2018年8月14日に日本証券アナリスト協会で開催された、株式会社和心2018年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社和心 代表取締役社長 森智宏 氏
2018年12月期第2四半期決算説明会
森智宏氏:代表取締役社長の森です。本日はお暑いところお集まりいただきましてありがとうございます。当社の平成30年12月期第2四半期の決算概要について説明させていただきます。
当社は(2018年)3月29日、東証マザーズに上場しまして、(今回が)初めての決算説明会となります。
経営理念
簡単ではございますが、最初に当社の
説明をさせていただきます。
「日本のカルチャーを世界へ」という経営理念をもとに歩みを進め、今年(2018年)で操業21年目。法人を設立してからは16年目となります。
会社概要
事業のほうは、「モノ事業」と「コト事業」がございまして、店舗とインターネット上の両方で事業を展開しています。店舗数は68店舗。従業員数が530名です。
事業概要
(繰り返しになりますが、弊社の事業には)「モノ事業」と「コト事業」があり、さらに「モノ事業」はB2CとB2Bの2つがあります。B2Cの小売業は、店舗数が55店舗で、商材による月間販売数は、資料に記載の通りです。
また、祖業でありますB2BのOEM事業におきましては、取引相手さまが109社。主要取引先はコンテンツホルダーさんで、ディズニーさんや集英社さん、東映アニメーションさんからお仕事をいただいております。
「コト事業」については、着物の着付・レンタル事業を展開しており、店舗数が13店舗、利用者数が15万人です。また訪日外国人のお客さまのご利用比率が27.3パーセントとなっております。
モノ事業 かんざし専門店
「モノ事業」のブランドの詳細になります。こちらはかんざし専門店「かんざし屋wargo」です。
モノ事業 和傘・和柄傘専門店
そして、和傘、和柄傘の専門店「北斎グラフィック」です。
モノ事業 箸専門店
こちらは箸と箸置きの専門店「箸や万作」となります。
モノ事業 浴衣専門店
こちら(ゆかた屋hiyori)はプロパーの店舗ではないのですが、夏時期だけ(のお店)です。6~8月に、駅ビルなどの商業施設の催事スペースをお借りして展開しております。
モノ事業 その他ブランド
その他のブランドとしては「かすう工房」と「おびどめ屋wargo」があります。これらは専門店ではなく、複合店にコーナー展開しております。
コト事業 着物の着付・レンタル店
「コト事業」にまいります。
「きものレンタルwargo」です。特徴としましては、ヘアセットをご利用のお客さまの比率が高いため、ヘアセットサロンや、簡易的な写真スタジオを併設しているのが特徴です。
沿革(事業の変遷)
事業の変遷は(スライドに)記載の通りです。
創業時は資金が乏しかったものですから、OEM事業が中心でした。初の(自社)ブランドが「かすう工房」という和柄のアクセサリーでした。
当時、クロムハーツという(アクセサリーの)ブランドが流行しており、あのブランドが和のブランドだったら面白いのではないかと考えて、シルバーアクセサリーからスタートしました。それから、かんざし、帯留め、浴衣を手がけ、徐々に生活基盤に近い日用品のほうに進み、さらに食のほうへどんどん近づいているのが特徴です。
こうして、段々と大きい市場を狙ってきましたが、我々の資力も徐々についてきて競争優位性も高まってきたため、大きいマーケットで戦えるのではないかと考えて歩んできた結果が、このような変遷となっております。
基本戦略
基本戦略です。
我々は、旧態依然とした和雑貨、和装業界……衰退産業ともいえるこの業界を狙って、IT技術を導入し、(スライドに記載の内容で)戦っております。
特筆すべき点をお話しします。箸や器も含め、RFID(近距離無線通信を用いた自動認識技術)によってデジタルで商品管理しているため、ダンボールに入ったままでも在庫の管理ができます。
着物レンタル事業におきましては、電子チップをシリコン樹脂でコーティングして中に縫い付けることで、お客さまが利用した着物や道具のデータを管理しています。これにより管理コストを安くできるのが特徴です。
その他にも、(スライドの)中央の右に記載があるとおり、SEOも比較的得意で、上位表示を狙っております。
決算概要(前期比)
それでは第2四半期の決算概要について説明いたします。
売上高はモノ・コト合わせて14店舗の新規出店を行って、前期比で116.5パーセント増収。営業利益は、人件費、賃料、広告宣伝費等の販管費が増加して前期比44.7パーセントと減益になりました。
販売費及び一般管理費(前期比)
販管費及び一般管理費(前期比)です。
人件費は、前期の販売員不足から、当期は31店舗の出店計画に対して(計画的に)採用をすることで、(前期比)124.4パーセントでした。
また広告宣伝費におきましては「コト事業」の集客を促進するため、前期比で198.2パーセントとなっております。
