2. 年金の平均受給月額

厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金、厚生年金の平均受給月額は、以下のとおりです。

国民年金:年金月額階級別老齢年金受給権者数

国民年金:年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

厚生年金:年金月額階級別老齢年金受給権者数

厚生年金:年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

国民年金

  • 全体:5万7584円
  • 男性:5万9965円
  • 女性:5万5777円

厚生年金

  • 全体:14万6429円
  • 男性:16万6606円
  • 女性:10万7200円

国民年金は、多くの人が6万円台の受給となっています。平均額は男女ともに5万円台で、差はごくわずかです。国民年金は20歳になると誰もが加入するため、保険料が未納などでない限りは差が生まれにくくなっています。

一方、厚生年金は男女で受給額に差が見られます。平均受給月額は全体が14万6429円ですが、男性は16万6606円、女性は10万7200円と約6万円もの差があるのです。受給者数も、男性は16〜20万円付近の人数が多くなっていますが、女性は8〜12万円付近の人数が多くなっています。

差がつきやすい理由は、歩むキャリアの違いです。とくに女性は結婚や出産を機に退職することが多く、厚生年金保険への加入期間が少なくなっていると考えられます。厚生年金は加入期間などで受給額が決まるため、加入期間が短ければ受給額も少なくなります。

一方、男性は定年退職まで働き続ける人が多く、厚生年金保険への加入期間も長くなります。また、役職に就いたり勤続年数が長くなったりすることで昇給するため、年金受給額が女性よりも多くなっているのです。

現在の現役世代は共働き世帯が増えているため、男女での年金受給額の差は次第に少なくなっていくと考えられます。しかし、受給額については今後の物価や賃金の動きによって決まるため、今よりも増えると一概にはいい切れないでしょう。

次章では、年金を増やすための工夫について解説します。