2. 富裕層が日本で増加する理由2つを考察

ここまで、2005年から2021年にかけて、富裕層は増加していると説明してきました。

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」

では、富裕層と超富裕層が保有する資産総額の推移も見てみましょう。

  • 2015年:272兆円
  • 2017年:299兆円
  • 2019年:333兆円
  • 2021年:364兆円

確実に増え続けていますね。これには、以下のような理由がありそうです。

2.1 日本で富裕層が増加した主な要因とは?

ここからは、日本で富裕層が増加した主な要因と考えられるものを解説していきます。

経済の成長および資産形成の機会拡大

2005年以降、日本の経済は緩やかに成長を続けています。

この成長に伴い、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度が導入され、個人が資産形成に取り組む機会が増えました。

これによって多くの人々が投資を始め、資産を増やすことができました。

株価の上昇が資産価値を押し上げて、早期に投資を始めた人々の中には大きく利益を得ることができた人もいるでしょう。

庶民の生活が厳しい中でも、これらの税制優遇制度や市場の動向をうまく活用した人々が富裕層に加わったことなどが、富裕層の増加に寄与した可能性があります。

相続や贈与

富裕層になった人の中には、相続や贈与から多額の資金を手に入れた人も多いようです。

高齢化が進む日本では、親などから資産を受け継ぐ人が増えており、これが要因となって富裕層の数が増えている可能性があります。

一般家庭でも「遺産分割で祖父母の遺産を継いだ」や「親から結婚祝いとして数百万円を受け取った」というケースは、しばしば見かけます。

つまり、本人の意図しないところで富裕層の仲間入りを果たす人もいるのです。

相続税の対策として生前贈与が行われた家庭などで、若い世代の資産形成を後押ししているのかもしれません。

続いて、富裕層に共通する3つのことをお話します。