アメリカにて11月に行われる大統領選挙の動向に注目が集まっています。今後の経済動向が大きく変わる可能性があるため、私たちにとって期待をもって注目したいイベントとなることでしょう。
筆者はファイナンシャルアドバイザーとして多くの年金相談を受ける中で、「限られた年金だけでは生活が厳しい」という声は特に多く、対策を講じることの重要性を日々感じています。
年金生活を計画的にやりくりする必要があるのはもちろんですが、「年金だけでは不安」という方のために国が提供している支援策もあります。
「年金生活者支援給付金」は、収入の少ない年金受給者をサポートするための制度です。本記事では、この年金生活者支援給付金の対象者や受給要件、請求方法など、具体的な制度内容を詳しくご紹介していきます。
1. 「年金生活者支援給付金」はどんな人が当てはまるのか
年金生活者支援給付金は、公的年金やその他の所得が低く、生活が困難なシニア世帯に対して、生活支援を目的に年金に上乗せされる給付金です。
この給付金を受け取れるのは、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」のいずれかを受給している方の中で、特定の要件を満たした場合に限られます。
【写真全5枚中1枚目】生活者支援給付金の要件(老齢年金・障害年金・遺族年金)、2枚目以降で年金生活者支援給付金の「給付基準額」や手続きフローをチェックする1/5
留意点として、下記に該当した場合は、各給付金の要件を満たしていても支給対象外となります。
- 日本国内に住所がないとき
- 年金が全額支給停止のとき
- 刑事施設等に拘禁されているとき
ご自身が年金生活者支援給付金の対象であるかどうか、より詳しく知りたい方は、お近くの市町村窓口または年金事務所で確認することをおすすめします。
次章では、年金生活者支援給付金の給付額について確認していきましょう。
1.1 老齢年金生活者支援給付金の要件を確認
国民年金を受給している人の場合は、下記の要件全てを満たしていれば「年金生活者支援給付金」を受け取れます。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
1.2 障害・遺族年金生活者支援給付金の要件を確認
障害年金もしくは遺族年金を受給している人の場合は、下記の要件全てを満たしていれば、「障害年金生活者支援給付金」または「遺族年金生活者支援給付金」を受け取れます。
- 障害基礎年金もしくは遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得が472万1000円以下である
ご自身が年金生活者支援給付金の対象かどうか知りたい方は、お近くの市町村窓口もしくは年金事務所で確認が可能です。
次章では、年金生活者支援給付金の給付額について見ていきます。
2. 年金生活者支援給付金の給付額
年金生活者支援給付金は、「老齢基礎年金」「障害年金」「遺族年金」の種類によって、受け取れる給付額が異なります。
以下に、それぞれの給付基準額を示します。
- 老齢年金生活者支援給付金:5310円
- 障害年金生活者支援給付金:1級 6638円、2級 5310円
- 遺族年金生活者支援給付金:5310円
上記の金額は「月額」であり、要件を満たす場合は毎年約6万円が年金に上乗せされて受け取れます。
また、年金生活者支援給付金は「世帯ごと」ではなく「受給者ごと」に支給されるため、夫婦二人とも要件を満たしていれば、それぞれ毎月約5000円が支給され、合計で約1万円の給付金を受け取ることが可能です。
ただし、実際の給付額は「保険料納付済期間」や「保険料免除期間」などに基づいて算出されるため、上記の金額はあくまで基準額であることに留意してください。
3. 申請しないと受け取れない!「年金生活者支援給付金請求書」の手続き方法
年金を受給している方で、所得が減ったなどの理由で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる方に対して、「年金生活者支援給付金請求書」が毎年9月から順次送付されます。
上記の請求書が送付された場合は、以下の手順に従って手続きを進めましょう。
【年金生活者支援給付金請求書の手続き方法】
- 請求書の太枠内に必要事項を記入
- 請求書を切り取り線に沿って切り離す
- 記入後、請求書面全体が隠れるように同封の目隠しシールを貼る
- 差出人欄に住所・氏名を記入し、切手を貼り、郵便ポストへ投函
手続きが完了すると、年金と同じ受取口座に2ヶ月ごとに、2ヶ月分の給付金が振り込まれます。
4. 「年金生活者支援給付金」に関する素朴な疑問を解決
では最後に、年金生活者支援給付金に関する素朴な疑問と、その回答について紹介していきます。
4.1 年金生活者支援給付金の支給額の確認方法は?
年金生活者支援給付金の支給額は、該当者に9月に送付される「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」に記載されています。
この見込額は、毎年8月時点での年金受給額を基に計算されているため、実際の支給額は年金の受給状況によって異なる可能性があるため留意しておきましょう。
また、見込額の欄に「*」の表示がある場合は、審査後に決定通知書などで詳細が通知されることになります。
4.2 年金生活者支援給付金請求書に請求期限はある?
年金生活者支援給付金請求書には、請求期限が記載されています。
しかし、期限を過ぎた場合でも手続きは可能で、2025年1月6日までに請求書が届くように提出すれば、2024年10月分からの支給が受けられます。
もし2025年1月6日までに請求書を提出できない場合は、請求した月の翌月分からの支給となるため、早めに手続きを行うことをおすすめします。
4.3 年金生活者支援給付金の申請は毎年度行わなければいけない?
年金生活者支援給付金請求書の手続きをすでに済ませている場合、基本的には2年目以降の手続きは必要ありません。
ただし、支給要件を満たさなくなり給付金が受け取れない場合は、再度請求手続きを行う必要があるため、その点には注意が必要です。
5. 理想の老後を実現するために
「年金生活者支援給付金」は、老後の経済的不安を軽減するために非常に有用な制度ですが、確かにそれだけでは十分とはいえない現状があります。
理想の老後生活を実現するためには、プラスアルファの収入源を確保するか、資産形成を今から進めることが重要です。
その方法の一つとして「私的年金」があります。これは、確定拠出年金や保険会社の個人年金保険などの選択肢があるでしょう。こういった運用商品は、銀行の預金に比べてリターンを得られる可能性があるため、効率的な資産増加を目指すことができます。
さらに、近年の物価上昇に対応するためには、NISAなどの非課税制度を活用し、預貯金だけでなく資産運用も検討したいところです。毎月の預金を積み立てる以外に、投資を通じて物価上昇に対抗できるお金の増やし方を模索することが、老後の備えにとって理想的です。
「年金生活者支援給付金」のような制度も上手く活用しつつ、自分に合った資産運用プランを取り入れて、少しずつでも理想の老後に近づける準備を始めてみましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内」
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書の見込額(月額)の記載箇所」
- 日本年金機構「手続きが遅れると年金生活者支援給付金は受け取れなくなりますか。」
川勝 隆登