2025年3月4日、総務省は「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)2月分(中旬速報値)」を公表しました。
これによると、2月の生鮮食品を除く総合指数は前年同月比2.2%上昇の108.5となっています。特に米類は前年同月比77.5%の値上がりに。これにより5カ月連続で過去最大の上昇率を更新する結果となりました。
モノやサービスの値上げが続く中、2024年度補正予算(2024年12月成立)でも物価高騰対策の一環として「住民税非課税世帯への3万円給付金」が盛り込まれ、現在各自治体で給付手続きが進行中です。
「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年2月分(中旬速報値)」

出所:総務省「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)2月分(中旬速報値)」
物価上昇により日々の生活費が増えている今、老齢年金世代はゆとりのある生活ができているでしょうか。
今回は、厚生年金を受け取っている年金受給者の平均的な年金額を見ていきながら、年金とその他の所得が一定基準以下の方を対象とした「年金生活者支援給付金」制度について解説していきます。
1. 最新!4月分から公的年金は前年度比+1.9%へ
2025年1月、厚生労働省は2025年度(令和7年度)の年金額を、前年度より1.9%引き上げることを公表しました。
3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
1.1 【厚生年金・国民年金】みんなの平均年金月額はいくら?一覧表でチェック
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と国民年金の受給状況を見てみましょう。グラフの受給額分布から、個人差や男女差に着目してください。
国民年金・厚生年金の年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
【国民年金】平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【厚生年金】平均年金月額
※国民年金部分を含む
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金の場合、全体、男女ともに平均月額は5万円台です。厚生年金の平均月額は全体で14万円台でした。男女別にみると男性は16万円台、女性は10万円台です。
ただし上記はあくまでもそれぞれの平均額。グラフが示す通り、国民年金の受給権者だけではなく、厚生年金の受給権者の中にも、月額5万円未満となるような低年金の人が一定数存在します。
年金とその他の所得を含めても、一定基準以下の低所得となる場合「年金生活者支援給付金」の支給対象となるかもしれません。この制度について、次で詳しく見ていきます。
2. 低年金になりそう…知っておきたい「年金生活者支援給付金」制度
「年金生活者支援給付金」とは、公的年金を含めてもなお所得の低い世帯を対象とする給付金です。2カ月に一度の年金支給日に、公的年金に上乗せして支給されます。
受給する年金の種類により「老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3つに分かれます。
次ではそれぞれの給付金の支給要件などを整理しましょう。
3. 年金生活者支援給付金の対象となるのはどんな人?
3種類の年金生活者支援給付金には、それぞれ支給要件が設けられています。なかでも老齢年金生活者支援給付金の支給要件は、やや複雑です。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」対象となるのはこんな人
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
-
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※3)」が支給されます。
※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?
老齢年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の人を対象とした制度ですが、基準額をわずかに超えると給付を受けられず、基準額ギリギリで支給対象となる人よりも総所得が低くなるという問題がありました。
この不公平を解決するために設けられているのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。この給付金は、所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給でき、所得が増えるにつれて給付額は減ります。
3.2 「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の対象者となるのはこんな人
- それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)の受給者である
- 前年の所得が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべてを満たす場合に支給対象となります。次では給付額についても見ていきましょう。
4. 【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額は2.7%増額
年金生活者支援給付金制度の給付額は、物価を考慮して毎年度改定されます。2025年度は、前年の物価変動率にもとづき2.7%の引き上げが公表されています。
4.1 年金生活者支援給付金の給付額はいくら?
年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 老齢年金生活者支援給付金:基準額:月額5450円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付済期間や免除期間に応じて実際の給付額が計算されるため、個人差が出ます。
5. 気になる年金生活者支援給付金の請求方法
年金生活者支援給付金の受給には、申請手続きが必要です。支給対象となった人には通知を兼ねた請求書が郵送されます。これを記載・提出し忘れると1円も受給できません。
日本年金機構から届く書類は、年金受給状況により異なります。「これから年金を受給スタートする人」と「既に年金を受給している人」の2パターンを解説します。
※なお、繰上げ受給の人には下記とは異なる様式の書類が届きます。
5.1 パターン1:これから年金を受給スタートする人
年金を「これから」受給スタート開始する人が年金生活者支援給付金の支給対象となった場合は、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。
給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出しましょう。
5.2 パターン2:既に年金を受給している人
既に年金を受給している人が、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、 毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。
請求書の指定部分に必要事項を記入し、切手を貼って返送しましょう。
年金生活者支援給付金は、近年しばしば実施されている「住民税非課税世帯への給付金」などの一時的な支援とは異なり、要件を満たす限り継続して受け取ることができる恒久的な支援制度です。
一度申請手続きをおこなえば、2年目以降は基本的に毎年の手続きは不要です。
なお、支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き支給されなくなります。
6. まとめにかえて
今回は、厚生年金を受け取っている年金受給者の平均的な年金額を見ていきながら、「年金生活者支援給付金」制度について解説してきました。
給付金制度はありがたい存在ですが、このような制度は今後も続いていくとは限りません。
また、年金額も毎年度改定されるとはいえ、物価上昇率を上回るスピードで増えていくことは考えにくいでしょう。
将来の年金を頼りにせず、今のうちから将来や老後のお金をコツコツ積み立てしていくことが大切です。
大切なお金の価値を減らさないように、一部資産運用を活用するのも手段のひとつです。資産運用にはメリット・デメリットがありますので、まずは「将来いくら準備したいのか」「いつまでに準備がしたいのか」などの目標を立てた上で、無理のないところから始めてみましょう。




