筆者はファイナンシャルアドバイザーとして日々お金の相談を受けています。

そのなかで多くの方が抱える大きな不安の一つに「老後生活」があります。特に、「現在の貯金ペースで本当に安心して老後を過ごせるのか?」という疑問は、多くの人に共通する悩みです。お金がどれだけあっても、将来への不安は拭いきれないものですよね。

さらに、年金生活者のように収入が限られている世帯にとっては、物価の上昇が家計を大きく圧迫します。特に、年金受給額が少ない世帯では、その影響は一層大きく感じられることでしょう。

しかし、こうした困難に直面する世帯の中で、一定の条件を満たしている場合には、「年金生活者支援給付金」という支援制度があります。本記事では、この制度の概要を詳しく解説していきます。

また、現在老後生活を送っている世帯の年金受給額についても取り上げますので、老後生活の実際の様子をイメージするための参考にしていただければと思います。

1. 年金に上乗せ支給!シニア世帯の支え「年金生活者支援給付金」とは

「年金生活者支援給付金」とは、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者を支援するために、年金に上乗せして支給される給付金です。

2019年10月1日にスタートした比較的新しい制度で、その財源は消費税率の引上げ分となっています。

年金生活者支援給付金の支給日は原則2ヶ月に1回で、公的年金と同じ日(偶数月の15日)に、2ヶ月分が振り込まれます。

1.1 年金生活者支援給付金の種類3つ

年金生活者支援給付金には、下記の3種類があり、受け取る年金種類によって要件や支給額などが変わります。

  • 老齢年金生活者支援給付金:老齢年金(国民年金)を受給している人が対象
  • 障害年金生活者支援給付金:障害年金を受給している人が対象
  • 遺族年金生活者支援給付金:遺族年金を受給している人が対象

制度創設時期での試算によると、老齢年金生活者支援給付金の対象者は約610万人、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金の対象者はあわせて約200万人でした。

このように、多くの年金世帯がこの給付金の恩恵を受けていますが、具体的にどのような人が給付の対象になるのでしょうか。

次章にて、それぞれの給付要件をくわしく見ていきましょう。