4. 長期加入者特例にデメリットはある?

厚生年金の長期加入者特例のデメリットとしては、以下のことが考えられます。

  • 退職しないと受け取れない
  • 男性は1961年4月1日、女性は1966年4月1日以前に生まれていないと受け取れない
  • 転職すると受け取れない可能性がある

厚生年金の長期加入者の特例が適用されるには、退職して被保険者ではなくなる必要があります。そのため、在職中は受け取れません。

在職中の給与収入が十分なのであれば、わざわざ特例目当てで退職してしまうと収入が減ってしまう可能性もあります。

特例を適用する際は、現在の給与・年金収入と比較してどちらが多くの金額を受け取れるか必ず確かめておきましょう。

また、特例適用には特別支給の老齢厚生年金の受給が必須です。特別支給の老齢厚生年金は男性が1961年4月1日、女性が1966年4月1日以前に生まれていないと支給されません。

1961年4月2日以後に生まれた男性、1966年4月2日以後に生まれた女性は、特例を受けられることはまずないと考えておきましょう。

加えて「官→民」「民→官」といった転職の仕方をしていると、特例の適用対象外となる可能性が高まってしまいます。特例が適用されるには、以下のうちいずれか1つの期間で44年間の継続加入が求められるためです。

  • 日本年金機構の管理する厚生年金保険被保険者期間
  • 公務員共済組合に加入している厚生年金保険被保険者期間
  • 私学共済に加入している被保険者期間

つまり、キャリアの途中で民間企業から公務員に転職した人は、厚生年金保険を途中で脱退してしまうため、44年間の加入期間を満たせない可能性があります。

昔は現代ほど転職が盛んだったわけではないため、就職した会社一筋で働いてきた人はあまり心配する必要はありません。

ただし、ライフイベントにより退職する機会が多い女性は、キャリアの歩み方によっては特例が適用できないケースがある点に注意が必要です。