3番目の家賃に関しましては、新規出店に伴う増加に加え、新設した自社倉庫の賃料を計上し、(前期比)136.7パーセントです。千葉県習志野市にある新習志野駅の近くに倉庫を作ったのですが、だいたい月額が80万円ぐらいで、自社物流化に向けて一歩踏み出したところです。
貸借対照表
貸借対照表です。
IPOにおける資金調達で、現預金が4億4,300万円増加いたしました。出店と新業態開発の投資に充当しております。
決算概要(予算比)
次に、(2018年12月期)第2四半期の決算概要(予算比)になります。
売上高におきましては、「コト事業」の新規出店の遅れが響き、予算比で84.2パーセントでした。また営業利益は、売上未達による利益減に加えて、昨今の地震や豪雨、猛暑の影響で、予算比で58.9パーセントとなっております。
販売費及び一般管理費(予算比)
続いて販管費及び一般管理費についての説明です。
人件費、支払手数料、賃料は「コト事業」の出店が遅れたことによって予算を下回りました。また、広告宣伝費は「コト事業」の集客を促進するため、予算どおりの金額を充当しております。
予算未達成の要因
予算未達成の原因です。
1つ目はやはり「コト事業」の新規出店の遅れです。「コト事業」では、上半期の出店計画として9店舗を予定していたのですが、実績は2店舗でした。
この遅れが非常に大きな影響を与えました。売上にすると約1億円、営業利益では2,000万円程度の影響がありました。予算に対してマイナスとなっているのは、ここが一番の原因だと思っております。
「コト事業」では期初の時点で、第2四半期末までに出店済みの2店舗に加えて、新宿、銀座、福岡、札幌にも有望な物件があり、上期中に出店の予定でした。しかし、当社の出店基準に合わなかったというところが一番(大きな理由)で、無理して出店する必要はないという経営判断で、出店を見送りました。
また、(2018年)6月からの地震や豪雨の影響も大きかったです。のちほどスライドにおいて説明させていただきます。
出店の状況
こちらが出店の状況です。
上期は「モノ事業」が12店舗で予算比プラス2店舗となりました。しかし、先にも述べさせていただいたとおり「コト事業」におきましては2店舗(の出店にとどまり)、予算比でマイナス7店舗となりました。よって合計14店舗で、予算比マイナス5店舗となっております。
「モノ事業」の出店は、本当にいい立地で予算も上回ったのですが「コト事業」の出店が大きく遅れて全体を引っ張っております。
なお、第2四半期末の店舗数は68店舗となっております。
出店トピック1 初の空港内出店
出店トピックです。
(2018年)2月に、成田国際空港内に「和傘屋 HOKUSAI GRAPHIC」と「かんざし屋wargo」をそれぞれオープンしました。
出店トピック2 新業態 器専門店「万作ギャラリー」
次のトピックです。京都の新京極通り(に面した建物)の1階に「かんざし屋wargo」があるのですが、そこの2階に「万作ギャラリー」という器の専門店を新規出店して、新業態を開発しました。
既存店売上高昨年対比
次に、既存店売上高昨年対比の推移です。
(2018年)6月は非常に調子がよく、6月1日~17日までの間、「モノ事業」におきましては(既存店売上高の昨年対比で)111.2パーセントでした。「コト事業」におきましては(既存店売上高の昨年対比で)125.8パーセントで推移していたのですが、(大阪北部)地震のあった6月18日以降、一気に下がってしまいました。「モノ事業」におきましては10ポイントダウン、「コト事業」におきましては29ポイントダウンとなりました。
7、8月は浴衣シーズン、夏休みシーズンで(例年)繁忙期のため、人員をものすごく厚くして準備しており、その影響もあってかなりダメージが大きかったです。
この売上減を金額にすると約1,100万円です。我々の着物レンタルにおきましては、粗利率が98パーセントぐらいのため、売上が下がった分は、ほぼそのまま利益も下がったことになります。よっておよそ1,000万円ぐらいの利益減となってしまいました。第2四半期までの営業利益の予算未達が3,300万円でしたが、おおよそ3分の1がこの度の地震・天候不良の影響だったことになり、ここは大きかったかなと思います。
とくに外国のお客さまは地震(に敏感なため、大阪北部地震)による影響が大きく、日本人よりも外国人のお客さまの減少のほうが圧倒的に多かったです。
なお、浅草、鎌倉にも我々の店舗がありますが、そちらについての影響はほぼなかったです。
通期業績予想の修正
続きまして、通期業績予想の修正と下期以降の対策となります。
売上高は当初、35億8,800万円の計画から28億4,100万円に、営業利益は3億5,000万円の計画から1億円へと、それぞれ大幅に下方修正しております。大変申し訳ございませんでした。
要因は、先のスライドでも説明したとおり「コト事業」の出店の遅れと、地震・豪雨・猛暑の影響が一番大きかったです。「コト事業」におきましては、7月においても業績の回復が見られず、未だにその影響を引きずっています。
