2018年8月24日に行われた、株式会社土木管理総合試験所2018年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料 質疑応答パートはこちら

スピーカー:株式会社土木管理総合試験所 常務取締役管理部門長 掛川明彦 氏

会社概要

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掛川明彦氏:あらためまして、おはようございます。

代表取締役の下平に代わりまして、私が決算説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

はじめに、会社概要および事業内容の説明になります。もうご存知のお客様もいらっしゃると思いますので、簡単にお話しいたします。

社名は、土木管理総合試験所。本社は、昨年(2017年)4月から2本社体制ということで、長野本社と東京本社となります。事業所は今、17支店、4出張所、4試験センターです。

資本金は、約11億8,000万円。従業員が(2018年)7月1日時点で406名です。

事業内容といたしましては、主に試験総合サービス事業と地盤補強サービス事業、その他事業となります。

平成30年第2四半期 決算概況

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それではさっそく、平成30年第2四半期の決算概況を発表したいと思います。

ピンク色の部分になりますけれども、売上が28億100万円。売上総利益が8億8,900万円。営業利益が2億3,600万円。経常利益が2億3,700万円。当期純利益が1億5,100万円となっております。

昨年(2017年)第2四半期の時点では、まだ福井に子会社がありました関係上、連結の数字になっています。あくまでここの前期比は、連結の数字との比較になりますが、昨年よりもかなり素晴らしい数字を残すことができました。

また1株当たりの四半期純利益が、17円から11円になりました。これは、昨年の12月から今年(2018年)6月にかけて、約200万株増やしましたので、1株あたりの単価は低くなっています。

セグメント別内訳

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セグメント別になります。

試験総合サービス事業は、当社の(事業の)約9割くらい(を占める事業)でメインになります。売上は25億7,000万円。粗利が4億8,600万円になります。

次に、地盤補強サービス事業です。売上は2億1,100万円。セグメント利益は1,300万円となります。

平成30年上半期トピックス

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上半期のトピックスになります。

上半期は増収増益でした。建設業界は、第2四半期というのは閑散期になることが多いです。

3月は年度末になり、4月から新しい年度のため新しい予算がつきます。現場担当者の引き継ぎ等もあるため、新しい予算は、だいたい6~7月くらいに執行され、そこから仕事が出てきます。つまり、新年度の仕事が7月から発生するということで、4~6月というのは、(当社を含め業界にとっては)なかなか厳しい状況になります。

しかし今年(2018年)は、インフラストックの維持管理業務がかなり好調でした。まず、第1四半期に関しては非破壊検査です。橋梁やトンネル、ダムの維持管理の受注をかなりいただきました。年度末、3月ごろの受注でしたが、4月まで残ってきました。

また、2016年に熊本の方で大きな地震がありましたが、阿蘇山の砂防ダムの建設が、ようやく本格的に稼働し始めました。その関係で、4月、5月あたりから急激に(受注が)増えてきたということになります。

加えて、新たに導入した土壌浄化工事の進捗による売上増加もあります。これは環境調査の分野ですが、当社はこれまで、土壌浄化汚染の報告書作成まで対応していました。また、その土壌が汚染されていた場合、協業の業者さんの紹介にも対応していたのですが、そこも含めてワンストップで最後まで対応できないかということで、今期(2018年12月期第2四半期)からは、一応試験を行いまして、土壌浄化工事までやることになりました。

(2018)年内に立て続けに良い仕事が入りました。4月に大きな仕事を2件いただきまして、それが約8,000万円くらいの仕事だったため、これも大きく寄与したのかなと考えております。

そして、予算管理の徹底による利益率の改善についてです。

上場する前、当社でいただいく仕事は、大きな案件といっても200万~300万円くらいでした。それ以外は、10万~20万円の小さなもので、それらを寄せ集めて売上を作っていました。

