2018年7月13日に行われた、UUUM株式会社2018年5月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料 質疑応答パートはこちら
スピーカー:UUUM株式会社 代表取締役CEO 鎌田和樹 氏
UUUM株式会社 取締役CFO 渡辺崇 氏
経営理念
鎌田和樹氏(以下、鎌田):ただいまご紹介にあずかりました、鎌田でございます。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。プレゼンの説明の関係で、座ったままで恐縮ではございますが、進めさせていただきたいと思います。資料について、あらためてじっくりとご説明できればと思っております。
まず冒頭に、弊社の経営理念を掲げさせていただいております。「セカイにコドモゴコロを」ということで、当社はYouTuberと呼ばれている動画クリエイターを多数抱えて、サポートする会社でございます。
そしてそこから、マネジメントだけではなくて、新しいビジネスならびにコンテンツ制作、次のエンタテインメントを作っていきたいというところから、この経営理念を掲げている次第でございます。
INDEX
続きまして、3ページ目以降です。こちらのINDEXに沿って、発表させていただきたいと考えております。
2018年5月期通期 業績ハイライト
5ページは、2018年5月期通期の業績ハイライトでございます。
いちばん左側から、売上高が117億円、粗利益が34億円、販管費が26億円、営業利益が7億1,700万円で、最終的な営業利益率では、6.1パーセントに着地いたしました。
ならびに、今年(2018年)の4月時点で修正計画を出させていただいたもの(18/5期 計画)に比べましても、増収することができました。
2018年5月期4Q業績ハイライト
続きまして、6ページ目です。(2018年5月期の)第4四半期のみのハイライトになりますが、売上高は37億円、営業利益は2億5,700万円です。昨年(2017年)時点では、期末投資や増床の費用といったものが第4四半期にかかっておりましたが、こちらも今期の第4四半期時点では、2億5,000万円の黒字で着地することができました。
売上高(四半期)推移
7ページ目は、各サービスごとの売上高の推移を、四半期ごとで開示させていただいております。こちらも、弊社の第4四半期は3月から5月ということで、世の中の繁忙期にちょうど当たることもあり、高い数値を出すことができました。
粗利益(四半期)推移
8ページ目は、粗利益の四半期推移です。こちらも、クォーター単位で初の10億円(の粗利益)を、第4四半期に達成することができました。
販管費(四半期)推移
続きまして、9ページ目です。
こちらも、四半期単位の販管費の内訳になっております。2018年5月期の第3四半期以降、先行して人件費を増加させております。各サービスごとに対して、やはり新規で人を投下していきたいというところから、採用を計画に前倒して進めているために、このような結果になっております。
営業利益(四半期)推移
10ページ目は、四半期単位での営業利益の推移です。ご説明させていただいたとおり、(2018年5月期)第4四半期は2億5,000万円の着地となりました。
四半期末の従業員数、臨時雇用人員数推移
11ページ目は、人件費に関わる部分として、人数計画(四半期末の従業員数、臨時雇用人員数推移)になっております。(2018年5月期)第3四半期以降、従業員数(役員含む)が200名を超えました。今(2018年5月期第4四半期)時点の従業員数のみでは、250名弱まで増えている状態でございます。
期末所属チャンネル数および3ヵ月合計動画再生回数推移
12ページ目です。弊社といたしましては、KPIの1つとして、動画の再生回数ならびに所属クリエイターのチャンネル登録数を掲げております。
2018年5月期の期末時点におきましても、3ヶ月累計の再生回数は94億回再生。ならびに、期末時点でのチャンネル数の推移につきましては、5,800チャンネルという数字を超えることができました。
チャンネル登録者数ランキング
13ページ目は、当社に所属する動画クリエイターの所有するチャンネル登録者数につきまして、登録者数総合ランキングのトップ10ならびに、国内のUUUMクリエイター登録者数ランキングのうち、トップ100まで(のチャンネル名)を表したものになっております。
左側(登録者数総合ランキング)でいきますと、トップ10のうちの(破線で囲まれた)8チャンネルを占めることができました。ならびに(右側の)トップ100の中でも、37チャンネルを占めております。
チャンネル登録者数別の所属クリエイターの数
ここからは、ちょうど私たちも上場して1年が締まったということで、もう少し細かいKPIをご説明できればと思っています。
15ページ目が、先ほど(のご説明で)も出てきたチャンネル登録者数(別の所属クリエイターの数)を、もうちょっと細かく分類させていただいたものになります。
チャンネル登録者を、10万人以上・50万人以上・100万人以上のグラフで表しております。また、(グラフの)濃い色が期末(2018年5月)時点、薄い色が1年前(2017年6月)の状態です。
