約5年前に金融庁が発表した「老後2000万円問題」は、当時大きな話題となり、多くの人が老後の資金に不安を感じたことと思います。ファイナンシャルアドバイザーである筆者のもとにも、老後資金への不安から資産運用を検討される方々がご相談に来られます。
資産運用の選択肢として、NISAやiDeCoを検討する方が多いですが、実際に老後に向けた具体的な準備を考えている方はまだ少ないようです。ご相談の際に試算してみると、2000万円以上の資金が必要となるケースも多く、しっかりとした準備が求められます。
本記事では、70歳代で2000万円以上の貯蓄がある世帯がどれくらい存在するのか、シニア世代の現状を見ていきます。
今後の老後資金の計画に役立てていただければ幸いです。
1. 70歳代・二人以上世帯「貯蓄2000万円超」の世帯は何%?
数年前に話題となった「老後2000万円問題」ですが、現在のシニア世代はどのくらいの金額を貯蓄できているのでしょうか。
金融広報中央委員会が実施した「令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円、そして中央値は700万円となりました。
1.1 70歳代・二人以上の「金額ごとの世帯割合」は?
70歳代・二人以上世帯の貯蓄額について、金額ごとの世帯割合を見ていきましょう。
【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額ごとの世帯割合】
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
円グラフを見ると、「貯蓄3000万円以上」の世帯が全体の19.7%、つまり約2割を占めていることがわかります。
また、かつて話題になった「老後資金2000万円」を達成している世帯は27.1%です。
しかし上記を言い換えると、70歳代の二人以上世帯の約7割が「老後資金2000万円」に到達していない実態が浮き彫りとなります。
貯蓄額が少なくても、年金収入で日々の生活が成り立っていれば問題ないかもしれませんが、予期せぬ出費に備えるためにも貯蓄を増やす対策を検討することが重要です。
では、実際に年金収入のみで生活している人はどのくらいいるのでしょうか。