しかし上場してからは名前が知られるようになり、大手ゼネコンさんへも営業しやすくなったため、1,000万~2,000万円の案件をいただけるようになってきたのです。

昨年(2017年)までは、そのあたりがまだ手探り状態といいますか……試験も長い期間がかかりますし、相手にするのが「自然」ですので、思いがけないトラブルがあり、労務費の管理もなかなか難しい部分があります。しかし、社内で徹底的にシステム改善をしまして、そのあたりに関しても、常に進捗状況がわかるかたちとしました。

それもあって、大型案件に関してもきちっと利益を残せるようになりました。こうしたことも、利益率の改善に大きく寄与したと思います。

新規事業① ロードス

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新規事業について、少しお話しいたします。

(このスライドにある)ロードス……これは「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)」という、内閣府が進めているプログラムで、そのスタートを発端に、SIPの仕組みをなんとか使えないかということで、当社で(SIPの)データを地図データに落とし込んで、瞬時にブラウザで見える化するということに取り組んでいます。これが、新規事業の1つになります。

ロードス②

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導入効果としては、ここに書いてあります。各自治体やNEXCOさんに道路管理者がいると思いますが、その方たちをターゲットにしています。

道路管理者の方が現在どうしているかというと、維持管理するためには、「ここの道路を作った」「橋梁を作った」「何年に作った」「そろそろ補修工事かもしれないから、予算をつけなければいけない」といったことを手探り状態で対応していました。

しかし、当社で年間契約等を結ぶと、自席にてパソコンでブラウザをクリックすると、最新のデータを瞬時に見ることができます。解析データも作れますし、データを基に優先順位をつけることもでき、またピンポイントでそこの修繕工事もできるということで、そのあたりのメリットを売りにしています。

実際に先月(2018年7月)、長野県で開催された「電算ソリューションセミナー2018」や、東京ビッグサイトで開催された「インフラ検査・維持管理展」に出展。ロードスの展示会を行いましたが、多くのお客様に好評をいただきました。

ロードス③

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では、ロードスはどのあたりの局面にいるかといいますと……自分たちが「こういうことをやりたい」といっても、マーケットに出して受け入れられなければ意味がないため、まずは(Phase Ⅰの)市場調査を行いました。

次に「Phase Ⅱ」で、ではどうやってサービスを提供していくかというところも、かたちを作りました。

今は「Phase Ⅲ」のところで、自治体を中心に積極的に売り込んでいける状況です。

長野県は(当社の)発祥の地のため、長野市や松本市には入りやすかったのですが、なかなか県外の自治体には入りづらい部分がありました。

しかし、自治体に強いソフトウェア会社さんと販売代理店契約を結び、そこの営業さんが積極的に全国に飛び歩いてくれたおかげで、大阪市、京都市からも導入のお話をいただきました。実際に、来月(2018年9月)ですが、京都市で60キロの実走データ(を収集する)ということが決まっております。

今後は、どこか1社でも良いので(販売代理店)契約を結んで、一気にサービスを提供していきたいと考えております。

新規事業②

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さらにもう1つが、「スマート立会 ラボコネ」です。

こちらは、試験センターにわざわざ担当者が来なくても、担当者は自席にて、発注した試験が正しく行われているかどうかを、いかにも立ち会ったかのように見えるサービスです。

どういう仕組みかというと、今はネットワークが発達していますので、タブレットを担当者に送りまして、担当者はそのタブレットをつけると、ネットワークを通じて当社の試験センターの現場が見られるというものです。

実際に決められたとおりの試験をやっているかであったり、またインタラクティブですので、「これはどうなっているのか」などをやり取りできるようなサービスとなっています。当社に試験(の依頼)をいただくと、このように、わざわざ現地から当社まで来なくても(状況がわかるため)、そのあたりのコスト・時間も節約できます。その点をメリットとしてアピールしています。

現在は、東北の震災の影響を受けた現場などで、かなりこのサービスを提供している状況になっております。

新規事業③

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こちらは、先ほどもお話ししました土壌浄化工事です。これまでは土壌汚染の調査・分析まででした。

