日経平均はトルコリラショックで急落後に乱高下
2018年8月17日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より78円34銭高の22,270円38銭となりました。
週初はトルコリラ急落の影響を受けて投資家の間にリスク回避の動きが広がり、日本株も幅広く売られました。13日の終値は21,857円と、およそ1か月ぶりに22,000円を割り込みました。ただしその後は乱高下となり、金曜日の終値は結局、前週比で27円安程度に落ち着きました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。まず懸念されるのはトルコ問題です。米国との対立でトルコの通貨リラは1日で一時20%近くも下落しました。今後問題が長引けば、欧州の金融市場だけでなく、インドネシアなどアジアの新興国のリスクにもつながります。
今週23日から3日間、米国ワイオミング州で、日米欧の中央銀行首脳らが集まって経済政策を討議する国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が行われます。24日には連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も講演する予定になっており、その内容次第で為替や株式の相場が大きく動く可能性があります。
もう一つの懸念は米中間の貿易摩擦です。トランプ米政権は23日から160億ドル相当の中国製品に最大25%の追加関税を発動します。これを受けて中国も同規模の報復措置を取るとしています。追加関税の応酬がこれからも続きそうです。
一方で、米中は対立の緩和に向けて、11月にパプアニューギニアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)などに合わせて両国首脳会談開催を模索していると伝わりました。これらを受けて、17日のダウ工業株30種平均株価は約6か月ぶりの高値となっています。
トルコショックにしても、米中の貿易摩擦にしても、その発端は、トランプ米大統領の言動です。11月の中間選挙までは保護主義的な強攻策がさらに打ち出されることも考えられます。引き続き神経質な展開となりそうです。
主要な移動平均線をすべて割り込むが下値は限定される
先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末の10日に、5日線、25日線、75日線、200日線と、主要な移動平均線をすべて割り込み、大きく下落しました。
週明け13日にはさらに大きく窓を開けて寄りつくと、そこからさらに下落し長い陰線となりました。ところが、翌14日にはその窓を埋める陽線となり、まさに「往って来い」の動きでした。長い陰線と陽線が繰り返される乱高下の1週間でした。
今後の動きはどうなるでしょうか。まず目線をどちらに持つかという点です。足元では、5日移動平均線は回復したものの、依然として25日線、75日線、さらには200日線よりもローソク足の実体が下にあります。その点では、まだ力強く買いに行ける状況ではありません。
では目線は下かというというと、それも難しいところです。というのは、13日に大きく下げたものの、その後は安値を割り込むことはなく、むしろこの安値付近でサポートされているような動きになっているのです。実は、このあたりには、3月26日の安値と7月5日の安値を結ぶ下値サポートラインがあります。先週はここで下げ止まったのです。
こうしたことから、8月13日の安値(21,851円)を割り込まない限りは、押し目買いの好機になります。上値めどは、直近の戻り高値である8月15日の22,380円、節目として意識されやすい22,500円になります。
この付近は過去にもみ合ったところであることに加えて、複数の移動平均線が収束しています。そのため、上抜けるには抵抗力も大きいのすが、抜けてしまうと逆に下値サポートラインに変わります。ひとまず週初にどちらに動くか注目したいところです。
下原 一晃