半導体メモリー大手の米マイクロンテクノロジーは、2019年度第1四半期(18年9~11月)の売上高見通しが79億~83億ドル(中心値では前四半期比4%減)であることを明らかにした。顧客側で在庫削減の動きなどがあり、一部で需要が減退していることを示唆した。

 メモリー価格の上昇を背景に、同社は16年3~5月期をボトムに、9四半期連続で前四半期比増収を記録。18年度第4四半期実績も過去最高の売り上げと利益を記録したが、この増収トレンドについにブレーキがかかった格好だ。同社では一部顧客で在庫削減の動きがあるほか、インテル製CPUの供給不足に伴うパソコン向けDRAM需要の減少などを減収要因に挙げている。

 Non-GAAPベースでの粗利益率は57~60%を予想しており、売上高同様に前四半期比減少となる見込み。同社では米中貿易摩擦が0.5~1ポイント程度粗利益率を引き下げる要因になりうるとコメントしている。

「実績」ベースでは好調維持

 18年度第4四半期実績は、売上高が84.4億ドル(前四半期比8%増/前年同期比38%増)、Non-GAAPベース営業利益率が52.6%(同1.1ポイント増/同11.1ポイント増)と、引き続き過去最高を更新した。

 売上高の7割を占めるDRAMは、売上高が同7%増/同47%増を記録。Gbベースでのビット出荷は前四半期比1桁台後半の伸び、ASP(平均売価)はほぼ横ばいで推移した。これにより、粗利益率は71%と前四半期を上回る実績となった。

 NAND売上高は同15%増/同21%増。Gbベースでのビット出荷は同30%台半ばの伸びを示した一方、ASPは同10%台半ばの減少と比較的大きな下落となった。ただ、大幅な出荷増もあり、粗利益率は48%と前四半期から上昇した。

 なお、18年度通期実績は、売上高が前年度比50%増の304億ドル、営業利益は同2.4倍の152億ドルとなり、大幅な増収増益を達成した。

設備投資は初めて100億ドル超え

 設備投資金額として、19年度に105億ドル(±5%)を計画している。年間の投資額が初めて100億ドルを超える一方、増加分の多くが工場建屋などファシリティー関連で、製造装置への投資額は小幅な増加にとどまる見通し。

 同社は18年5月に開催された投資家向け説明会で、19年度投資について前年度比で増加するとコメントしており、それに沿ったかたちで今回の投資計画が発表された。100億ドルを超える投資額となるが、設備投資の軸足はDRAMの競合企業とのテクノロジーギャップ(微細化)の縮小であり、ウエハー投入能力の拡張は行わないという。

 また、今期の投資はクリーンルーム(CR)拡張に伴う工場建屋やファシリティー関連など製造装置以外への比重が大きい。同社によれば、投資額全体の25%を占め、これら非製造装置分野への投資は前年度比20億ドル増加する見込みだという。主要なCR拡張案件では、DRAMを生産する広島工場のほか、3D-NANDでも新棟(Fab10A)の建設を進めている。

 製造装置への投資は前年度比で若干のプラスとなる程度で、NAND向けに関しては現在の市況を勘案し減少する見通し。

1Ynmは19年中の出荷計画

 CR拡張は行うものの、微細化に伴う工程数増加に対応したもので、ウエハー投入能力の増加にはつながらないとしている。DRAMでは、現在1Xnm世代の供給拡大に注力しており、19年度第1四半期(18年9~11月)にビット生産ベースで既存世代を上回る見通し。次世代の1Ynm世代は19年(暦年)中の出荷を計画しており、生産ベースでは広島工場新CRが立ち上がる19年度第3四半期(19年3~5月)からの本格立ち上げを予定する。

 3D-NANDでは現在、64層品を量産中。96層品の生産は18年中に開始する予定であるほか、第4世代品の開発についても順調に進んでいるとした。

 なお、同社では18年(暦年)のDRAM市場全体のビット出荷ベースでの成長率を20%強と予想。19年についても同様に20%増を見込む。NANDについては18年が45%増、19年は35~40%増を計画する。なお、19年については、マイクロンは市場全体を上回る伸びを計画している。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