「東レの年収は実際どれくらいなのか?」「繊維・化学業界大手で働くと、どの程度の給与水準が期待できるのか」と気になっていませんか?

有価証券報告書によると、東レ(提出会社単体)の平均年間給与は838万4000円で、前事業年度から2.2%増加しています。

ただし、この数字は繊維事業から炭素繊維複合材料事業まで幅広い事業を展開する同社の、単体約7000名の従業員全体の平均であり、事業セグメントによって実態は異なります。

本記事では、2026年3月期の最新の有価証券報告書をもとに、東レの平均年間給与・従業員数・業績推移・今後の経営方針を詳しく解説します。

就職や転職を考えている方はもちろん、同社の株主・投資家の方にとっても、待遇や経営状況を把握する参考になるはずです。

ココがポイント
  • 平均年間給与838万4000円(前年比2.2%増):素材大手として着実な給与水準の伸びを見せている。
  • 従業員数は単体7027名、連結4万6294名:繊維事業を筆頭に、機能化成品や炭素繊維複合材料など5つの事業セグメントに人員が配置されている。
  • 「プロジェクトAP-G2025」目標未達を経て新中期経営課題「IGNITION 2028」が始動:2024年3月期の落ち込みから回復した業績と、2026年度からの新たな成長戦略の中身がわかる。

1. 東レの平均年間給与はいくら?2026年3月期の最新データ

東レ株式会社(提出会社単体)の2026年3月31日時点における平均年間給与は838万4000円で、前事業年度から2.2%の増加となりました。

平均年齢は40.8歳、平均勤続年数は17.4年です。

東レ株式会社(提出会社単体)主要データ1/3

東レ株式会社(提出会社単体)主要データ

出所:東レ株式会社「有価証券報告書 第145期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」をもとにLIMO編集部作成

平均年間給与は前事業年度から2.2%の増加となり、着実な伸びを見せています。

2. 東レの従業員数は何人?セグメント別の内訳

有価証券報告書によると、提出会社(単体)の従業員数は2026年3月31日時点で7027名です。

単体のセグメント別従業員数は以下の通りです。

  • 繊維事業:1572名
  • 機能化成品事業:2531名
  • 炭素繊維複合材料事業:1198名
  • 環境・エンジニアリング事業:329名
  • ライフサイエンス事業:618名
  • 全社:779名

また、連結の従業員数は4万6294名です。セグメントごとの内訳は以下の通りです。

  • 繊維事業:1万9781名
  • 機能化成品事業:1万1478名
  • 炭素繊維複合材料事業:6231名
  • 環境・エンジニアリング事業:4586名
  • ライフサイエンス事業:1329名
  • その他:2110名
  • 全社:779名

東レ株式会社 セグメント別従業員数2/3

東レ株式会社 セグメント別従業員数

出所:東レ株式会社「有価証券報告書 第145期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」をもとにLIMO編集部作成

セグメント別の内訳をみると、単体・連結いずれも祖業である繊維事業が最も多くの人員を抱えており、次いで機能化成品事業が多くなっています。同社の主力である素材ビジネスの厚みがうかがえます。

3. 過去5年間の業績推移―2024年3月期の落ち込みからの回復

過去5期の連結業績を振り返ってみましょう(IFRS基準)。

売上収益は2022年3月期の2兆2285億円から、2024年3月期にいったん2兆4646億円へと伸びが鈍化したものの、2026年3月期には2兆5851億円まで拡大し、過去5期で最高となりました。

一方、親会社の所有者に帰属する当期利益は、2022年3月期の842億円から2024年3月期には219億円まで大きく落ち込みました。

その後は回復基調をたどり、2026年3月期には795億円まで持ち直しましたが、2022年3月期の水準にはまだ届いていません。

東レ株式会社 業績推移(連結)3/3

東レ株式会社 業績推移(連結)

出所:東レ株式会社「有価証券報告書 第145期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」をもとにLIMO編集部作成

東レは2023年度から2025年度までを対象とする中期経営課題「プロジェクトAP-G2025」を推進し、構造改革や「戦略的プライシング」により売上収益・事業利益とも2022年度比で大幅に増加させました。

一方で、中国競合の台頭や保護主義の加速などグローバルな事業環境変化の影響を受け、数量の未達を主因に、売上収益・事業利益ともに当初目標には届かず終了しています。

4. 今後の方針―新中期経営課題「IGNITION 2028」

東レは2026年度から2028年度までの3年間を対象期間とする新たな中期経営課題「IGNITION 2028」を始動させています。

「東レ理念」を起点に「経済的価値の向上」「社会的価値の向上」「経営基盤強化」に取り組むとしており、既設設備からの利益極大化や高収益事業の継続的な創出に向けた研究技術開発戦略の推進、低収益事業の構造改革によるROIC向上を目指す方針です。

財務目標としては、2028年度に売上収益3兆円、事業利益2300億円、ROIC約7%、ROE約8%を掲げています。

経営基盤強化においては「人を基本とする経営」やDX・AI活用の強化なども掲げられており、就職・転職を検討する際の企業研究の材料としても参考になりそうです。

5. まとめにかえて

東レの平均年間給与は838万4000円と、前事業年度から2.2%の増加を見せています。

従業員数は単体7027名、連結4万6294名で、祖業である繊維事業を中心に幅広い事業セグメントに人員が配置されている点が特徴です。

業績面では、2024年3月期にいったん利益が大きく落ち込んだものの、2026年3月期にかけて回復基調をたどっています。

2026年度から始まった新中期経営課題「IGNITION 2028」のもと、高収益事業の拡大と構造改革を両輪としたさらなる成長が期待されています。

5.1 【注意点】有価証券報告書における年間平均給与及び従業員数について

平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでいます。また、従業員数は就業人員数であり、社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含んでいます。

5.2 【ご参考】有価証券報告書とは

日本取引所グループによれば、金融商品取引法に基づく法定開示として、財務内容や事業・営業の概要を記した有価証券報告書を各地財務局に提出することが上場企業に義務付けられており、その内容は金融庁のEDINETで誰でも閲覧できるとされています。

6. 本記事の監修を終えて:新NISAで資産運用を行う元FP会社職員の監修者コメント

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下村 美乃莉

東レは繊維事業を祖業としながら、機能化成品や炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスなど幅広い事業を展開する総合素材メーカーです。就職や転職を検討する際は、平均年間給与の水準だけでなく、どの事業セグメントに配属される可能性があるかによって、業務内容やキャリアパスが大きく異なる点に注目したいところです。新中期経営課題「IGNITION 2028」では「人を基本とする経営」の強化も掲げられており、人材育成への投資姿勢もあわせて確認しておくとよいでしょう。

投資家目線でみると、東レは前中期経営課題「プロジェクトAP-G2025」で目標未達に終わったものの、2024年3月期の落ち込みから業績を着実に回復させてきた点は評価できます。新たに始動した「IGNITION 2028」では、ROIC向上に向けた低収益事業の構造改革と高収益事業の拡大が掲げられており、これらの取り組みが実際の収益性改善につながるかが、今後の株価動向を占ううえでの注目点となりそうです。新NISAなどを活用して同社株に長期投資する場合も、事業ポートフォリオの入れ替えの進捗を継続的にウォッチすることをおすすめします。

 

参考資料

マネー編集部年収班