4. FPからのアドバイス
年金だけに頼らない老後資金の準備はもちろん重要ですが、年金受給額についてはある程度正確に把握しておく方が望ましいでしょう。
年金の受給額を増やす方法として、「繰り下げ受給」という制度があります。
受給開始する年齢を1カ月繰り下げるごとに受給額を0.7%増やすことができます。
つまり70歳まで年金の受給開始年齢を遅らすことで、65歳から受け取るよりも42%も受給額を増やせるのです。
65歳以降も就労を続け、かつ十分な収入や貯蓄がある場合は繰り下げ受給を選択しても良いかもしれません。
ただし、繰り下げている間は当然ですが年金収入がないため、年金以外の資産で暮らしていく必要があります。
仕事をして生活費をカバーするのも一つの選択肢ですが、冒頭で申し上げたとおり、現役時代と比べて収入は大きく下がると想定しておきましょう。
就労による収入に加えて、それまでに積み上げてきた資産の取り崩しが必要になると考えられます。
老後生活においては、年金、資産、収入の3つのバランスが非常に重要になります。まずは、自分の老後のライフプランについて真剣に向き合ってみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁「民間給与実態統計調査」
荻野 樹