それぞれの数字を見ていただくとおわかりのとおりで、例えば、10万人以上のチャンネル登録者数別の所属クリエイターの数が、1年間で86チャンネル増えました。それが、50万人以上だと18チャンネル(増えました)。100万人以上でも7チャンネル(の増加)ということで、すべてのチャンネルにおいていかに数字が増えたかということが、見てとれるのではないかと思います。
所属クリエイターの動画投稿本数の推移
これは(今まで)あまり開示していなかったのですが、よく聞かれる質問として、「月に、どれぐらいの動画を上げているんですか?」というご質問もありましたので、こちらを出させていただきました。
ちょうど1年前、2017年5月期時点の約23万本から、2018年5月期時点では約28万本ということで、月平均で23,000~24,000本近くの動画を投稿させていただいております。
所属クリエイターの動画視聴時間の推移
先ほど(月平均の動画投稿本数を)約23,000~24,000本と申し上げました。これも、ふだんあまり開示していないのですけれども、17ページ目では動画視聴時間について、四半期単位で出させていただきました。
1年前の2017年5月期の第4四半期の4.4億時間が、2018年5月期の第4四半期時点では6.3億時間。月平均に直すと約2.1億時間が、当社のクリエイターがアップした動画が見られている時間となっております。
タイアップ本数の推移
弊社の売上を見ていただいてもおわかりのとおり、主力事業である広告……いわゆるタイアップ動画の本数も、記載させていただいております。
昨年の2017年5月期時点では約1,800本だった動画が、この1年間(2018年5月期時点)で約6,600本まで推移させることができました。
カテゴリーでいいますと、トレンドである「ゲーム&アプリ」「化粧品」や、最近でいうと「食品」が、大きく進捗している状態でございます。
グッズ販売クリエイター数、販売個数の推移
続きまして、弊社の主力の、グッズ販売クリエイター数です。
左側のグラフが、実際にクリエイターの中でもグッズを出品・販売している数になっております。こちらも、1年前(2017年5月期)には82クリエイターだったものが(2018年5月期は)141クリエイターまで広がってきております。
ならびに(右側のグラフの)グッズ販売個数につきましても、(2017年5月期の)7.3万個から(2018年5月期は)11.8万個ということで、大きく進捗させることができました。
イベントの開催数と観客動員数の推移
続きまして、20ページ目には、イベントの開催数ならびに観客動員数を掲載させていただいております。
(イベント開催数は)2017年時点では12公演だったものが、2018年時点では21公演ということで、大きく進捗させることができました。
ならびに、観客動員数は(2017年時点の)25,000人から(2018年時点では)36,000人ということで、プラス44パーセントに進捗させることができました。
動画メディアの変化
ここからは、現在、弊社ならびにネット動画の置かれている業界の環境と、その中で当社がこれからどういった戦略を掲げ、事業を伸ばしていくかということを、ご説明できればと思っております。
まず、みなさんからしても「今さらか」ということもあるかもしれないのですけれども、左側(過去の動画エンターテインメント)を見てください。旧来、コンテンツを見るためのデバイスは、テレビの1つでした。
ここから、右側(現在の動画エンターテインメント)になりますけれども、動画エンターテインメントにおける環境といたしましては、テレビはもちろんのこと、さまざまなデバイスによって視聴することが可能になっています。
もちろん地上波や、それ以外にもオンラインを通してということで、繰り返しますけれども、いろいろな可能性が広がってきているということです。
現在の動画視聴時のデバイスおよびコンテンツの状況
こちらのスライドは、それ(動画視聴時のデバイスおよびコンテンツの状況)を、もう少し数字化させていただいたものになります。23ページ目の上段のグラフで見ますと、テレビが91パーセントと、パーセンテージとしてはまだ比較的高い維持率ではありますけれども、スマートフォン(47パーセント)・パソコン(46パーセント)・タブレット(18パーセント)となっております。やはり、オンラインコンテンツの広がりによって、動画を視聴するデバイスも多様化してきているということです。
ならびに、下段の視聴する動画コンテンツサービスについて(太枠で)囲ませていただいています。地上波テレビの民放・NHKさま含めて、引き続き高いパーセンテージではございますけれども、先ほどから申し上げているとおり、YouTubeのようなところでも、70パーセントと(なっております)。
たぶん、今の時点ではYouTubeを見ることについて、人々は、とくに「今からYouTubeを見るぞ」と意識しているのではなく、当たり前のプラットフォームとして位置付けされているんじゃないかということを、改めてお伝えしたいと思います。
テレビとオンライン動画の広告市場の違い
さらに、当社が上場した時にもお伝えさせていただいておりますけれども、テレビとオンライン動画広告の市場の違いを挙げさせていただいております。
