総務省から発表された「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によると、65歳以上が総人口に占める割合は現時点で29.3%、日本の65歳以上人口の割合は、世界で最高となっています。日本に住む私たちは、老後の問題については今のうちからしっかりと考える必要があります。
特に年金の問題は老後を考える上では非常に重要です。
しかし、実際にどのような点が問題なのか具体的に調べる機会は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は老後の年金について、年金の仕組みや年金から天引きされるお金についても考察を行い、老後のお金事情に迫ります。
1. 年金からも天引きされるって本当?「年金から天引きされる4つのお金」
現役世代が受け取る毎月の給与と同様に、年金からも「税金」や「社会保険料」が差し引かれることをご存知でしょうか。
つまり、年金にも「額面(天引き前の総支給額)」と「手取り(天引き後の振込額)」が存在するのです。
役所の文書では「特別徴収」と記載されていますが、「天引き」という表現の方が理解しやすいかもしれません。
ここでは、老齢年金から天引きされる4つのお金について整理していきましょう
1.1 年金から天引きされるお金1:介護保険料
40歳から64歳の間は、介護保険料が健康保険料に含まれていますが、65歳以上になると介護保険料を単独で納めることになります。
年金が年額18万円以上の場合、介護保険料は年金から天引きされますが、年金が年額18万円未満の場合は、納付書や口座振替で支払う「普通徴収」になります。
なお、要介護や要支援の認定を受けて介護保険サービスを利用するようになった場合でも、介護保険料の支払いは生涯にわたって続きます。
1.2 年金から天引きされるお金2:国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
国民健康保険や75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の保険料も、年金から天引きされる対象となります。
ただし、「介護保険料が特別徴収されている」といった特定の要件がある場合、普通徴収となるケースもあります。
1.3 年金から天引きされるお金3:個人住民税および森林環境税
個人住民税は、前年の所得を基に課税され、年金所得が一定額を超えると、この個人住民税も年金から天引きされて納付されます。併せて森林環境税(年額1000円)も特別徴収されます。
ただし、所得が一定以下の場合や障害年金、遺族年金については非課税となります。
1.4 年金から天引きされるお金4:所得税および復興特別所得税
年金受給額が一定額を超えると所得税が発生し、課税対象となる目安は、65歳未満で108万円、65歳以上で158万円です。
なお現在は、東日本大震災の復興財源確保のため、復興特別所得税も課税されます。
ただし、障害年金や遺族年金を受給している場合は、これらは非課税となります。