年金支給額は、毎年改定の計算が行われ、4月分から支給額が変更されます。本年も同様に改定が行われ、年金支給額が実質1.9%の増額されることが決定しています。それと同時に、低所得な年金受給者に対して「年金の上乗せ」として支給される年金生活者支援給付金の金額も2.7%増額します。

年金生活者には年金以外の収入がない方も多いため、年金生活者支援給付金は、低所得な年金受給者の生活を支えるための重要な制度となっています。

今回は、この年金生活者支援給付金の概要と「給付金の対象者」「給付基準額」について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

1. 年金生活者支援給付金の概要

年金生活者支援給付金は、老齢・障害・遺族それぞれの基礎年金を受給している人が、年金等の収入や所得の合計額が一定以下である場合に、経済的支援を図るために支給されるものです。

支援給付金の種類は以下の3種類あり、受給権を持っている基礎年金の種類によって受給できるものが異なります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

※老齢年金の場合のみ、給付金を受け取っている人が受け取っていない人の年金額を上回ることがないよう、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度により調整が行われます。

2. 年金生活者支援給付金の「対象者」とは

次に、どのような人が年金生活者支援給付金の対象者となるのか、解説をしていきます。

2.1 老齢年金生活者支援給付金

「老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となるのは、下記の全てを満たす者です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金受給者であること
  • 前年の公的年金等収入とその他所得の合計が下記の基準額以下であること
    ※基準額は生年月日により以下の通り
    ・昭和31年4月2日以後生まれ:88万9300円
    ・昭和31年4月1日以前生まれ:88万7700円
  • 世帯全員が市町村民税非課税であること※老齢年金の繰下げ支給の申請をしている場合は、繰下げ中は給付金を受け取ることはできません。

2.2 障害年金生活者支援給付金

「障害年金生活者支援給付金」の支給対象となるのは、下記の全てを満たす者です。

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

2.3 遺族年金生活者支援給付金

「遺族年金生活者支援給付金」の支給対象となるのは、下記の全てを満たす者です。

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

3. 年金生活者支援給付金の「給付基準額」とは

年金生活者支援給付金には、それぞれ支給の基準となる金額があります。実際の給付額は、給付基準額を元に個人の保険料納付状況等により決定されます。

年金生活者支援給付金の「給付基準額」とは2/3

年金生活者支援給付金の「給付基準額」とは

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

3.1 【老齢年金生活者支援給付金】給付基準額と実際の支給額

老齢年金生活者支援給付金の支給額は、給付基準額と受給者の「国民年金の保険料納付状況」により計算されます。
現在の給付基準額と原則的な支給額の計算方法は、以下の通りです。

  • 給付基準額:月額5450円 ※2024年は5310円 (140円増)
  • 計算方法:以下の1と2の計算の合計額
  1. 保険料納付済期間に基づく額:5450円×保険料納付済期間÷被保険者月数480月
  2. 保険料免除期間に基づく額:免除割合によって決められた額×保険料免除期間÷被保険者月数480月
    ※2.で乗じる「免除割合によって決められた額」は、受給者の生年月日と免除割合によって異なります。

このように、老齢年金生活者支援給付金は、基準額を元に受給者それぞれの保険料納付状況によって支給額が計算されます。

3.2 【障害年金生活者支援給付金】給付基準額と実際の支給額

障害年金生活者支援給付金は、受給権を持つ障害年金が1級か2級かによって支給額が異なります。それ以外に受給額が変更となることはないため、給付基準額がそのまま受け取れます。

  • 障害基礎年金1級:月額6813円 ※2024年は6638円 (175円増)
  • 障害基礎年金2級:月額5450円 ※2024年は5310円(140円増)

3.3 【遺族年金生活者支援給付金】給付基準額と実際の支給額

遺族年金生活者支援給付金は、遺族が複数人いる場合には基準額をその人数で割って支給額を計算します。

  • 基準額:月額5450円 ※2024年は5310円(140円増)
  • 受給額:5450円÷遺族年金を受給している遺族の数

4. 増額後年金額の確認方法

年金額が物価等の変動により改定する際は「改定通知書」により、改定された年金額と年金生活者支援給付金支給金額をお知らせした上で、「振込通知書」により、各支払月の支払額が通知されることになっています。

年金と支援給付金を同時に受給している方に対しては、この改定通知書と振込通知書が1枚に合わさった大判ハガキが送付されます。

改定通知書には、増額後の年金額と支援給付金額等が記載されているため、以前のものと見比べることにより、増額を確認することができます。

さらに、振込通知書の金額を確認することにより、実際に振り込まれる年金額がいくらになるのかを確認することができます。

4月から変更となる年金額の最初の振り込みは6月であるので、増額される年金額の通知書は6月上旬頃に送付される予定です。

5. まとめ

年金生活者支援給付金は、経済的に苦しい状況にある低所得な年金受給者を経済的に支援するための重要な制度です。

2025年度の増額は大きな金額ではありませんが、物価高騰の影響を大きく受ける、年金受給者の人たちの生活支援の一助となるはずです。

制度の内容を正しく理解して、政府からの支援制度を有効活用することにより、老後の生活を安心して送れるようにしましょう。

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参考資料