2025年は「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となる年。長寿化がすすむいま、現役世代にとって老後のためのお金の準備は大切な課題と言えるでしょう。
株式会社AlbaLinkが2025年4月4日に公表した「老後の資金対策に関する意識調査(※)」の結果では、「老後の年金について感じること」として、以下のような回答が寄せられています。
- 1位:十分な年金をもらえない(37.8%)
- 2位:物価が上昇する(33.4%)
- 3位:医療費が高額になる(31.0%)
また、「老後の資金を十分に準備できると思うか」という問いには、「十分に準備できると思う」「ある程度準備できると思う」は合わせて29.4%、「全く準備できない」との回答が29.8%に。
預貯金をコツコツ増やす、投資で資産を育てるなど、老後に備える方法は人それぞれですが、その基盤となるのは「公的年金をどの程度受け取れるかという点でしょう。
今回は、現在のシニア世代がどの程度の年金を受け取れているかを見ていきます。働き盛りの世代がライフプランを立てる際のヒントとなればと思います。
※【調査概要】老後の資金対策に関する意識調査
- 調査対象:全国の男女
- 調査期間:2025年3月26日~27日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性323人/男性177人)
- 回答者の年代:20代 14.0%/30代 34.4%/40代 30.8%/50代以上 20.8%
1. 【国民年金+厚生年金】日本の公的年金制度は2階建て
「年金制度は2階建て」などと言われます。これはベース部分となる「国民年金」と、上乗せ部分となる厚生年金から構成されるためです。
それぞれの年金制度の基本を整理しましょう。
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金(被用者年金)
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
1.3 老後に受け取る年金タイプは2種類
現役時代は働き方や立場に応じて「国民年金のみに加入する人」「国民年金と厚生年金の両方に加入する人」に分かれます。これに応じて、老後に受け取る年金も変わります。
次は、厚生労働省の一次資料をもとに、令和の老齢年金世代が実際に受け取っている年金額の平均を見ていきます。