土壌汚染はネガティブなイメージがあるため、第三者など、あまり多くの人に知られたくないものです。そこで、できるだけ速やかに1社で対応してもらえないかという要望があり、それでは当社も今年(2018年)から土壌浄化工事を始めようということでスタートしました。

この事業は、地価が高い所でないとあまり意味がありません。東京などの大都市圏であれば良いのですが、長野など(の地方)ですと、地価が安いため、そこまでお金をかける必要があるのか、というところです。しかし大都市に関しては、こういったサービスを実施し、きちっと土地の報告を見て、その土地は間違いないというお墨付きを得た上で転売などに利用していく。よって、かなり需要が高まっているサービスになります。

ラボラトリーの充実

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次に、試験センターのラボラトリーの充実についてです。

現在は、曲市の中央試験センターがメインです。「土・非」と書いてありますが、これは「土質試験と非破壊試験ができます」ということです。

右隣が東日本試験センターで、(2018年)9月10日に正式オープンいたします。ここでは、「土質試験、非破壊試験、環境分析」ができます。また建物の大きさは約500坪で、かなり綺麗な試験センターになります。

左下が、山口にある西日本試験センターです。そちらでも「土質試験、非破壊試験、環境分析」ができる、(東日本試験センターと)同じくらいの規模の試験センターになっております。

そして、(下段)中央が長野市にある環境分析センターです。こちらは、(当社の)発祥の地である長野市篠ノ井にあり、昨年(2017年)までは私や管理部など、一部の従業員もそのセンターにいました。しかし、環境分析の方がかなり手狭になってきまして、そこは環境分析センターにしようということでこのような状況になっています。

海外展開

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海外展開についてです。

近年、経済発展が目覚ましいタイなどにも、当社は積極的に進出していきたいと考えております。

またベトナムが、すごく親しみやすい、よくわかるというところで、来年(2019年)1月の駐在事務所開設に向けて、具体的に進めております。駐在事務所で現地のベトナム人を8名くらい採用して、情報収集をして、実際にベトナムへ進出できるのか、それとも東南アジアの違う国にすべきなのかなどを判断していきたいと考えております。

成長イメージ

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成長イメージについてですが、(グラフの)青い部分は、今まで手がけてきたコア事業、通常の業務です。

赤い部分に関しては、当社が現在かなり注力している、ロードス含めた新規事業になります。

オレンジの部分は海外展開ということで、新たな継続的成長を考えております。

以上、簡単ではありますが、第2四半期の決算説明とさせていただきます。ありがとうございました。

質疑応答:業績が上振れした理由は何か

質問者1:ご説明ありがとうございました。まず上期のご実績ですが、第1四半期の時点でも見通しを修正しておられたと思います。そして今回のご実績を拝見しますと、さらにそこからも上振れています。そこの要因を教えてください。

掛川:第1四半期に関しては、非破壊のコンクリート橋梁やトンネル、ダムの維持管理メンテナンスの受注をかなりいただいたことです。第2四半期に関しては、まずは熊本です。地震あった時に、あそこの砂防ダムがほとんど壊滅状態になりました。そして年内に砂防ダムを新たに40基作るプロジェクトが、本格的に稼働し始めました。

砂防ダムというのは、現地で山の土を掘って、土にコンクリートを混ぜて、できるだけ土砂を出さずに砂防を作るというダムです。それを40基作っていくために、本格的に動いているということで、それがかなり(業績を)牽引しました。

その他、環境調査のアスベスト試験も影響しています。古い建物に関しては、外壁の中にもアスベストが含まれています。外壁の塗料の中にアスベストが含まれているということで、外壁を少し加工する場合にも、もしそこにアスベストが含まれている可能性あります。

その確認試験が、現在すごい勢いで当社に依頼をいただいています。第2四半期も、例年ですと少し(業績が)下がってしまうのですが、よい数字を維持できています。第3四半期も、おそらくこのままいくと考えております。

質問者1:ありがとうございます。それから、予算管理の徹底による利益率の改善ということで、先ほどご説明いただきました。確かに販管費率というのは、非常に改善していますが、粗利益率の方が下がっています。先ほどのご説明ですと、粗利益率も改善しても良いのかなと思うのですが、いかがでしょうか?

