次期米国大統領に指名されましたドナルド・トランプ氏。

トランプ氏の動向からは目話せませんが、一方で米国の株式市場は引き続き堅調です。

2024年もいよいよ年末です。来年の相場はどうなるかと考える投資家も多いかと思います。

富裕層の中には、ほったらかしで資産を増やす方もいますが、経営者の方も多く、相場動向に関心を持たれる方もおられます。

今回は、元証券会社勤務の社員で、富裕層向けの資産運用アドバイザーであった経験をもとに、富裕層の3つの特徴をまとめてみました。

1. 元証券会社社員が見た、富裕層に共通点する3つの特徴

ここからは、元証券会社社員の筆者が見てきた「富裕層の共通点」をまとめてみます。

1.1 【特徴1】物事の優先順位付けを行い、迅速な対応ができる

お金持ちの方は、勤務先で責任あるポジションに就かれている方も多く、また仕事や付き合いなどで多忙な傾向にあります。

仕事の中で重要な決断を下す必要もあり、瞬時に優先順位をつけて物事に取り組んでいる様子でした。

しかし、優先順位があったとしても、いずれも責任が伴い、手を抜くわけにはいきません。

そのため、時間を有効に使い、1つ1つの物事に対して迅速に、そして真摯に対応されている方が多かった印象です。

また、時間が有限であることを常に意識されており、ちょっとした隙間時間も大切にします。

たとえば、「ランチが提供されるまで」や「エレベーターが到着するまで」など、待ち時間も活用しながら、日々やるべきことに取り組んでいました。

1.2 【特徴2】何事に対しても探求心が強い

お金持ちの方は、探求心が強い方が多いです。

自分の得意分野や興味があることだけに固執せず、さまざまな事柄に対し興味を持つ傾向にあります。

「なぜ?」や「知らない」ということがあると、自分で調べたり専門家に聞いたりして、わからないことをそのままにしておくことはありません。

知識をアップデートさせることで、ビジネスセンスが磨かれ、さらにお金持ちになっていく方もいらっしゃいました。

1.3 【特徴3】徹底して比較して選ぶ

お金持ちの方は、シビアに物事を見定めます。

日々、時代の流れや、価格の変化などにアンテナを張っているため、「いつも〇〇で買っているから」という理由で購入を決めることはほとんどありません。

商品やサービスなどは、必ず比較し、質と価格をしっかりと見極めたうえで、どれを選ぶか決断します。

ビジネスとしてだけでなく、プライベートでの買い物においても「どこのスーパーが安い」「〇〇の最安値は、ここのお店」など、お得な情報を知っているお金持ちの方は多いです。

ここまでは、私の経験から富裕層の特徴についてまとめてきました。

では、富裕層とはそもそもいったいどのような定義なのでしょうか。

2. 【定義と世帯数】そもそも富裕層とは何か

【写真1枚目/全2枚】日本での富裕層の世帯数。以降の写真で富裕層の増加傾向を紹介1/2

日本での富裕層の世帯数

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」

富裕層について語る前に、野村総合研究所の資料をもとに、富裕層について簡単にまとめてみます。

2.1 富裕層の定義とは

そもそも富裕層とはどのような定義なのでしょうか。

野村総合研究所による報告によれば、富裕層とは「純金融資産で1億円以上保有」している世帯と定義しています。

また、同基準で5億円以上保有する世帯を「超富裕層」と呼んでいます。

2.2 富裕層は日本にどれくらいいるのか

日本には純金融資産1億円以上の富裕層(ここでは超富裕層も含みます)が148万5000世帯存在しています。

割合にすると全体世帯数の2%程度が富裕層以上ということになります。

  • 超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
  • 富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
  • マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円

この富裕層をさらに細かく分類すると、資産1億円以上5億円未満の「富裕層」が約2.6%(139万5000世帯)、5億円以上の「超富裕層」が約0.2%(9万世帯)を占めています。

全世帯数は5413万4000世帯とすると、資産1億円以上の世帯は約2.7%ということになります。

3. 【データ】増え続ける日本の富裕層世帯数…2021年には148万世帯を超えた

賃金も上がらず、物価などからくらしが苦しいと嘆く人が多い中、富裕層が増え続けるにはどのような理由があるのでしょうか。

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移2/2

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」

2005年から2021年にかけて、富裕層は増加しています。

富裕層と超富裕層が保有する資産総額の推移は以下の通りです。

  • 2015年:272兆円
  • 2017年:299兆円
  • 2019年:333兆円
  • 2021年:364兆円

2015年と21年で比較してみると、総資産額は実に34%も増加しています。

4. 【ご参考】日本の富裕層が増えた3つの背景

それでは、なぜ日本で富裕層が増え続けているのでしょうか。

続いてその背景について見て行きましょう。

日本で富裕層が増え続けている理由として、様々な要因が考えられますが、今回は以下のような要因をあげてみます。

4.1 【背景1】国内外の株価上昇

皆さんもご承知の通り米国の株式市場は長期的に堅調に推移し、ダウ工業平均株価やS&P500といった株価指数は、でこぼこはありながらも長期的に上昇トレンドとなっていました。

また、米国だけではなく、世界的な株高が継続してきたという背景もあるかと思います。

富裕層はそうでない世帯と比較して一般的に株式の保有額やその比率が高いことから、株式市場の環境が資産額の増減に影響を及ぼします。

したがって、世界的な株高の背景は最も大きな背景としてあげられるでしょう。

4.2 【背景2】非課税枠のある投資制度の充実による資産形成機会の拡大

また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の登場も無視はできません。旧NISAは以前からありましたが、やはり多くの人が投資を始めたきっかけというと、2018年にはじまった「つみたてNISA」は多いのではないでしょうか。

NISA制度は2024年より「新しいNISA(いわゆる新NISA)」として展開されています。10年近い期間を経て、こうした非課税枠のある投資制度の拡充により、個人が資産形成に関わる機会は増えてきました。

10年前に投資に興味がなかった人も、NISAなどの制度をきっかけとして証券投資をはじめたという人は多かったのではないでしょうか。先ほども指摘した通り、世界的に株価はこれまで長期にわたり上昇傾向にあり、早い段階で資産形成を始めた人ならば相応の利益が出ていることが推測できます。

4.3 【背景3】相続や贈与によるもの

富裕層になった人のなかには、相続や贈与から多額の資金を手に入れた人もいるでしょう。

高齢化が進む日本では、親などから資産を受け継ぐ人が増え、結果として富裕層の数が増えている可能性もあります。

一般的な家庭であっても「遺産分割で祖父母の遺産を継いだ」という人も少なくありません。

こういった株式市場の好調さ、資産形成の機会拡大、また人口動態の変化などが、富裕層の増加に寄与した可能性があります。結果として、本人の意図しないところで富裕層の仲間入りを果たした、という人もいるでしょう。

5. まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。

今回は、富裕層の特徴や純金融資産1億円以上の富裕層の割合について解説してきました。

今後の資産運用の参考になれば幸いです。

参考資料

安達 さやか