活用が進む「つみたてNISA」、利用者はどんな人?

サラリーマン1万人アンケート2018~⑥

2010年から続けているサラリーマン1万人アンケートの主題は「退職準備と投資動向」です。前回までの5回の記事では退職準備の動向に注目してきましたが、今回からは退職準備と投資の有無に目線を向けていきます。

最初に2018年1月からスタートしたつみたてNISA(少額投資非課税制度)に関するデータを紹介します。そもそもこのアンケートはインターネットを活用していることから、回答者にインターネット利用者の特性が高めに出るといったバイアスがかかりがちです。そのため、出現率そのものを考えるより、全体の出現率に対する相対的な多寡をみることが大切になります。つみたてNISAの場合には一層そうした傾向が強いと思います。

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つみたてNISAの導入効果が大きい

今回のアンケートでは、つみたてNISA口座を開設したと回答した人は661人で、全体の5.5%でした。アンケートの実施は4月の上旬ですからスタートしてから3か月の間にかなりの方が口座を開設したことになります。

特に若年層の口座開設が多くなっており、口座開設者の年齢構成では20-39歳の方が60.8%を占めています。ちなみに、一般NISAとつみたてNISAの口座開設比率をみると、40-59歳では85.2%対14.8%となっていますが、20-39歳では69.5%対30.5%と若年層の比率が高くなっており、つみたてNISAの狙いである「若年層の資産形成」に一定の効果があったことが窺えます。

さらに年収と保有資産額で特徴をまとめると、少ない資産額でもつみたてNISA口座を開設している人が多いことも特徴になっています。これまでのアンケート調査では、年収でも保有資産額でも500万円が「投資に積極的」になる分岐点でした。一般NISAの口座開設状況でもその点は変わらない傾向でしたが、つみたてNISAでは資産額で500万円以下の人でも口座を開設している人が多くなっており、少額で投資を始められるというメッセージが届いているように思われます。

オンライン証券での口座開設が過半に

若年層にメッセージが届いていることもあって、口座開設はオンライン証券で行う人が多いことも傾向としてみえてきました。一般NISAは一般の証券会社に口座を開設する人が4割を超えて一番大きなシェアを持っているのに対して、つみたてNISAではオンライン証券が口座開設先として5割を超えるシェアを取っています。

また口座開設先でもうひとつ大きな特徴は、つみたてNISAでは銀行が存在感を出していることです。給与からの振り替えでつみたてNISAに資金を向かわせることが多くなるなか、給与振込口座を抱える銀行、特に地方銀行の活躍が目立っているようです。

性別・年代別の一般NISA、つみたてNISA口座開設金融機関 (単位:人、%)

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出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート(2016年、2018年)
注: 2016年のNISA口座開設金融機関(NISAを知っている人だけを対象にしている点で2018年と違う)

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フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所 所長 野尻 哲史

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執筆者
野尻 哲史
  • 野尻 哲史
  • フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所 所長

国内外の証券会社調査部を経て、2007年より現職。アンケート調査をもとに個人投資家の資産運用に関するアドバイスや、投資教育に関する行動経済学の観点からの意見を多く発表している。日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。著書には、『老後難民 50代夫婦の生き残り術』、『日本人の4割が老後準備資金0円』(講談社+α新書)や『貯蓄ゼロから始める安心投資で安定生活』(明治書院)などがある。調査分析などは専用のHP、資産運用NAVIを参照