掛川:当社の場合、やはり1番の原価というのは、技術員の労務費になります。その技術員の労務費はどうなるかというと、当然、実際の仕事をしていれば、その労務費は原価の方になります。

ただ、技術員が仕事をしないと言ったら語弊がありますが、仕事がなくて事務所で待機して、例えば営業の補助のために見積書を作成したり、自分のスキルアップのために勉強したりすると、技術員の労務費は販管費の方に落ちます。

よって仕事が少なく、技術員があまり忙しくないと技術員の給料は販管費となるため、粗利率はそこまで変わらず、販管費率は増えてくるということです。

ただし、技術員が忙しく動くと販管費が減って、粗利率はだいたい33パーセントくらいを維持します。とにかくうちは仕事をいただいて、技術員が動けば動くほど、利益率がどんどん上がってくるという構造になっております。

質問者1:ちょっと理解が足りないかもしれませんが、そうしますと、粗利益率が下がってしまった要因というのはどういったことでしょうか?

掛川:粗利率が下がってしまった要因というのは、いろんな設備投資です。昨年(2017年)は、試験の減価償却費……原価にかかるものが、年間で1億2,000万円くらいでした。今年(2018年)の予算は1億6,000万円くらいです。新しい試験機を導入しないと、受注に対応できないわけです。

ただし、当社はメーカーではないため「この試験機を入れました、ではどんどん(他の試験機を)消しなさい」とはいかず、受注に対応できる試験機を徐々に入れていくというスタンスで、そこは変えていません。

それでも積極的にやらなければいけないということで、原価償却費が増えたという部分で、ちょっと粗利が下がります。

あとは、従業員の待遇に関しても……当社も一部上場会社ですので、もっともっと福利厚生も含めて手厚くしていきたいと思っており、給料も今年(2018年)の1月から賃金体系を大きく変えました。

本当にやる気の出る、やったらやった分だけお給料をもらえる体系にしました。そこで大幅に上げた分、粗利がちょっと低くなったということになります。

質問者1:ありがとうございます。それから、上期のご実績が期初の計画から大きく上振れしていますが、それに対して、通期の計画を変えていない理由はありますでしょうか?

掛川:社長も含めて、すごく慎重といいますか、真面目といいますか、あまり嘘をつきたくない……そういう部分ですので、本音の部分では、当然私どもも、予算、通期、あのままで済むとは思ってません。

しかし、発表に関しては、ある程度の確信みたいなものがないとできない部分ですので、第2四半期では抑えようというところです。第3四半期の決算の時には、このまま推移したら、当然変更させていただくかたちになると思います。

質問者1:あともう1点。今回、土壌浄化工事を新たに始められるということですが、そもそも現地浄化など、非常に利益率の良い、生産の良い工事とかもあると思います。御社の場合、どういった浄化内容なのか、さらに、専業でやっている業者さんに対して、競争力等々はどうなのか、何かありましたらご紹介ください。

掛川:土壌浄化工事もいろいろな種類があり、本格的にプラントを作ってやる部分もありますが、私どもはまだまだ参入したばかりですので、一番手っ取り早いといいますか……要は、汚染されている土壌はすべて取っ払っちゃいます。

また、それをやるにあたっても、資格を持った代理人がいなければいけないという部分で、当社は、それをメインでやっています。ゆくゆくは、そこでプラントを作って浄化までをやれるかもしれないと考え、そういった協力業者さんも探している状況です。

質問者1:現状は、ちょっと採算面では厳しいですか?

