需要獲得を狙い、掘り起こしを図っている若年層、女性の需要に一服感が見られ、売上が減少しました。以上の結果、このイメージングシステムビジネスユニットの売上高は、対前年では15.6パーセントの減収です。

メディカルシステムビジネスユニットでは、アメリカや新興国を中心に海外市場での拡大が続く中、当社におきましても、MRIや超音波診断装置の新製品が牽引役となり、海外で売上を伸ばしております。

一方の国内市場では、この医療業界の環境変化を受けて、高額な装置を中心に投資が先送りされた影響で、売上は当四半期では減少しています。しかし、第4四半期に向けて受注は回復してきております。以上の結果、メディカルシステムビジネスユニットの売上高は、対前年で4.0パーセントの減収です。

産業機器・その他ビジネスユニットです。半導体の露光装置は、製品の高い耐久性と迅速かつきめ細かなサポート体制によって、旺盛な需要を取り込み、販売台数を大きく伸ばしています。

一方、FPDの露光装置、あるいは有機EL蒸着の装置は、高い水準にあった昨年と比較しますと減少しております。以上の結果、産業機器・その他ビジネスユニットの売上高は、対前年で8.8パーセントの減収となりました。

2018年最新見通しのポイント

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2018年の通期の業績見通しです。まず前提条件ですが、世界経済につきましては、米国を中心に回復基調が続くものの、米国金利の引き上げを背景に、新興国経済の成長鈍化リスクは高まってきております。

また、米中の貿易摩擦が激しさを増しております。先日、IMFが発表しました世界経済の見通しでは、世界全体のGDPの伸び率が引き下げられるなど、先行きに対する不透明感は増加しています。その中での為替レートの前提ですが、前回の水準を据え置いて、ドルが110円、ユーロは130円としました。

2018年 セグメント別PL(年間)

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通期の業績のサマリーです。イメージングシステムですが、第3四半期での事情で、レンズ交換式カメラの出荷を絞り込んでおります。その影響が年間でも残りますが、オフィスやメディカルは好調に推移している新製品の売上をさらに伸ばすことで、増収を確保する計画です。また、産業機器・その他は、半導体露光装置が販売台数を大きく伸ばすことで、前年を上回る売上を見込んでおります。

カメラの一時的な減少を他の事業でカバーすることにより、全体の売上を前年から微減収にとどめる見込みです。

収益性の面では、このプロダクトミックスの改善や、徹底した原価低減に加え、もう一段の経費削減に取り組んで、前年を上回る利益を確保することを目指してまいります。なお、従来は販売管理費に計上していたサービスコストの一部を、売上原価に組み替えた影響を除きますと、売上総利益率でも、前年の水準は上回れる予定です。

前回の見通しと比べて、レンズ交換式カメラが、エントリーモデルを中心に市場が想定を上回って縮小していることを踏まえて、今回は売上・利益ともに見直しております。

産業機器・その他につきましては、メモリーメーカーの投資の一部先送りや、有機EL蒸着装置の出荷の期ズレにより、売上を引き下げております。しかし、露光装置の量産効果、あるいは有機EL蒸着装置の生産習熟度の向上による原価低減が計画以上に進展したことから、利益につきましては据え置いております。

2018年 全社PL(年間)対前回

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以上の結果、全社では売上を1,200億円、営業利益を430億円に引き下げております。外部環境につきましては、米中の貿易摩擦が激化するなど、先行きへの不透明感が増しています。年末商戦に向けて、これまでに投入してきた新製品の一層の拡販を図るとともに、グループ一丸となって収益性をもう一段高め、2期連続の増益を目指していきたいと考えております。

オフィス(複合機)

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今年12月期のビジネスユニット別の売上の状況です。オフィスビジネスユニットでは、複合機はこれまでの次世代カラー機のラインナップに、今月から新たにモノクロ高速機の新製品を加えました。

強化されたラインナップを活かしながら、外部クラウドとの連携によってソリューション需要も取り込んで販売を加速させ、複合機全体では前年を上回る販売台数を目指していきたいと考えております。

オフィス(レーザープリンター)

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レーザープリンターにつきましては、省スペースや省電力の面で差別化されている新製品が、順調に販売を伸ばしています。新製品の販売構成比の上昇に伴って、消耗品の売上も安定して伸びており、今後も収益性の向上につなげていきたいと考えております。

以上より、オフィスビジネスユニットは、対前年0.7パーセントの増収となる見通しです。

イメージングシステム(カメラ)

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イメージングシステムビジネスユニットです。レンズ交換式カメラは、エントリーユーザーの購入が想定したほど進んでいないことを踏まえ、市場規模の前提を見直すとともに、当社の販売計画につきましても、従来の550万台から510万台へと下方修正します。市場のシェアにつきましては、50パーセント近くまで高まる見通しです。

とくに成長領域のミラーレスカメラは、当社初となるフルサイズ新製品「EOS R」をラインナップに加えまして、拡販を図ってまいります。ちょうど日本での発売は今日(10月25日)です。この新製品は、マウントを一新することで今まで以上に光を多く取り込み、また歪みを低減するなど、光学性能を大幅に向上させた戦略性機種です。こうしたラインナップの強化によって、ミラーレスカメラの販売をもう一段加速させていきたいと考えています。

以上より、カメラの販売計画の見直しを踏まえまして、イメージングシステムビジネスユニットの売上高は、対前年で8.5パーセントの減収となる見通しです。

メディカルシステム

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メディカルシステムビジネスユニットですが、超音波診断装置やX線の血管撮影装置等々は、順調に販売を伸ばしている新製品の認知度をさらに高め、販売につなげたいと考えています。

とくにこの第4四半期は、欧米でのメディカル商品の商戦期にあたります。年内に海外で開催予定の大規模な業界展示会も活用しながら、大型商談の獲得につなげていきたいと考えております。

以上より、メディカルシステムビジネスユニットの売上高は、対前年1.6パーセントの増収となる見込みです。

産業機器その他

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産業機器・その他ビジネスユニットです。半導体の露光装置は、一部のメモリーメーカーの投資先送りの影響を受けておりますが、底堅い半導体需要に支えられ、当社の販売台数は対前年でおよそ5割増となる見込みです。

さらに、このネットワークカメラにつきましては、引き続き市場の拡大が続く中で、本体や映像解析ソフトのラインナップを強化することに加え、クラウド対応も図りながら売上を伸ばして、年間でも2桁パーセントの成長を実現してまいりたいと考えております。

以上より、産業機器・その他ビジネスユニットの売上高は、対前年1.8パーセントの増収となる見込みです。

私からの説明は以上です。どうもご清聴ありがとうございました。

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