2. 退職の翌年の住民税と国民健康保険料はどうなる?
個人で住民税や国民健康保険料を支払う場合、退職の翌年に収入が大幅に減少する可能性があります。その場合、住民税や国民健康保険料が収入に対して高額になるリスクに注意が必要です。
2.1 前年の収入をもとに税額や保険料が決まる
会社を退職すると、翌年の住民税と国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算されるため、その時点で収入がなくても高額な支払いが必要になる場合があります。
そのため、退職後の生活設計では、これらの支払いに備えて事前に資金を確保しておく必要があります。
2.2 前年の収入が400万円だった場合の住民税と国民健康保険料は?
退職後の住民税と国民健康保険料がいくらかかるか、試算してみましょう。ここでは、退職する年の年収が400万円だった場合に、翌年に支払う住民税と国民健康保険料を計算します。なお、給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除以外の控除はないものとします。また、定額減税は考慮しません。
【住民税の計算】
年収400万円の場合の住民税額は以下のように計算します(社会保険料は60万円とします)。所得割の税率は10%、均等割は5000円です。
課税所得は以下のとおりです。
課税所得金額 = 400万円 - 給与所得控除124万円-社会保険料控除60万円 -基礎控除43万円 = 173万円
住民税額 = 所得割(173万円 × 10%)+ 均等割5000円 = 17万8000円
【国民健康保険料の計算】
年収400万円の場合、退職後最初の年の国民健康保険料は約36万円(月額約3万円)となります(東京都千代田区の場合)。
したがって、退職後最初の1年間は、合計で約53万8000円(17万8000円+36万円)の支払いが必要となります。
退職後に収入がほとんどない場合、年間50万円以上の住民税と国民健康保険料の負担は厳しいと感じるのではないでしょうか。また、社会保険の扶養に入る場合でも、住民税はかかる点に注意が必要です。