掛川:いえ、そんなことはないです。土壌浄化工事に関しては、かなりの利益率が残るかたちになっています。浄化工事と言っても、土を積み上げたところに搬出するという形です。いろんな手続きはありますが、手離れが良いと言いますか、利益率はすごく高いです。

質問者1:ちなみに、この土壌浄化は、セグメントではどこに入ってくるのでしょうか?

掛川:今は、環境調査という部分で始めています。ただ、金額もまだ、今期はたぶん1億~2億円くらいだと思いますが、そのうちにこれも環境調査という括りではなく、土壌浄化という部署、1つの試験項目としてセグメント分けしていくかたちで考えております。

質問者1:そうしますと、調査から一括請負と言いながらも、調査の方は環境調査の方に入って、土壌工事は将来的には別立てになる可能性があるということですね。

掛川:そうですね。つまり、原価管理の部分で考えていますので、こうしますというのはまだ言えないのですが、将来的にはそういった考えもあるかなと思います。

質疑応答:ラボラトリーでの自動化システムについて

質問者2:上期、第1四半期は非破壊が良く、第2四半期は土質が良かったというところなのですが、下期は土質・非破壊・環境で区分すると、どういう見方をしておけば良いでしょうか。足元の受注状況も含めて、下期のポイントをお願いします。

掛川:先ほどお話ししましたアスベスト関係の環境調査は、引き続き年内はかなりの勢いで受注できると思います。

実際、アスベストの分析はまったく追いついておらず、急遽、試験機を新たに導入しているような状況ですので、年内は間違いなくこのまま続くかなと思っています。

また土質に関しても、引き続きこのままだと思います。40基を作るというのは、物理的に無理なところを一生懸命対応しているため、これも年内はこの状況かなと思っています。

ただし、非破壊に関しては、昨年度の予算での維持管理が終わりました。これから新たな予算の中で、どういった仕事が出てくるかによって、非破壊がそのままいくか、もっと上がるか。これはまだ見えていない状況です。

質問者2:前期、前々期くらいでしょうか、東京オリンピックに絡んだ案件や、リニア(モーターカー)に絡んだ案件などで、受注が増えたかと思いますが、その後も受注が増えていますか?

掛川:引き続き増えています。東京オリンピックに関しても、国立競技場では最初の部分で対応できていますし、他の部分、例えばアーチェリー場の試験を引き続き対応しており、動態調査を行っています。

またリニアに関しても、どんどん案件をいただいているのですが、ゼネコンさんとの守秘義務があり、公表したいところですが公表NGだと言われております。しかし、実際はまだ本体工事は本格的に動いていません。

ただし、本体工事を行うための、その工事用の道路の建設が進んでいまして、その試験に関しては、かなりお話をいただいているような状況です。

また、最近広島の方で災害などがありましたが、そういった災害があると、まずは復旧が始まって、ある程度ライフラインが復旧したら、今度は復興が始まります。復興が始まりますと、当然新しい都市計画が始まるため、私どものようなところは、すぐに必要とされます。実際に、(案件が多すぎて)いろんなところの依頼を断っている状況でして、そのあたりをいかに受けていくかがカギになるのかなと思います。

質問者2:御社の昨今の情勢を見ておりますと、いろんな案件が大型化しており、けっこう大きな案件を受注できているのかなという印象を持っています。大型化することによって、利益率は低下するという見方でよいでしょうか?

