1.3 「年収103万円の壁」撤廃による影響

所得税がかかる年収を103万円から178万円(国民民主党案)に変更する場合、給与所得控除額を同額とすると基礎控除額は48万円から123万円に引き上げられます。

パートやアルバイトの人だけでなく、所得税を払っている人全員に減税効果が発生します。

壁撤廃(基礎控除額を123万円に変更)前後の所得税額をシミュレーションしてみました。

基礎控除額を123万円に変更した前後の所得税額

【シミュレーション結果】基礎控除額を123万円に変更した前後の所得税額

出所:筆者計算・作成

年収103万円の場合では、撤廃前後とも所得税は0円なので、差額はありません。

年収153万円の場合、撤廃前は2万5000円の負担だったものが0円になるので、差額は2万5000円に。

同様に、年収203万円の人は5万円から1万2500円で3万7500円の差額、年収253万円の人は7万5000円から3万7500円に減り、3万7500円の差額となりました。

壁撤廃によって所得税額が減るケースもありますが、年収100万円台、200万円台の人の所得税率は5%(収入1万円に対して所得税額500円)で減税効果は限られます。

壁撤廃によってより大きな減税効果を受けられるのは、所得税率の高い高額所得者といえるでしょう。

ここまで、「年収103万円の壁」の意味や壁撤廃による影響について解説しました。

壁の撤廃で減税効果が生じますが、手取り収入を考えたとき、より大きな影響を与える別の壁があります。次章では「年収103万円の壁」以外の壁について解説します。