2025年3月21日に総務省が公表した「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)2月分」によると、消費者物価指数(総合指数)は前年同月と比べて3.7%上昇していることがわかりました。

物価上昇に賃上げが追い付かないことで、日々のやりくりが難しく資産形成まで考えられないと感じている人も多いようです。

そこで今回は、老後生活資金の必要額を明確にするために、現役世代が知っておくべき老後のリアルなお金事情をご紹介します。

元銀行員で老後資産形成アドバイスを専門にしていた筆者が、生活費の内訳・貯蓄額・退職金・年金月額といった主要なデータを最新の統計を活用しながら、詳しく解説します。

ぜひ将来のライフプラン設計の参考にしてみてください。

1. 【老齢年金世帯】65歳以上のリタイア夫婦は《毎月赤字が約3.4万円》

2025年3月11日に厚生労働省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯では、ひと月約3万4000円の赤字が出ることが示されました。

元となるデータを見てみましょう。

1.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

65歳以上の生活費

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要

毎月の実収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

毎月の支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
  • 諸雑費:2万2125円
  • 交際費:2万3888円
  • 仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

毎月の家計収支

  • 3万4058円の赤字

この世帯の場合、毎月の収入は25万2818円、そのうち約9割(22万5182円)が公的年金などの社会保障給付となっています。

一方で支出の合計は28万6877円。そのうち消費支出(いわゆる生活費)が25万6521円、非消費支出(税や社会保険料など)が3万356円でした。

この夫婦世帯の場合、毎月3万4058円の不足分を、主に貯蓄の取り崩しなどで補填していくことになります。

なお高齢者世帯は持ち家率が高い傾向にあることから、「住居費」は1万6432円と低くなっています。賃貸住宅に住む場合は、家賃との差額を上乗せして考える必要があります。また、上記の支出項目には「介護費用」が含まれていません。

そこで頼りになるのはやはり「貯蓄」です。次では65歳以上世帯の貯蓄事情についても見ていきます。