日本人は貯蓄が好きなことで世界でも知られています。総務省が平成30年5月に調査をした「二人以上の世帯における1世帯当たり貯蓄現在高」によると、2017年の貯蓄現在高は1,812万円となっています。

貯蓄って預貯金のことではないのか

貯蓄というと皆さん「預金」や「貯金」のことだと思われるかもしれませんが、実は「貯蓄」と「預貯金」は異なります。「貯蓄」には株式や投資信託のような有価証券への投資や保険なども含まれます。

とはいえ、ご存知のように日本人は「預貯金」が好きなこともあり、同資料によれば、その預貯金の合計金額は1,154万円となります。実に貯蓄の6割を占めます。

さて、その貯蓄ですが、貯蓄を上手にをしていくにはどんなテクニックが必要になるのでしょうか。今回は貯蓄の達人に学ぶテクニックをいくつかご紹介したいと思います。

貯蓄の達人になれる人はどんな人か-3つの特徴

貯蓄には原資、つまり元手が必要です。いわゆる現金を残すことが必要ですが、そのためにはお金の流れを「管理」するという姿勢が必要です。では、日常生活を振り返って、どのような人が「管理」できているといえるのでしょうか。

お財布がきれいな人

一般的に「お財布がきれいな人はお金が貯まりやすい」といいます。これはどのような背景があるのでしょうか。

お財布がきれい=普段からお金(お財布)の管理をしっかりしている人ということになります。レシートがパンパンに詰まったお財布では、普段からお金の管理が行き届いていないことが誰の目にも明らかです。

こまめに家計簿をつける人

お金の管理をするために、毎日しっかりと家計簿をつけている人は「貯蓄の達人」予備軍といえます。なぜなら、家計をしっかりとした数値で分析できているからです。家計の無駄や節約できるポイントを「見える化」できる家計簿は貯蓄の達人になるための便利なツールといえるでしょう。

家計簿をつけたことで満足してしまう人も多いのですが、数か月、数年を比較して分析する(反省点や良かった点を見つける)、ということを習慣づけることがポイントです。

様々なものに興味がある人

最近はテクノロジーが普及し、インターネットを通じてスマートフォンのアプリなどで「お金」の「見える化」がこれまで以上に効率的にできるようになっています。

ここまで見てきたような日頃のお金の管理も手元のスマホでいつでもチェックできるようになっています。株式や為替での運用も手元の証券会社などのアプリでもできます。ただ、こうした「お金」周りのアクティビティは「IT嫌い」だと難しいかもしれません。

貯蓄の達人に近づくための5つのコツ

ここまで見て生きたように、貯蓄の達人になれる人とは、きれい好きでマメな性格である人が有利なのかもしれません。ただし、預貯金を貯めるだけでは貯蓄の達人とは言えません。貯蓄とは貯めた手元資金をいかに運用するという視点が重要となります。では、ここでは貯蓄の達人に少しでも近づくためのアプローチについて考えてみましょう。

目標金額を決める

目標金額の設定は、貯蓄に対して「やる気」を引き出すうえでとても重要になります。この際に「貯蓄額が500万円になったら○○に行こう」などと貯蓄額だけではなく、何らかの達成とともに「自分のやりたいこと」を考えておくとさらに貯蓄に対するやる気がアップします。

こうすることで、安全資産で積み上げられることで目指せる資産規模とある程度リスク資産を運用することでしか到達できない目標というのもイメージしやすくなるのではないでしょうか。具体的な数値のイメージを持つことは重要です。

簡単にできる家計簿をつける

家計簿は家計を見える化するうえで貯蓄の必須アイテムといえるでしょう。近年は家計簿を自動でつけてくれる便利な家計簿アプリも多くあるので、利用してみてはいかがでしょうか。

「見える化」は家計簿だけではなく、様々なビジネスシーンで活用されます。自分の家計を経営者目線で俯瞰してみると無駄なお金の流れが分かり、次の課題を解決するアイデアも見つかるかもしれません。

給料から天引きする

給料はある分だけ使ってしまうという方も多いのではないでしょうか。そういう方におススメなのは、給料天引きができる財形貯蓄を利用するか、給与振込口座に自動積立をセットするなどの方法です。

場合によっては、途中解約の手続きが面倒という側面はありますが、毎月一定額が自動的に積み立てられていきますので、特に意識していなくても貯蓄額が増えていくという点で非常に便利です。

さらに達人になると、銀行の自動積立の引落日を給料日の直後に設定する、ある程度たまったら、それを定期預金にして引き出しにくくする、といった技を使う人もいます。

固定費を削減する

家計の固定費を見直してみましょう。月によって変わる変動費よりも、毎月決まった金額が支出される固定費を節約することで、自動的に毎月決まった額の出費を抑えることができるようになります。

リスク資産で資産運用を始めてみる-非課税枠を活用してお得に運用

預貯金をすべて投資に回すというのはあり得ませんが、老後などの長期における資産形成を考えて、株式や投資信託で運用を始めてみるということを検討してもよいでしょう。

なぜならば、NISAやつみたてNISAは制度内の投資で得られる売却益や配当に税金がかからないからです。これは消費者感覚でいえば「お得」ですし、投資家目線でも注目すべき点といえるからです。

まとめにかえて

貯蓄の達人になるための方法と、貯蓄の達人になれる人はどんな人なのかをみてきました。いわゆるコツという内容のもので、ご覧いただいたように誰でも簡単にできることばかりです。今日から取り組んで、貯蓄の達人を目指してみてはいかがでしょうか。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部