2024年12月以降、新たな健康保険証の発行が廃止されて「マイナ保険証」の使用を原則とすることが決定しました。
政府では、マイナ保険証の利用促進支援として、医療機関・薬局が窓口での共通ポスターの掲示、および来院患者への声掛けとマイナ保険証の利用を求めるチラシの配布を実施した上で、利用者数が一定数増加した場合に最大20万円(病院は40万円)の一時金の支給をする施策も実施していました。(一時金の金額は、2024年5月から8月のうち、利用人数が一番多い月と2023年10月の利用人数を比較して増加数に応じて決定されます)
【写真全5枚/1枚目】マイナ保険証利用促進のための一時金制度。マイナ保険証の利用開始方法も掲載1/5
今回の制度変更に伴い、疑問や不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、マイナ保険証の導入に関するよくある疑問や誤解をしやすいポイントについて説明をしていきます。ぜひ参考にしてください。
1. マイナ保険証とは
まず最初に、前提となる「マイナ保険証」について説明します。
マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるように利用登録したものです。従来の国民健康保険や社会保険の健康保険証に代わり、医療機関での受診や薬局での薬の受け取りの際に使用することができます。
政府は2024年12月から新たな健康保険証の発行を停止して、原則としてこの「マイナ保険証」を使用することを求めています。
1.1 マイナ保険証を利用するメリットとは?
マイナ保険証を使うことにより利用者が受けられるメリットは下記のようなものがあります。
1.各種申告や申請事務の利便化
マイナ保険証を利用すると、利用情報をマイナポータルで管理することになります。それにより、被保険者には以下のようなメリットが発生します。
- 確定申告の際の医療費控除の申請を簡単に行うことができるようになる
- 医療費の自己負担額が高額となったとき、高額療養費の手続きなく限度額以上の支払いをしなくて済む
- 給付金申請の際などに持参が必要な書類が少なくなる
2.情報の一元化による適切な医療の享受
マイナ保険証の利用により、保険資格や過去の診療情報を医療機関でも確認することができるようになります。そのため、自身の受診情報の伝達漏れや誤りの防止となり、適切な医療を受けることができることが期待されます。
1.2 現在保有している健康保険証は2024年12月から使用できなくなるの?
2024年12月から新たな健康保険証の発行は廃止されますが、現在保有している健康保険は、そこから最長で1年間は使用することができます(実際の有効期限については、加入している保険組合の種類などにより異なります)。
現行の予定では、その期間を過ぎると健康保険証の使用ができなくなることになっています。
マイナ保険証を保有していない方は、後ほど説明をする「資格確認書」という証書により医療機関の受診をすることができます。
1.3 マイナ保険証の利用は必須?
2024年12月から新たな健康保険証の発行が廃止されると発表されたことにより、マイナ保険証の利用が必須になると思われている人も多いのではないでしょうか。
しかし、マイナ保険証の利用登録を行っていない人に対しては「資格確認書」という保険証に代わる証書が発行されることとなっています。
次で詳しく説明をしますが、資格確認書を利用することにより、従来通りマイナ保険証を利用しなくても医療機関の受診をすることができますので、マイナ保険証の利用登録は必須ではありません。
2. 資格確認書と資格情報のお知らせ
マイナ保険証の本格的な利用に伴い、被保険者に対して「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」が交付されることとなっています。
資格確認書は現行の健康保険証の代わりとなるような証書であり、資格情報のお知らせは自身の登録情報確認のために提供されるお知らせです。次は、この2つの書類に関する疑問について確認していきましょう。
2.1 資格確認書とは?
資格確認書は、現行の健康保険証の廃止後に、マイナンバーカードを取得していない人や、マイナ保険証の利用登録を行っていない人に向けて発行されるプラスチック製のカード型証書です。
医療機関などでこの資格確認書を提示することで従来通り保険診療を受けることができますが、その際にマイナ保険証によるメリットを受けることはできません。
2.2 資格情報のお知らせとは?