まず、左側のグラフです。日本と米国の広告市場比較です。米国が18.5パーセントまで進捗している中で、日本はまだ7.1パーセントということで、ここがいかに伸びしろに繋がっていくかということが、わかるんじゃないかなと。
右側(のグラフ)は、サイバーエージェントさんが発表されているものになりますけれども、国内の動画広告市場と当社収益の推移を出させていただいています。まだまだこれが3,000億円(に迫っていく)というかたちで、高い成長率を保っていることから、(国内の)動画広告市場の成長とともに、当社の収益もさらに拡大していくと考えております。
動画メディアだけでなくインフルエンサーとして台頭
今までお伝えさせていただいた背景を踏まえて、「私たちはこう考えています」ということを、25ページ以降でお伝えできればと思っています。
私たちは常々、「動画クリエイター」「YouTuber」「インフルエンサー」という言葉を使わせていただいています。この25ページに掲げている「動画クリエイター」には、単純に動画を投稿するだけではなく、2つの要素があるのではないかということをお伝えさせていただきたい。
例えば、左側の「動画メディア」。常々、「個人がメディアになる時代だ」とお伝えさせていただいていますが、彼らが日常的に上げている動画ならびに、企業さんと一緒になって取り組ませていただいている動画。この一つひとつが、すでに「メディア」というかたちで確立されています。
右側(「インフルエンサー」)で言いますと、そういったものとはまた別で、「彼ら自体がインフルエンサーだ」ということです。動画を作ることだけではなく(スライドに)書いてありますとおり、グッズ販売・音楽活動・イベント開催など、彼ら個人としての活動も、現在は1つのビジネスになっていると考えております。
フィッシャーズの事例
具体的な例を、26ページ目に記載させていただいております。「フィッシャーズ」という、7人組のYouTubeクリエイターが存在しています。夏休みなどでは、彼らの動画の月間再生回数は、3億回ぐらいにまで広がっています。もちろん、先ほどの(ご説明の)とおりですけれど、それ(動画クリエイターが日常的に挙げている動画)1つがメディアになりますし、そこから企業さんとの取り組みも存在しています。
ただ、彼らはそれだけではなくて、(スライドの)右側のインフルエンサーとして(の存在でもあり)、そこからオリジナルグッズを製作したり、音楽番組へ出演したりしています。彼らが単独で、2,000人から7,000人(のファン)を呼べるようなイベントを開催したいということで、彼ら自体で1つのインフルエンサーとしての事業まで、確立ができている。こういったものが、背景としてございます。
過去と今後のエンタメビジネスの成功パターン
今言った事例を、もう少し「こういうことです」と(わかりやすく)置き換えたものが、27ページ目です。
(スライドの左側は)昔(過去のエンタメビジネス)であればということで、CD・グッズ(などの)各エンターテインメントビジネス。みなさんが「(それらを)成功させたい」ということであれば、やはりそれなりにテレビで露出して、その露出がイコールとして売上につながってくるという時代が存在していました。
ただ(スライドの)右側においてご説明したいこととしては、今お伝えした状況下で、必ずしもエンターテインメントビジネスが、テレビへの露出(を必要とする)ということではありません。
今後一番必要になってくるものは、事業規模・売上を伸ばしたいということであれば、いかにファンの数や熱量といったものを増やしていけるか。これが、売上にも比例してくるのではないかと思っております。
追加でお伝えしたいこととしては、「テレビがなくてもいいか」ということではなくて、今までとは違って、「テレビを介さずとも成功するエンターテインメントビジネス」が、今後は増えてくるのではないかということでございます。
当社の成長戦略
ここまでお伝えさせていただいた背景の中で、28ページ目をご覧ください。当社が(成長戦略として)掲げていくことは、シンプルに3つです。
1つ目は、クリエイターサポートを、さらによりよいものかつ広範囲なものに広げていきたいということです。
(2つ目は)単純な動画広告だけではなくて、エンタメ・ECなど、インフルエンサーを取り巻くさまざまな経済圏を拡大していきたい。
ならびに(3つ目は)「個人がメディア」とお伝えさせていただきましたけれども、それだけではなく、新しいメディア・コンテンツ制作(への挑戦)。こういったものに、取り組んでいきたい。
2019年5月期は、これらの3つ(の達成)を目指して、さらに取り組んでいきたいと考えています。
当社の成長基盤:「世界一個人クリエイターを大切にしていく」
29ページ目です。その中での最も大切な成長基盤である、クリエイター・YouTuber・インフルエンサーにおいて、当社は「世界で一番、個人クリエイターをサポートして、大切にしていく会社だ」ということを、さらに掲げさせていただき、これからも取り組んでいきたい。
