4. 6月支給分から年金増えるも「実質目減り」 天引きされるお金は年金通知書で要確認!

公的年金は賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。2025年1月、厚生労働省は2025年度(令和7年度)の年金額を、前年度より1.9%引き上げることを公表しました。

3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。

※マクロ調整スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ

またシニアの多くは、下記の税や社会保険料を老齢年金からの天引きで納めています。

年金から天引きされる税や社保が記載される「年金振込通知書」

年金から天引きされる税や社保が記載される「年金振込通知書」

出所:日本年金機構「年金振込通知書

  • 介護保険料
  • 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
  • 個人住民税および森林環境税
  • 所得税および復興特別所得税

年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますが、年金は「額面通りにはもらえない」点は意外な盲点かもしれません。

5. まとめにかえて

公的年金の支給日は原則として偶数月の15日です。ただし、15日が土日・祝祭日の場合は、直前の平日に前倒しされます。

年金は前月までの2カ月分がまとめて後払いされるしくみのため、現役時代とは家計管理のテンポが変わる可能性もありますね。

年金から天引きされる税や社会保険料は、原則として前年度の所得に応じて決まります。そのため年金見込み額のように、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で事前に正確な金額を把握することはできません。

実際に確定された振込金額や天引き内容は、6月の支給に合わせて日本年金機構から届く「年金振込通知書(先述)」で確認ができます。

参考資料

 

吉沢 良子