資格情報のお知らせは、被保険者の資格に関する基本情報が記載されているものです。
会社の社会保険に加入している従業員に対しては2024年9月以降に会社を経由して届き、国民健康保険加入者は2024年12月以降に新規加入する際や保険証再発行の際などに発行されます。
これにより自身の健康保険登録の状況を確認することができます。
健康保険資格とマイナンバーが紐づいているかどうかも記載されており、マイナンバーの登録ができていない場合に使用する提出書類も同封されています。
2.3 資格情報のお知らせは捨ててもいい?
資格情報のお知らせは自身の登録状況を知る以外にも、下記のような場面で使用が必要になります。
- マイナ保険証がネットワーク不備や医療機関が未導入などの理由により使えないとき
- 給付金の申請の際に必要な情報を確認するとき
今後の改正などにより変更がある可能性もありますが、交付は一人につき原則1回のみとなっていますので、現段階では捨てずに保管をしておきましょう。
3. マイナ保険証に関するよくある疑問
マイナ保険証の利用に関して、まだ導入が途中であることもあり疑問を持たれている人も多いのではないでしょうか。次は、マイナ保険証の利用に関するよくある疑問や不安について、回答をしていきます。
3.1 マイナ保険証の安全性は?
マイナ保険証を利用することにより、個人情報が流出するなどの危険性があるのではないかと感じている人もいるかと思います。
しかし、マイナ保険証を利用する際に医療機関・薬局が取り扱うのは個人番号(12桁の番号)ではなく、マイナンバーカードのICチップ内の利用者証明用電子証明書です。
そのため、医療機関や事務員などに個人番号が保存されることはありません。
さらに、マイナンバーカード自体にも非常に厳しいプライバシー保護措置が講じられており、例えばマイナンバーやマイナンバーカードが他人に確認されたとしても、その情報だけで悪用される可能性は低いと言われています。
3.2 健康保険の登録内容を確認する方法は?
健康保険情報にマイナンバーが紐づいている場合、「マイナポータル」にログインをすることで、自身の健康保険の登録情報や、マイナ保険証としての利用状況を確認することができます。
マイナポータルは自身のパソコンやスマートフォンなどの端末から利用することができます。
3.3 マイナ保険証の利用開始方法は?
現在マイナンバーを持っていない人や、マイナ保険証の利用登録をしていない人が利用を開始するためには、次のステップを踏む必要があります。
1.マイナンバーカードの取得
マイナ保険証の利用を開始するためには、まずマイナンバーカードを取得する必要があります。マイナンバーカードは自治体の役所で取得することができますので、問い合わせてみましょう。
2.マイナ保険証の利用登録
マイナンバーカードの取得後、マイナ保険証の利用登録を行います。利用登録の方法は現在下記の3パターンが用意されています。
- 医療機関、薬局の受付で行う
- マイナポータルから行う
- セブン銀行ATMから行う
3.医療機関でマイナンバーカードで受付をする
マイナ保険証の利用登録を一度登録を行えば、その後はマイナンバーカードをマイナ保険証として利用することができます。
受診をした際に、マイナ保険証をカードリーダーに読み込むことで自身の情報を伝えることができます。
4. おわりに
マイナ保険証の利用登録は、まだ始まったばかりで疑問や不安を抱える人も多いのではないでしょうか。
導入や利用が複雑で面倒だと感じる側面もありますが、医療サービスの質と効率を高めるための重要な一歩です。
今回の内容など、正しい情報を収集して誤解のないように理解を深めていきましょう。さらに、今後の法改正などにより利用制度が変わってくる可能性もあります。
最新の情報を確認しながら、自身に適切な医療を最良の方法で受けられるよう制度を活用していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援について マイナ保険証利用促進のための一時金制度」
- 全国健康保険協会「健康保険証とマイナンバーカードの一体化(マイナ保険証)に関する制度説明資料」
- 日本年金機構「資格情報のお知らせイメージ」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用の安全な制度運用に向けて」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
斎藤 彩菜