厚生年金を受給している方が、一定の条件を満たした配偶者や子どもを扶養している場合、「加給年金」が上乗せ支給されます。加給年金は、家族を養うために必要な費用を補填するためのもので、年金生活世帯の経済的な負担を軽減することを目的とした制度です。
しかし、加給年金を受給するには受給者本人をはじめ、配偶者や子どもにも条件があります。
本記事では、加給年金の支給対象者や支給条件、申請方法などについて解説していきます。
1. 厚生年金の「加給年金」とは
加給年金とは、厚生年金の被保険者が65歳になった時点(または定額部分支給開始年齢になった時点)で、生計を維持している一定の配偶者や子どもがいるときに加算されるものです。
なお、加給年金は厚生年金における制度であるため、現役時代に会社員や公務員だった方が対象です。自営業や個人事業主などであった、国民年金のみの受給者には支給されません。
1.1 加給年金が加算されるための条件
加給年金を受けるには、本人や配偶者、子どもがそれぞれ一定の条件を満たす必要があります。
【本人の受給条件】
加給年金の加算対象になる厚生年金受給者は、以下の条件を満たす方です。
- 厚生年金の加入期間が20年以上、または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の加入期間が40歳以降(※)15年から19年以上ある
※女性と坑内員・船員は35歳 - 65歳になった時点、または定額部分支給開始年齢になった時点で、配偶者や子どもがいる
【配偶者や子どもの条件】
加給年金が加算されるためには、配偶者や子どもにも条件があります。
- 配偶者:65歳未満(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限なし)で被保険者に生計を維持されている
- 子ども:18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で1級・2級の障害がある子で被保険者に生計を維持されている
なお、「18歳到達年度の末日までの子ども」とは、一般的に高校3年生を卒業するまでの子どもが該当します。また、「生計を維持されている」とは、原則として、次の条件をいずれも満たす場合をさします。
- 生計が同じである(同居していること。別居でも、仕送りをしている、健康保険の扶養親族などであれば認められる。)
- 前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満
【事実婚のパートナーも認められる】
加給年金の対象となる配偶者には、戸籍上の配偶者だけでなく同一住所に住む事実婚のパートナーも含まれます。