不動産投資の大事な情報を「見える化」する技術

不労所得への近道であり、金融機関の低金利も後押しして、個人や法人の間で注目されている不動産投資。月々の家賃収入はもちろん、購入時から資産価値が上昇していれば売却時に利益を得られるケースもあり、減価償却や費用計上などに伴う節税効果も期待できる。投資対象は戸建てやアパート、区分所有などさまざまだが、中でも物件を丸ごと所有する「一棟不動産投資」は、スケールメリットが期待できることから人気だ。

一方、多額の融資を受けて始めるケースが目立つ一棟不動産では失敗は許されない。購入検討時に、「長期的に収益は期待できるのか」「何年後までに売却すればトータルで利益になるのか」といったことがわかれば安心だ。いま、こういったニーズを叶える投資用不動産AI診断サービス『VALUE AI〈バリューアイ〉』が、首都圏を中心に不動産ソリューション事業を展開する株式会社コスモスイニシアからリリースされ、ウェブでは通常の6倍ほどの反響が集まるなど話題になっているようだ。その概要を、同社ソリューション本部統括部カスタマーリレーション課の高橋元章氏は次のように語った。

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「これは、物件オーナー・購入検討者向けに開発した、業界初(※)となるサービスです。PCやスマホからウェブサイトにアクセスし、新規ご登録いただければ、現在は首都圏の一都三県や愛知県、大阪府、福岡県といった一部大都市の一棟物件を対象に、人工知能(AI)による不動産価値の将来予測や投資プランシミュレーションなどが無料で行えます」

※コスモスイニシア調べ。一棟投資用・賃貸不動産を対象。2018年2月時点。

ビッグデータをもとにAIが不動産価値をはじき出す

『VALUE AI』の特長は、建物の価格や間取りといった誰でも入手できる「物件情報」や、「自己資金とローン情報」「運営情報」「減価償却(土地と建物の割合)」など、知りうる範囲の情報を登録するだけで、不動産価値を算出することができることだ。

とても簡便な仕様だが、その理由を高橋氏は次のように打ち明ける。「不動産会社は、個人投資家が取得することが難しい情報を駆使して投資判断を行います。一方、投資家が得られる情報や算出できる指標は少ないので、失敗につながってしまうこともあります。我々はこれを課題と捉え、投資家側が取得できる範囲の情報を入力するだけで、情報からのギャップを埋められるサービスを構築したのです」

なぜ、このようなことが可能なのか。高橋氏はその秘密をひも解く。「システムには、過去10年以上におよぶ膨大な不動産データと独自のAIアルゴリズムがインプットされていて、即時に一棟投資用不動産の将来価値や、任意で設定する購入から売却までの保有期間の利回りの算出が可能です。かつエリアや物件特性に応じて賃料の変動率や稼働率、売却価格の将来予測もAIが導き出すので、収益性・安全性・将来価値など多角的な投資パフォーマンスの分析を誰でも簡単にできます」

「テクノロジー」と「プロの視点」を融合

ただし、AI任せというわけではない。開発にあたっては「リアルタイムの相場も反映させないと物件の最適な売買タイミングを計れない」と考え、社内の営業担当者の相場観も取り入れて査定価格をアウトプットしている。テクノロジーと不動産のプロの視点を融合させ、サービスに落とし込んだことになる。

不動産投資の本質的な部分について助けになるのは、「時間の経過に伴う不動産価値の上下をAIが加味し、投資プランのシミュレーションを行う」ということだ。本来、物件保有後に建物や設備が老朽化すれば、家賃の引き下げを迫られ、賃料収入は減る可能性が高い。いずれは売却するにしても、5年後と10年後で価格は異なるはず。実はこういった予測は、不動産の専門家であっても容易にできないものだが、『VALUE AI』はテクノロジーと蓄積ノウハウを駆使することで、将来にわたる収益性や資産価値も含めて予測することができるという。

「賃料や想定稼働率、売却時期といった数値は、デフォルトで標準値がセットされていますが、任意で変更もできます。分析結果が変わることで、複数の投資プランを検討ができるのが狙いです」と、高橋氏はシステムの自由度の高さを示す。うまく活用すれば投資の可能性が広がることになる。

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プラン作成画面 画像のサンプルはすべてシミュレーション物件のもの(以下同)

不動産投資の入口から出口までを可視化

プランを作成すれば、収益の分析、資金計画の安全性、資産の推移、「〇年間投資して売却した場合のトータルの損益」といった、不動産投資のプロが重視する「IRR(内部収益率)」まで明らかになる。

保有期間中のキャッシュフローやインカム&キャピタル収益の詳細分析もグラフと図表を使ってわかりやすく見せるので、不動産投資の入口から出口までの情報が可視化できる。「いまは、ネットを中心に不動産投資の情報があふれ出しています。それを、不動産会社である我々がクローズし続けても、もはや時代に即しません。むしろ、専門家である当社がオープンにし、ご活用いただくことで、結果的に不動産投資の情報がクリアになっていけばいいと考えました」と、高橋氏はリリースにいたる経緯を打ち明けた。

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キャッシュフロー表

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インカム&キャピタル収益詳細分析表

また、ユーザーは不動産投資に長けた人ばかりではない。そういった側面も想定して、「専門用語にマウスでカーソルを重ねると、用語説明が表示される」といったユーザーフレンドリーな仕様についても工夫したという。

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専門用語の説明の表示

こういった点を踏まえ、『VALUE AI』は具体的にはどういったシーンで使えるのか。高橋氏は以下の4点を挙げた。

(1)不動産会社に気軽に相談できない場合の、将来価値を含めた分析ツールとして活用
(2)算出した収支シミュレーションをもとに、売却のタイミングを検討
(3)所有一棟投資用不動産と購入検討不動産の将来収益性を比較し、買替えや追加投資を検討
(4)将来の賃料変動や空室リスクなどを加味した投資プランシミュレーションを行い、購入検討不動産の保有リスクを可視化

「AI+人」で投資を考える

高橋氏は次のようにも補足する。「個人であれば、これまでわからなかった数値や指標が手に入ることで不動産投資がより身近になります。また、法人が物件を購入する際、社内での検討用に膨大な資料を作成する手間がかかりますが、これらをシステムに任せることができ、業務の効率化にも役立つと思います」

前述のように、サービス自体がすでにAI技術と人的な不動産ノウハウのハイブリッドになっているが、ここから導き出されたデータを自分で確認しつつ、プロフェッショナルに相談すれば、投資がうまくいく確率も上がるといえる。「AI+人」は、不動産投資の新たな有力手法となるかもしれない。

クロスメディア・パブリッシング

参考記事

クロスメディア・パブリッシング

2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。