老後のお金、気になりますよね。貯めなければならないとわかっているのに、一体いくらあればいいのか見当もつかないという人もいるでしょう。ましてや、自分に必要な金額を計算してみたことのある人は、かなり少ないと思います。老後の資金について今のうちに一度考えてみましょう。
老後のお金って結局いくら必要?
老後のお金がいくら必要なのか知っていますか。よく3000万円必要といわれますが、3000万円で十分な人もいれば、そうではない人もいるでしょう。人によって必要な生活資金が違うのは、ちょっと考えると当たり前のことですよね。では、自分にとって必要な金額はどのくらいなのでしょうか。計算してみましょう。
老後の生活費の計算でよく言われるのが、現役時代の生活費の7割という一つの目安です。毎月の生活資金を現役時代の生活費の7割で計算し、それを平均寿命までの期間分、足していくんですね。そうするとおおよその老後資金がわかるというものです。
確かに、おおざっぱな目安としての計算ならそれでもいいと思いますが、それを信じて今から20年も30年も過ごすのはちょっと怖いですよね。自分の老後の生活を考えて、現実的な金額を早めに考えておきましょう。
では、自分の老後の生活費はどうなると思いますか。イメージしてみてください。筆者の場合、現役時代の7割で生活費が収まると思えませんでした。老後は今より自由な時間が増えますし、今のように安い社員食堂もない。
今はとりあえず起きて、眠いまま準備して会社へ行っているので朝食は摂っていませんが、年を取れば早起きになって朝食を摂るようになるかもしれません。車に乗って出かけるからガソリン代もかかるかもしれないですよね。通院も増えそうです。そうなると、出費は今より増えるのではないかと思いませんか。
自分の老後の生活をできるだけリアルに想像することが大事です。30年後、40年後の自分と約束できるわけではないですから、「節約して生きよう」とか「出費は抑えよう」と考えないことが重要です。そう考えて貯める金額を減らしてしまうと、取り返しがつかなくなることもあるでしょう。
老後の生活なんて見当もつかないという場合は、今の生活費と同じくらいの金額で60歳から20年、30年と計算してみましょう。
たとえば、毎月の生活費を25万円とし、そのうち15万円が年金でおぎなえるとしたら、自分で貯めるべきお金は月額10万円×20年分で2,400万円になりますね。
夫婦2人分の生活費として考えると、25万円ではおさまらないかもしれません。生活費が30万円、年金が15万円だとすると自分で貯めなければならないお金は月額15万円。20年分貯めようと思うと3,600万円になります。30年分貯めようと思うと5,400万円となり、巷で言われている「必要な老後資金3,000万円」とは大きくかけ離れてしまいますね。
老後資金はゆっくり、しっかり貯めるべき
こうして考えてみると、やはり早めに準備してしっかり貯めておくべきですね。早めに現実的な金額を認識して、計画的に資金づくりをしましょう。
若いうちから始めることが大事なので、少しでも金利のいいところを探して定期預金を始めてみたり、積立定期預金を始めてみたりしてもいいですね。さらに言えば、NISAやiDeCoなどの税制優遇が受けられる制度を利用するのもいいでしょう。
ただし、資産は減る可能性があるものと、減る可能性がないものに振り分けておくべきです。減らないけれどほんの少ししか増えないものでも、安全資産として分散させておく価値はあります。
また、減る可能性はあるけれど増える可能性もある資産に資金を置いておくのも、30年という短い期間で大きな額のお金をつくるための一つの大事な方法です。リスクを上手に管理することでお金をふやすことができるのです。
「守る」と「貯める」と「ふやす」をバランスよく
数千万円というお金を貯めることを考えると、普通の節約と普通の貯金では厳しいと感じる人も多いのではないでしょうか。毎月8万円を30年間貯め続けても、2,800万円強にしかならないということを念頭に置いておいてください。毎月8万円貯めると聞いても、30年間貯め続けることなんてできるかなと不安に思う人もいると思います。
まして、30年間貯めるということは、60歳で定年を迎えるとすると遅くとも30歳には貯め始めなければならず、30歳を超えている人はもっとハイペースで貯めなければなりません。
30代となると結婚したり、子どもができたり、マイカーやマイホームの購入を検討したりとライフイベントが目白押しであることも多く、毎月コンスタントに貯金をするのは大変です。だからこそ、「守る」ことも大事にしながら「貯める」ことをできる範囲で積み上げ、「ふやす」こともしっかりやっていかなければなりません。
たとえば、毎月8万円貯め続けて20年間で3,000万円貯めようと思うと、年率4%以上の利回りが必要となります。4%以上の利回りを銀行預金で確保するのはちょっと現実的ではないですよね。投資は無理にするものではありませんが、銀行預金で高い利回りを確保できないとしたら、投資も考慮に入れてお金を貯める必要があるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。老後の資金について考えようと思うと、なかなかイメージがわかずに途中で断念してしまいがちです。しかし、そうしているうちに定年を迎え、お金がないという事態に陥ってしまいます。そうなると取り返しがつかないので、まずは自分に必要な金額を考えるところから始めてみましょう。
大塚 ちえ