4. 老後は「2000万円」あれば安心できる?
約1万名の国家公務員が2000万円以上の退職金を受け取っている状況を眺めてきました。この退職金があれば老後は安心なのでしょうか。2019年6月、金融庁のレポートを発端に広まった「老後2000万円問題」を振り返ってみましょう。
「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」では、65歳から95歳までの30年間に生活費が2000万円不足する、という試算が出されました。
上記モデル夫婦の年金収入は20万9198円、支出が26万3718円とされ、老後を30年と仮定した場合、約2000万円の不足がでるという計算です。
あくまでもモデルケースに基づく試算であるため、持ち家であることが想定されていたり、介護費用が含まれていなかったり……といった盲点もいくつかあります。ライフスタイルや健康状態によっては2000万円以上かかるという方もいるでしょう。
また、国家公務員の退職金は民間と大きくかけ離れることがないように調整が入ります。今後も同水準で受け取れるとは限りませんので、国家公務員の方でも退職金だけで安心とは言い切れなさそうです。
安心した老後を送るためには、ご自身の年金額や生活費の目安を確認し、退職金以外にどれくらい必要か計算しておくと良さそうですね。
参考資料
- 株式会社マイナビ「マイナビ2022年卒公務員イメージ調査」
- 人事院「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和元年度)」(表1、表4)
- 金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」(令和元年6月3日)
- 髙橋明香(LIMO) 「【退職金】国家公務員ならば2000万円期待できるのか」
グイン 安季子