人気下火のビットコイン~仮想通貨の命運を握るビットコインETFは実現するのか?

カギは管理業務の整備

人気が下火となって久しい仮想通貨ですが、起爆剤として期待されたビットコインETFの上場が先送りされたことも不人気に拍車をかけているようです。もはや仮想通貨の命運を握っているといっても過言ではなくなってきているビットコインETFですが、いつになったら上場されるのか、見通しや課題を踏まえて最近事情をまとめてみました。

ウィンクルボスETFの申請却下でビットコイナーも意気消沈

2018年の仮想通貨市場はビットコインETFを巡る期待と失望で揺れ動いており、年初来の安値圏に沈む現在のビットコイン価格がそのことを端的に物語っています。というのも、最近の仮想通貨市場の低迷にはビットコインETFに関連する2つの大きな失望が影響しているとみられているからです。

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まず、7月下旬にウィンクルボス・ビットコイン・トラストETFの上場申請が米証券取引委員会(SEC)により却下されています。

申請を主導したウィンクルボス氏は双子の兄弟で、フェイスブックのアイデアを巡る同社との訴訟で一躍有名になりました。2013年に訴訟で得た和解金をビットコインに投資し、その後の価格上昇で大富豪の地位へと登りつめています。

フォーブス誌が今年2月に公表した仮想通貨長者番付では堂々4位にランクインしており、保有するビットコインの時価総額は10億ドル(約1100億円)相当と推計されています。

ウィンクルボス兄弟は2015年に仮想通貨取引所「ジェミニ」を設立し、米ドルとビットコインとの取引で大きなシェアを占めるなど、ビットコインの普及に並々ならぬ熱意を示してきました。また、2013年という早い段階でビットコインETFの上場を申請し、2017年3月に却下されています。

こうした経緯から、ウィンクルボス兄弟はビットコイナー界の「教祖」的な存在となっており、満を持して再申請したウィンクルボスETFがあっさりと却下されてしまったことで支持者に大きな衝撃が走ったようです。

最有力だったCBOE ETFも審議延長で投資家心理の悪化に拍車

さらに8月7日には、SECがシカゴオプション取引所(CBOE)が申請していた「VanEck SolidX Bitcoin Trust ETF」(CBOE ETF)を承認するかどうかの審議を9月30日まで先延ばししたことも投資家心理の悪化に拍車をかけたようです。

背景にはこのCBOE ETFが最初のETFとして本命視されていたこと、そして8月10日を運命の日と見込んでフライングぎみに資金が流入していたことが挙げられています。

CBOE ETFが本命視されていた最大の理由はビットコインそのものを裏付けとしていた点です。当たり前と思うかもしれませんが、これまで25種類以上のビットコインETFが申請されていますが、そのほとんどが先物をベースとしています。

やや難しい話となりますが、ビットコインの場合、この先物契約に現物の裏付けがありません。たとえば、100ドルで買ったビットコイン先物が150ドルに上昇した場合、差額の50ドルを受け取ることはできますが、ビットコインを受け取ることはできません。

多くの先物取引は現物を裏付けとしており、たとえば100ドルで買った金がその後150ドルに上昇した場合、150ドルで反対売買をして差額の50ドルを得ることも可能ですが、100ドルで現物を引き受けるという選択肢もあります。

ビットコインが何であるかは専門家の間でも意見の分かれるところですが、ことETFの申請に関しては商品(コモディティ)として扱われています。ただし、ビットコインは金や原油と違って実物資産として物理的に存在しているわけではありません。

また、ビットコインは半数以上のコンセンサスを得られればコードを書き換えることが可能です。さらに、ビットコインから分岐(フォーク)したビットコインキャッシュ(BCH)はBCHこそ本物のビットコインだと主張しています。

こうした状況を踏まえて、最低限ビットコインの現物を保有してETFの裏付けとすることが求められていると考えられています。

また、申請から承認に至るプロセスに誤解があったことも状況を複雑にしたようです。ETFは申請から45日以内に承認の可否が判断されますが、必要に応じて公開から90日まで延長が可能です。さらに、審議期間は最大で240日まで延長することができます。

CBOE ETFは6月26日に申請され7月2日に公開されていますので、まず申請から45日以内となる8月10日までに何らかの判断が下されることになりますが、今回の8月7日の発表は公開から90日に当たる9月30日までの継続審議が決定されたことを示しています。

ただ、8月10日までに承認の可否が判断されると勘違いをした投資家が承認されることに賭けてビットコインの買いを膨らませたことで、8月7日の判断先送りが寝耳に水となり、投資資金が潮が引くように撤退したことが相場を崩したとの見方もあるようです。

問題はカストディアン、分離保管に嫌疑

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LIMO編集部

LIMO編集部は、個人投資家向け金融経済メディアであるLongine(ロンジン)の執筆者である国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーやビジネス系インターネットメディアでの運営経験者等を中心に立ち上げ。その後Longineのサービスは2020年3月に終了となったが、Longine編集部のメンバーは引き続きLIMO編集部のメンバーとして在籍し、お金のプロとしてコンテンツ編集や情報を発信しています。LIMO編集部は、証券・金融業務メンバーに業界紙出身の新聞記者などもメンバーに加え、国内のみならずグローバルの視点から、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報をわかりやすくお届けします。