資産形成の計画を立てるうえで、リタイヤ後の生活費はどのくらいかかるのだろうか、と疑問に感じたことはあるのではないでしょうか。

2019年6月金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」をもとに「老後は2,000万円必要だ」と報道があったことは、記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。

資産形成をはじめるにあたって、目標金額を設定することは重要です。老後資金は本当に2000万円必要なのか、公的年金のみで生活していくことができるのか、を正しく理解していくことが必要です。

この記事では、65歳以上の夫婦世帯の収入や支出、貯蓄額について最新データを基に解説します。資産形成の目標額を考えるきっかけにしてみてはください。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

1. 65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額はいくらか?…答えは約2500万円

老後生活にまず欠かせないのが、現役時代から積み立てた「貯蓄」です。

老後を迎えるにあたっては、年金だけでは不足する生活費の補填はもちろん、家具や家電の買い替え、マイホームのリフォーム、万が一の病気や介護費用なども考慮をし、ある程度まとまった貯蓄を保有しておきたいものです。

現役引退後に有利な条件で金融機関からお金を借り入れることができないのが、老後の最大の問題点です。

1.1 総務省「家計調査」で見る、65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均値と中央値)

ここからは総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」(2024年5月17日公表)を参考に、世帯主が65歳以上の貯蓄を見ていきましょう。

【写真1枚目/全7枚】65歳以上の貯蓄分布。年金受給額や生活費内訳のグラフも紹介

65歳以上の貯蓄分布

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」

上記によると、「世帯主が65歳以上の二人以上世帯」の貯蓄現在高は次のとおりです。

  • 平均値:2462万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1604万円

一般的な年金受給開始年齢は65歳からですから、65歳以降を老後と考えると、その世帯の平均的な貯蓄額は2462万円。

ただし、「平均」は一部の多くの貯蓄をしている人、たとえば富裕層の影響を受けやすいという特徴があります。

そこで、平均ではなく中央値を見て行きましょう。

中央値になると金額は1604万円まで下がりました。こうなると、読者の方も平均値よりも手触り感があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。