3. 年金は実質目減り…対策は?

次年度の年金は価値が目減りしており、金額の増加を決して手放しで喜べる状況ではありません。年金を増やす対策として、現役のうちから以下のような工夫をしておくとよいでしょう。

  • iDeCo
  • 企業年金
  • 付加年金

iDeCoは、自分で掛金を積み立てて運用できる「確定拠出年金制度」のひとつです。拠出した掛金がすべて所得控除の対象になったり、運用益が非課税になったりと、税制優遇に強みを持つ制度です。受け取る際も、一定額までなら課税されないため、税負担を抑えられます。

原則60歳まで引き出せないという制約がありますが、公的年金とは別に年金や資産を用意したい人に適しています。

また、もし勤務先に企業年金制度がある場合は、ぜひ活用を検討してみましょう。企業年金も、iDeCoと同様に掛金が全額所得控除の対象です。

企業年金にはあらかじめ給付額が決まっている「確定給付企業年金(DB)」と、iDeCoのように自分で運用する「企業型確定拠出年金(DC)」とがあります。掛金は事業主が負担してくれることが多く、少ない負担で資産をつくれるのが特徴です。運用できる商品などは会社ごとに異なるため、商品ラインナップを事前に確かめておくとよいでしょう。

個人事業主は、付加年金の活用も検討してみましょう。付加年金は、毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして支払うことで、受給時に「200円×付加保険料納付月数」分の年金を受け取れる制度です。

たとえば、付加保険料を200月納めた場合、追加で納める保険料は8万円、受給できる付加年金額は4万円です。付加年金額を2年以上受け取れば、納めた付加保険料のもとを取れるため、比較的得をしやすい制度といえます。

ただし、付加年金はiDeCoや企業年金のように運用するわけではありません。そのため、他制度に比べてインフレによる目減りには強くない点に注意が必要です。iDeCoと併用すれば、金額を増やしつつ目減り対策もできるでしょう。