5. 【70歳代】夫婦世帯の貯蓄額はいくら?《平均・中央値・個人差》に着目
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」から、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)データを見ていきます。
なお「金融資産保有額」には預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。
5.1 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】円グラフ
5.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
5.3 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
70歳代二人以上世帯の貯蓄平均は1757万円。あと少しで2000万円のラインは超えそうです。ただし実態に近い中央値を見ると700万円にまで下がります。
また「貯蓄3000万円以上」の世帯と「貯蓄が全くない世帯」がそれぞれ約2割存在する点も看過できないでしょう。同じ世代の中で「持つ世帯」と「持たざる世帯」の二極化が見られることが分かります。
働き盛りの現役世代がこのデータを見て学べることはたくさんあるでしょう。いまの貯蓄ペースで老後資金は十分準備できそうか、ちょっと気になったという方もいるかもしれませんね。
貯蓄ペースにはもちろん世帯差があります。住宅ローンや教育費がかさむ時期は老後資金の準備にまで手が回らないというケースも多いでしょう。
とはいえ、50歳を過ぎたら、年金見込み額を把握し、暮らしのダウンサイズを心掛けるなどリタイア後の暮らしを意識していけたら良いですね。
6. まとめにかえて
今回は、70歳代の年金額や生活費、貯蓄額について確認しました。
老齢年金の平均受給額を見て、年金だけで生活するのは難しいと感じた方も多いかもしれません。年金額は、現役時代の年収や払込期間によって異なるため、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の年金見込み額を把握することが大切です。
老後に必要な資金がどのくらい不足するかを把握すれば、毎月どのくらい積み立てる必要があるのかや、資産運用の方法が明確になってきます。資産運用の手段には、新NISAやiDeCo、個人年金保険など様々な選択肢がありますが、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
ぜひこの機会に、老後の安心した生活のために今からできる対策を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
菅原 美優