公益社団法人関西経済連合会は、10月16日に社会保障を中心とする税財政に関する提言を公表しました。
そのなかには、年金以外の所得が一定額を超える方を対象に、年金の逓減または支給停止と言った提言も含まれています。
実際、現代のシニア世帯のマネー事情はどのような状況なのでしょうか。今回は70歳代に絞って解説しています。
1. 70歳代の平均年金月額はいくら?
まずは70歳代の平均年金月額から見ていきましょう。国民年金と厚生年金に分けてそれぞれ紹介していきます。
1.1 国民年金の場合
- 70歳:5万7320円
- 71歳:5万7294円
- 72歳:5万7092円
- 73歳:5万6945円
- 74歳:5万6852円
- 75歳:5万6659円
- 76歳:5万6453円
- 77歳:5万6017円
- 78歳:5万5981円
- 79歳:5万5652円
厚生労働省年金局の資料によると、70〜79歳までの平均年金月額(国民年金)は上記の通りです。
この数値をもとに計算すると70歳代における国民年金の平均年金月額は、5万6627円となります。
次に厚生年金の平均年金月額を確認してみましょう。
1.2 厚生年金の場合
国民年金と同じ資料を参照すると、70〜79歳までの平均年金月額(厚生年金)は以下の通りです。
- 70歳:14万1350円
- 71歳:14万212円
- 72歳:14万2013円
- 73歳:14万5203円
- 74歳:14万4865円
- 75歳:14万4523円
- 76歳:14万4407円
- 77歳:14万6518円
- 78歳:14万7166円
- 79歳:14万8877円
国民年金と同様に、各年齢の数値をもとに70歳代の平均年金月額を算出します。計算したところ70歳代の厚生年金の平均年金月額は、14万2513円でした。
よりリアルなマネー事情に迫るため、次章にてシニア世帯の生活費がどれくらいかかるのか紹介していきます。
2. シニア世帯の生活費はいくらかかるの?
今回は、シニア世帯の目安として65歳以上の単身無職世帯の家計収支を参考にします。
総務省統計局の資料によると、単身無職世帯の消費支出は14万5430円です。仮に厚生年金のみで生活していると想定し、先ほど算出した平均年金月額14万2513円を受給しているとします。
消費支出14万5430円に対して、実収入14万2513円になるので、約2000円の不足分が発生しますが、実際には税金と社会保険料を差し引くと、2000円の不足ではおさまらないのが現状です。
そのため、家計をやりくりするには貯蓄を取り崩したり収入を増やしたり消費を見直したりする必要があります。
次に70歳代単身世帯の平均貯蓄額と中央値を確認していきましょう。
3. 70歳代単身世帯の平均貯蓄額と中央値
3.1 【平均貯蓄額と中央値】
平均貯蓄額:1529万円
中央値:500万円
3.2 【金額階層別の世帯割合】
- 金融資産非保有:26.7%
- 100万円未満:5.8%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:4.1%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.6%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.3%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:17.3%
70歳代単身世帯の平均貯蓄額は約1500万円と高額なものの、実態に近い数値である中央値では500万円となっています。
また、金融資産非保有の割合が全体の1/4ほどを占めていることも確認できました。
70歳代単身世帯のなかには、厳しい生活を送っている世帯がある一方で、現役世代のうちにコツコツと資産を築いてきた世帯もあることが予想されます。
4. 現役シニア世帯の就業率
4.1 【2023年の就業者数】
- 65〜69歳:383万人
- 70〜74歳:303万人
- 75歳以上:228万人
4.2 【2023年の就業率】
- 65〜69歳:52.0%
- 70〜74歳:34.0%
- 75歳以上:11.4%
現役シニア世帯の就業率は概ね右肩上がりで伸びており、65〜69歳に至っては2023年時点で就業率52.0%となっています。
65歳以上のシニア世帯で就業率が伸びている要因としては、少子高齢化に伴って労働力不足が深刻化している状況で高齢者の就労促進が考えられます。
また、前述した通りシニア世帯のなかには年金所得だけで生活することが困難なケースもあり、年金以外の収入源を確保するために就業する方も少なくないとも予想できるでしょう。
5. まとめにかえて
今回は、70歳代のシニア世帯を中心としたリアルなマネー事情をさまざまデータをもとに紹介しました。
今後も物価高騰や税制改正などにより、実収入が消費支出を上回り続けてしまうリスクが考えられます。
そのため、資格取得やスキルアップといった収入を増やす取り組みがより一層重要になるでしょう。併せて、コツコツと資産形成に取り組むのもおすすめです。
参考資料
- 公益社団法人関西経済連合会「「社会保障を中心とする税財政に関する提言」の取りまとめについて」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 内閣府「第2節 高齢期の暮らしの動向」
- 厚生労働省「高年齢者の雇用」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
湯田 浩平