費用面におきましては「コト事業」の広告宣伝費や、モノ・コト(両事業)の出店コストです。これらは当社の事業に必要不可欠と考えており、(これからも)変わらず重点的に配分していこうと思っています。
下期以降の対策
次は、下期以降の対策となります。具体的には、ここに挙げる3つです。
対策1が出店の強化。対策2が、振り袖や卒業式の袴、七五三などの冠婚葬祭の着物レンタル事業の強化です。我々は、着物レンタルを2つに分けて考えております。我々が得意なのは観光(における)着物レンタル……京都や浅草、鎌倉などの観光地で着物に着替えて街を散策するといった着物レンタルが多いのですが、今後は冠婚葬祭(の着物レンタルの強化)です。そして対策3は、新規事業を立ち上げようと思っています。
対策1 出店強化
対策1の出店強化についてです。(2018年)5月から毎週、店舗開発ミーティングを実施しており、僕も参加しています。(このミーティングは)今まで2名で行っていたのですが、4名に増やしてみんなでがんばっています。(そのおかげで)8月以降、出店はかなりいいペースで進められると思っています。
先にも述べさせていただきましたが、我々としては、慌てて数字作ることはあまりしたくありません。よって(出店もしっかり吟味し)、場所・条件等では(妥協しませんので)、理想的な出店ができると思っています。
「モノ事業」におきましては、予算プラス1店舗の見込みのため、ほぼ予算どおりの出店数となっています。上期の売上は、下期に出店してもどうしても取り戻せないため、ここについては来期(2019年)に向けての出店という考えでございます。「コト事業」におきましても、札幌がほぼ決まっていますので、もう少しで年間の出店数までいけると考えています。
7月4日オープン きものレンタルwargo太宰府天満宮前店
もう1つトピックをご紹介します。今まで、九州エリアに着物レンタル店はなかったのですが、太宰府駅から歩いて30秒ぐらい……駅の目の前の好立地が獲得できたため、そこに出店いたしました。
8月4日オープン 京錦 箸や万作/MANSAKU GALLERY
これまでは新京極(通りに面した建物の)2階で展開していましたが、リニューアルオープンといいますか、移転オープンというかたちです。「錦市場」の角地の超優良物件を獲得できたため、そちらに移転して器の専門店をオープンさせました。初日から売上も好調で、もう利益を上げていますので、今後は、箸に続いて器の専門店も出店ラッシュをかけようと考えています。
これ(スライドの写真)は実際のお店ですが、あまり費用をかけずに出店できました。この出店にかかった費用は24万円です。そのうちの14万円が人件費、他はホテル代や新幹線などの移動費のため、部材費は7万円ぐらいです。
非常に低予算の新業態です。店舗を出店するにあたっての費用は、徐々に少なくなっていると思います。出店費用が24万円で、出店2日間の売上でもう(24万円を)超えているため、敷金・礼金を抜いた、いわゆる不動産取得費を抜いた費用は、2日間で取り戻せました。
対策2 冠婚葬祭着物レンタルの強化
対策の2つ目は、冠婚葬祭の着物レンタル強化です。これまで観光着物レンタル事業を行ってきましたが、今後は圧倒的にマーケットが大きい冠婚葬祭着物レンタルを強力に推し進めていこうと思っています。すでに(2018年)3月に(Webサイトを)リニューアルオープンして、売上もよいかたちで上がってきています。宅配レンタルのSEOも鋭意強化中でございます。
観光着物レンタルとの補完関係
観光着物レンタルだけでなく、なぜこの冠婚葬祭の着物レンタルを開始したかを示した図です。3月、4月、8月、あとは秋の紅葉シーズンが、我々の観光着物レンタルのハイシーズンです。その間の閑散期に、成人式、七五三があります。また、成人式や七五三の前撮りもあるでしょう。
着付師さんを確保する際に「ハイシーズンだけ必要で、閑散期は働かなくていいよ」といったことはできませんから、着付師さんの獲得という観点からも、閑散期の対策が必要です。よって、冠婚葬祭の着物レンタルをどんどん進めようと思います。
対策3 新規事業の立ち上げ
新規事業として、飲食・食物販の事業を始めます。これは以前から展開しようと思っていたのですが、まずは箸と箸置き、そして今回オープンした器(というかたちで進めていました)。我々は、物販がまだまだ(満足いく結果が出ていません)でしたので、物販がある程度まで(拡大して)いってから、食物販に進もうと考えていました。そして、ついに決断しました。
マーケットは、既存の物販だけですと、国内旅行消費で見ると(25兆円のうち)3兆円ですが、飲食・食物販を開始することで今後は9兆円まで拡がるということです。我々のドミナントネットワークに食物販や飲食の業態を入れることで、お客さまのさらなる回遊効果が狙え、売上と利益増に貢献できるのではないかと考えています。
我々は「日本のカルチャーを世界へ」という企業理念のもとに事業を展開しているため、(飲食や食物販においても)日本の伝統文化に関連する事業の立ち上げを計画しています。
以上となります。ご清聴ありがとうございました。