一昔前は給与が年功序列。60歳で定年退職。退職金もしっかり出て悠々自適な老後生活が待っている。

そんなイメージを筆者は子供心に持っていましたが、時代は変わり定年は65歳の企業が増え、年金も65歳からの受け取りが標準になりました。65歳以降も働かざるを得ない家庭も増えてきています。

高齢者に多い住民税非課税世帯ですが、今回はなぜ多いのか。その理由を3つ考察していくとともに70歳代の貯蓄額についても詳しく見ていきます。

1. 住民税非課税世帯にはどんな人があてはまるのか

住民税は前年の所得をもとに決定されます。

しかし、一定の要件を満たす場合は非課税となり、住民税を支払う必要がありません。

自治体によって異なりますが、ここでは東京23区内における条件を確認しましょう。

1.1 東京都23区内で「住民税非課税世帯」に該当する条件

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
 
(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
 
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方

  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

例えば「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」の目安は所得45万円以下です。年収で考えると、所得の種類によって以下が目安です(港区の例)。

  • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
  • 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)

給与収入の人は年収目安が100万円以下。年金収入の人は65歳以上で155万円、65歳未満で105万円になっていますね。

以上のことから、年金生活者の方が住民税非課税世帯に該当しやすいといえます。

次章では最新データより、年代別の住民税非課税世帯の割合も確認してみましょう。