4. FPからのアドバイス
老後資金を効率的に準備するには、まずは自分の退職時期をイメージし、将来必要な金額を算出することから始まります。
準備方法はいくつかありますが、最も簡単に始めることができるのは「銀行預金」ですね。
毎月の収入の一部を将来の為の貯蓄に回すことで、必要な金額を貯めていくという方法です。
しかし、現在の日本では低金利が続いているが故に「銀行預金」だけではなかなか思うように増えてはいきません。
さらに物価上昇の影響も伴い、いわゆる将来時点においての「目減りのリスク」もあります。
そこで、将来資金のような長期に渡って準備していくものであれば「銀行預金」だけではなく、一部「資産運用」も取り入れてみるのも方法の一つでしょう。
資産運用には株や投資信託、債券といったさまざまな方法があり、それぞれ特徴やリスク度もまちまちです。
また、気を付けなければならないのが資産運用には基本的に元本の保障はありません。
どのくらいの割合で投資に回すのか、どんな運用方法を選べばいいのか慎重に検討したうえで始めることが大切です。
この機会に自身の老後生活について真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
4.1 【ご参考】70歳代・二人以上世帯の貯蓄額の割合一覧(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
5.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
5.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
奥田 朝