掛川:大型化すると、それだけ長い期間がかかります。長い期間の案件で何が起こるかというと、相手が「自然」ですので、予想だにしないトラブルが出てきます。そうすると、最初の実行予算で組んだ以上の手間がかかるといった可能性があるため、すぐに手離れする試験に比べたら、大型化というのは危険もはらんでいる……売上はもらえるけれども、実際に蓋を開けたらあまり儲からなかったということもあります。それが、去年(2017年)までの結果でした。

しかし、それではまずいということで、大型化のものに関しても、常に誰かがシステムである程度の進捗状況・利益率が見えるような仕組みを作りました。それを注視しながら、注意深く取り組んでいくということで、今年(2018年)は利益が確保できているかたちになっています。

質問者2:ありがとうございます。最後に、資料15ページ「自動化システム」と書いてありますが、これは実際はどういうもので、これを導入することによってどうなるのかを教えてください。

掛川:よくぞ聞いてくださいました。すごく説明したかったのですが、これは当事者でないとわからないと思っていました。少し説明しづらく、すごさをわかってもらえないかもしれません。

土質試験という試験がメインなのですが、何をやるかというと、現場から土を30キロくらい持ってきて、室内で試験をします。しかし、その土を持ってきて、すぐに試験をできるわけではありません。土は、石も入ってれば、いろんなものも入っていますよね。

それを、ざるのような、決められた大きさのマス(穴)があるものが何種類も用意されていて、それを振るって落としていくという作業を行います。当社も含めて、今は土質試験の会社が「人を使って」対応します。当社の場合も、5名が丸1日、ずっと振るっています。そうすると、いろんな種類の土の試料に仕分けることができて、初めてそれで試験ができるようになります。

この自動化というのは、土が来て、それを(この機材に)置くと、勝手に全部やってくれるのです。ですから、土を置くと、(自動で)振るわれて、材料ができあがるという画期的なシステムなんです。今まで5名で対応していたのが、1人でできる。当社では、これを売りにしたいと思っています。こんなことをやっている会社は、まずないと思います。

本当にアナログな業界ですので、これを普通の工場のようにラインにしたのは当社が初めてですし、これで特許を取得して、1つの試験室として本格的に稼働できれば、他社や海外にも売っていきたいと考えています。これは、(2018年)9月に動き出します。

ただ、金額が高い。メーカーさんも初めて作るようなもので、最初はこんなことできないと言われました。それをなんとか交渉しながら、……最初は、8,000万円くらいかかりました。しかし、ノウハウができたため、2台、3台となれば安く作れますし、当然自社でも作りますし、そうすればどんどん売っていけると考えています。

ただ、これが売上としてどうなるのかと言われますと、その効果が出てくるのは、やはり導入してからのことになるのかなと思います。

質疑応答:公共事業が減少するなか、ここまで成長できた要因について

質問者3:土質調査の業態は、公共事業などの動向(影響)を受け、どちらかというと右肩下がりの状況の中、御社がここまで成長してきた要因についてご説明いただきたいと思います。またそれに対して、今後も同様の成長が継続して可能かどうかもお聞かせください。

掛川:当然、当社のような仕事のトップは公共事業です。ですが、私どもは、直接入札をして役所から仕事をいただくというのは、全体の2割もありません。それ以外は、民間から仕事をいただいています。

つまり、公共事業に入札したゼネコンなり同業他社の仕事を当社がいただいているという状況です。公共事業で直接入札しなくても、必ずどこかが入札して落札するわけですから、そこから仕事をいただければ、当社の仕事がなくなることもありません。

また、こういった建設コンサル業務が当社の売上の9割以上を占めていたとしたら、公共事業が減ったら当社も売上も落ち込んでしまいます。しかし、まだまだそこまで割合は大きくなっていません。

確かに長野県に関しては、建設業界さんの9割くらいは、もう当社というのはわかります。しかし県外に行けば、まだまだシェアは少ない。いくら公共事業が減ってきたといっても、当社は逆に右肩上がりでここまで来ましたし、これからもまだまだ上昇できると考えております。

質問者3:ありがとうございます。もう1点お願いします。ロードスの業績への貢献について、スライドではかなり伸びていくように見えますが、数字の面を含めて、解説いただけないでしょうか?

