2. 負けにくい資産運用を実現するコツ
次に、50歳から資産運用を行う場合に、負けにくい投資をするポイントを4つ紹介していきます。
2.1 多様化したポートフォリオを構築する
50歳代以降の投資において重要なことは、できるだけリスクを抑えて元本割れを防ぐことです。株式、債券、不動産投資信託など、多様な種類の資産に分散投資を行うことで、市場の価格変動に対するリスクを軽減することができます。
さらに、日本の商品(株式や投資信託)以外にも、海外の商品も取り入れることで、1つの国の通貨の価値が下がった場合の為替リスクも抑えることができます。
2.2 途中で辞めない
積立投資において、途中で停止せずに毎月一定額の積立を続けることも、リスクを下げるために重要なことの1つです。
価格の変動を見ていると売り出したくなったり購入を止めたくなったりする月もありますが、一時的な動きに惑わされずに毎月一定額を購入することで、購入単価を平準化して価格変動のリスクを抑えることができます。
2.3 無理のない計画を立てる
生活を圧迫させるような投資額を設定すると、途中で減額をしたくなったりやめたくなったりする恐れがあります。
積立投資の効果を一番に発揮するためには、毎月定額で長期的に運用を続けることが必要です。
そのため、最初の計画として生活費を圧迫するような無理のある価格を投資しようとせずに、無理せず続けられるような金額と期間の計画を立てることが重要です。
2.4 まずは始めてみる
そして何よりも重要なことが、まずは投資を始めてみることです。投資が未経験の人にとって、投資を行うことはハードルが高いことだと思います。
実際に、投資を始めることに躊躇する理由として、「投資の知識が不足している」「余裕資金がない」という声が多く聞かれます。金融庁が2024年に実施した調査でも、投資未経験者の半数以上がこれらを理由に挙げています。
しかし、現在の新NISA制度では、初心者でも安全で簡単に投資を行うことが可能な環境が作られています。調査によると、NISA口座を開設した際の毎月の投資額として、50歳代投資未経験者の回答者の3割程度が月1万円未満という、積み立てていくのが難しくないような金額を希望しています。
大切なのは、投資の基本的な仕組みを理解した上で、自分の生活に無理のない範囲で始めることです。たとえ少額からでも、継続的な投資をすることで、着実に老後の生活資金を作っていくことができます。
3. おわりに
50歳からの積立投資は、たとえ15年という短期間であっても、計画的に運用を行うことでリタイア後の生活に向けた資産形成が可能です。
少額でも定期的に続けることで、リスクを減らして高確率で資産を増やすことができます。
重要なのは、利回りの目標を適切に設定し、無理のない金額で着実に資産を増やしていくことを目指すことです。
投資に対する不安が強い場合には、専門家の助言などを聞きながらライフプランを組み立てることも検討してみてください。未経験だからと躊躇をし過ぎずに、まずは飛び込んでみることで、充実したシニアライフに近づくことができるはずです。
参考資料
- 金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 金融庁「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」
- 総務省統計局「人口推計2024年(令和6年)11月報」
斎藤 彩菜