1. 年金から天引きされる税金・保険料

年金から差し引かれる項目は下記のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料
  • 介護保険料
  • 後期高齢者医療保険料

すべての方が上記5つを天引きされるわけではなく、条件があります。

所得税は一定の金額を超えた場合に発生し、年金額が比較的少ない方の場合、所得税は非課税となるケースもあります。

所得税以外の4つの項目に関しては、年間18万円以上を受給すると天引き対象です。

2. どれくらい天引きされる?シミュレーションの一例を紹介

ここからは、具体的にいくら天引きされるのかについて、シミュレーションの例を紹介します。

2.1 単身世帯・月額12万円の場合

以下の条件でシミュレーションを行います。

  • 東京渋谷区に住む単身65歳の方
  • 年金受給額は月額12万円、年間で144万円
  • 収入は公的年金のみで65歳から受給(繰上げ・繰下げはなし)
  • 税の計算には基礎控除・社会保険料控除・公的年金所得控除を適用
  • 令和6年度の数字を基にする
  • 軽減制度などは考慮しない

【計算の基になる雑所得】

公的年金等控除額

公的年金等控除額

出所:国税庁「高齢者と税(年金と税)」

65歳以上で公的年金の受給額が110万円超330万円未満の場合、110万円の公的年金控除が適用されます。

144万円-110万円=34万円

【国民健康保険料】

所得額34万円を基に渋谷区の場合で計算すると、下記のとおりです。

  • 均等割:1万4730円
  • 所得割:4950円
  • 合計:1万9680円

【介護保険料】

渋谷区では17段階に分けられています。

今回の例では第3段階に当てはまるため、3万5600円です。

【所得税】

所得控除:48万円(基礎控除)+5万5280円(社会保険料控除)=53万5280円

雑所得が所得控除を下回るため、所得税はかかりません。

【住民税】

雑所得が基礎控除(43万円)を下回るため、住民税は非課税になります。

【税・社会保険料の合計】

5万5280円

【年金の手取り額】

144万円-5万5280円=138万4720円