掛川:ロードスに関しては、私どもも初めてのタイプといいますか、(従来の事業とは)利益構造が違う部分です。仕組みに関してはもうできあがっていますので、後はデータを集めていくだけです。

データを集めたら何をするのかというと、レーダー……大型もありますし、小さなプロトタイムも作っていますが、そのレーダーを用いて道路を走って、データを収集していくだけです。

それだけですので、もう大きな初期投資は終わっています。これから実際にかかる費用は、ガソリン代、運転手代、車代くらいです。

自分たちが走らなくても、例えばタクシーや宅配業者の車の下に(レーダーを)付けてもらって、ただ走ってもらえばデータを回収できるため、原価は知れているかなと思います。契約内容としては、年間契約で、後は距離に応じてといったかたちで考えています。今ですと、年間約4,000キロで約1,000万円、1キロ増えるごとにいくら、という契約です。

例えばNEXCOさんは、全部で10社あります。例えば都道府県は47都道府県あります。また市町村で考えたら、もっと数があります。仮にそれらすべてと年間契約ができたとしたら、黙っていても何十億円、何百億円と入ってきます。さらに、今度は具体的な試験(の発注)をいただく。すると、付随的にどんどん仕事がもらえるかたちになるのです。

質疑応答:他社優位性について

質問者4:簡単な質問ばかりで恐縮ですが、本日、社長が欠席した理由はなぜでしょうか?

掛川:所用ということです。私もそこまで詳細をつかんでいないのですが、急遽、私がピンチヒッターになりました。

質問者4:御社が試験所で使う機械は、ほとんどが自社開発のものですか?

掛川:自社開発というよりも、JISで決められた試験を行うため、当社オリジナルのものというわけではなく、どこでもあるものです。試験のやり方が決められているため、どこでも同じものかと思います。

ただし、先ほど説明した土質試験の自動化の機械はオリジナルのもので、まだ世に出ていません。

質問者4:この業界の中で、御社の競争優位性はどこにあるでしょうか? 試験機は仕入れたものですし、労働集約の事業だと思うので、御社のノウハウ、参入障壁と競争優位性について教えてください。

掛川:実施している試験は、別に当社だけのものではないため、やろうと思えばできると思います。ただし、よく説明するのですが「ライバル会社はどこですか?」と言われたときに、当社にライバル会社はいません。

土質試験の部署、環境の部署、非破壊の部署といったところでは、それぞれで専門にやっている大きな会社はあります。そこがライバルにはなりますが、当社のように豊富な品揃えがある部署……建設業界で、いわゆるコンビニのようにすべてが揃うと言いますか、豊富な試験項目を揃えているところはほかにありませんので、そこが他社とは異なり優位性になるのかなと思います。

当社の場合は、横向きに刺したと言いますか……縦に深くというよりも横に広くという姿勢ですので、お客様のどのような要望にも応えられると思います。

通常は、現場に行くといろんな問題が起きますね。そうすると、この問題が起きたらこっちの会社、あの問題が起きたらあっちの会社、といったかたちでお願いしなければなりません。しかし当社は一通りの業務に対応できるため、1社でできるということで、お客さまにとっても「土木管理に頼むと全部やってくれるから良いよね」となります。そういったところが優位性になるかなと思います。

質問者4:ありがとうございます。最後に、ロードスへの期待感がかなりあると思いますが、上場企業でもこうしたレーダーを使っている会社は既にあるため、御社がなぜこの分野を伸ばせるのか、他社優位性はどこにあるでしょうか?

掛川:他のレーダーもありますし、赤外線もありますし、いろんな調べ方があります。そして当社に限らず、他社さんも早くデータ収集することもできます。ただし、その収集したデータを瞬時に見える化する、ここの「見える化するソフト」に関しては、当社と東京大学しか持っていない特許になります。

これは、他社が絶対できない部分です。データ収集まではできると思いますが、それを瞬時に見える化するところに苦戦しており、どこも発表していません。当社はこれができるため、それならサービスとして提供しようというところです。他社さんが絶対に入ってこられない部分です。

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