4. 厚生年金と国民年金だけで老後の生活は安心なのか
ここまで「国民年金」と「厚生年金」の平均月額について見ていきました。
老後に必要となるお金、そして年金収入などは人それぞれです。
まずはご自身が受取る年金額を、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで把握するところから始めてみましょう。
4.1 「年金だけで、老後の暮らしは大丈夫?」
「公的年金(国民年金・厚生年金)だけで老後の生活は安心なのか?」
こんな疑問を感じる方も多いでしょう。生命保険文化センターの意識調査では、夫婦2人が必要となる「老後のひと月の生活費」に関するデータが出ています。
その平均額をみると、「最低日常生活費」22万1000円、「ゆとりある老後生活費」は、36万1000円です。
もちろんこれは意識調査の結果による平均値。老後に必要なお金は、自分自身や家族のライフスタイル、そして健康状態などに大きく左右されます。
とはいえ、「夫婦の年金額を合算しても、公的年金だけでまったく問題なく暮らしていける」という世帯は決して多数派ではないでしょう。
4.2 「お金にも働いてもらう」資産運用も視野に
ゆとりある老後に向けたお金の準備には、さまざまな方法があります。預貯金をコツコツ増やすことはもちろん、資産運用で「お金に働いてもらう」発想も、選択肢の一つですね。
民間の保険会社が取り扱う個人年金保険や、「つみたてNISA」や「iDeCo」(イデコ:個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度の活用も視野に入れてみるとよいかもしれません。
ただし、資産運用にはリターンだけではなくリスクがある点をしっかり知っておきましょう。金融商品や税制優遇制度を理解したうえで、上手にお金を増やしていけるとよいですね。
5. まとめ
今回は、国民年金・厚生年金のしくみや、今のシニア世代が受け取っている年金額について眺めてきました。
公的年金だけに頼らない老後を目指すために、まずは情報収集から始めてみましょう。
ときに数千万円が必要ともいわれる「老後資金」。準備はできるだけ早い時期にスタートするのがオススメです。
また、資金形成のスタイルは、自分自身に合ったものを選ぶことが大切です。貯蓄と資産運用、保険商品などを上手に組み合わせていけるとよいですね。
参考資料
- 日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)
- 公益財団法人生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』
長井 祐人