近年、老後に向けての資産運用について話題になることが多いですが、貯蓄についてはどうでしょうか。
老後の収入は年金ですが、年金だけで生活は厳しいでしょう。足りない分は貯蓄を取り崩すなど年金以外で補填していくことがほとんどだと思います。
では、実際に老後の生活がスタートしている世帯ではどのくらいの貯蓄があれば安心できるのでしょうか。また、貯蓄事情はどうなっているのでしょうか。
本記事では、60歳・70歳世帯の貯蓄事情について深堀りしていきます。
現代シニアの実態をふまえて、老後に向けた準備は何をしたらいいのか考えていきましょう。
1. 60歳代世帯のリアルな貯蓄事情を確認
まず、60歳代の二人以上世帯における貯蓄状況を確認していきましょう。
1.1 【60歳代】二人以上世帯の貯蓄事情《平均・中央値・世帯差》
- 平均:2033万円
- 中央値:650万円
1.2 貯蓄額ごとの割合
- 金融資産非保有:20.5%
- 100万円未満:6.5%
- 100~200万円未満:5.3%
- 200~300万円未満:3.7%
- 300~400万円未満:3.1%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.3%
- 700~1000万円未満:5.3%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:5.8%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:20.0%
- 無回答:3.6%
1.3 貯蓄ゼロの割合
- 20.5%
1.4 貯蓄3000万円以上の割合
- 20.0%
60歳代の二人以上世帯の貯蓄状況を見てみると、平均貯蓄額は2033万円となっていますが、平均値は貯蓄が多い人の値に偏る傾向にあるため、実際の状況を反映しているとは言い難いです。
一方、実態に近い数字を示す中央値は650万円であり、平均値と中央値には1000万円以上の差があります。
さらに、貯蓄の分布を見てみると、60歳代の二人以上世帯における「貯蓄3000万円超」の世帯は20.0%である一方、貯蓄ゼロの世帯も20.5%と、ほぼ同じ割合で存在しています。
この年代には、完全にリタイアして年金生活を送る世帯、現役で働き続ける世帯、定年後に働き続ける世帯など、さまざまなライフスタイルが考えられます。
また、子育てや住宅ローンの支払いが続いている世帯も一定数あることでしょう。
次章では、70歳代の二人以上世帯の貯蓄状況について詳しく見ていきます。