ならびに、ここまで会社ができて大きくなる中で、なるべく自社でノウハウをためながら取り組んできました。ノウハウをためる部分につきましては、もう十分できたというところから、今後においては(スライドに)記載のとおりですけれども、各パートナー企業さんとの協業を積極的に行っていき、さらにクリエイターサポートのインフラとしての、圧倒的なNo.1を目指していきたいと考えています。
以上までを、当社の成長戦略と掲げさせていただいています。
中期的な営業利益イメージ
このグラフにつきましては、2018年の中間(決算)で発表させていただいたものになります。
やはりその(成長戦略を推進する)中で、先行投資が必要な部分も出てくると思いますし、目先の利益だけではなくて、この青い矢印の中長期的な成長を目指していきたい。そういった中から、営業利益率も改善させていきたいということを、お伝えさせていただいています。
ここまでが、今回の業績ハイライトと、当社の成長戦略のご説明になります。
2019年5月期業績見通し
32ページ目から、今期2019年5月期の見通しについて、お伝えさせていただきたいと考えています。
32ページ目になりますけれども、2019年5月期の業績見通しといたしまして、売上高で159億円、粗利益で45億4,400万円、販管費で36億9,400万円、営業利益で8億5,000万円を、当社では目指していきたいと考えています。
サービス別売上高見通し
各サービス別の売上等につきましては、33ページ目にあるとおりですので、ご覧いただければと思います。
既存のアドセンス・広告事業に比べて、それ以外のクリエイターサポート……いわゆるEC・イベント、もしくはオリジナルコンテンツの開発に対して、高い目標を掲げて取り組んでいきたいと考えています。
販管費の見通し
34ページ目の販管費の見通しについては、こちらに記載のとおりでございます。
当社の経営戦略
最後のページになりますけれども、当社の経営戦略です。今まで経営理念は存在していましたが、このたび、経営戦略を掲げさせていただきました。
一言で言うと、「もっとアソビナカマを」ということでございます。
当社は、やはりいろいろなことを考えていく中で、(最大の資産は)「人」だと。それは、もちろんクリエイターでもあり、社員でもあり、取引先さまでもあり、ユーザーでもあり……ということで、あらゆる部分で「人」というものに注力してきました。それは、これからも注力していきたいということを掲げています。
そういった中で、今までは「新しい体験を創造」と掲げてきましたけれども、当社と一緒になって取り組んでいただける仲間を増やしていきたいというところから、この「もっとアソビナカマを」を掲げさせていただきました。
簡単ではございますけれども、以上を決算説明とさせていただきたいと思います。
質疑応答:2019年5月期の売上高・粗利益・販管費について
質問者1:ご説明ありがとうございました。野村證券のカツキです。32ページ(2019年5月期業績見通し)について、おうかがいしたいんですけれども。質問は、大きく2点です。
1つ目は、粗利益の伸び率が33パーセントで、売上高の伸び率(35パーセント)より低いんですけれども、これはなぜですか? 背景を教えてください。これが1つ目です。
2つ目は、同じページの販管費なんですけれども。販管費の伸び率が37パーセントで、売上高の伸び率の35パーセントを上回っています。
この背景は、34ページ(販管費の見通し)にある人件費の伸び率が(48パーセントと)高いせいだと思うんですけれども、ここについて、さらに詳細な背景等を教えてください。質問は、以上の2つです。
渡辺崇氏(以下、渡辺):1点目について、お答えさせていただきます。1点目に関しては、「売上高の伸び率に比べて、粗利益の伸び率が低いのは(なぜか)?」というご質問かと思います。
基本的に、来期の収益構造自体は、引き続きアドセンス・タイアップ(広告)が中心ということで、あまり大きくは変わらないということで、粗利率はほぼ同じというところです。
唯一、少しマイナスに効いてくる部分といたしましては、自社のコンテンツのところで一部、新しく立ち上げるチャンネルなどにおいて、原価に対して、売上がまだ後から立ち上がってくる。
要は、チャンネルの再生回数が増えてきて、初めて損益分岐点を超えて粗利に貢献してくるといった性質のものがございますので、その分、粗利率が若干低くなるという状況でございます。お答えに、なっておりますでしょうか?
質問者1:ありがとうございました。
渡辺:併せて、2点目もお答えさせていただきます。「販管費の伸びが高いのはなぜか?」ということで、よろしいでしょうか?
「販管費は人件費が増えている(せいで増えている)」という、おっしゃるとおりの状況でございます。鎌田からご説明があったとおり、我々は引き続き、今後はいろいろなかたちで事業を伸ばしていきたいと思っております。
コアとしているのは、やはりクリエイターサポートの部分でございます。ここに関しては、ある程度労働集約的なところがあると考えておりますし、労働集約的な部分があるからこそ、他社とも差別化が図れて、ここまでのシェアが取れていると考えております。ここに関しては、引き続きリソースも投入していきたい。
ただ、その一方で前期(2018年5月期)も、もともと販管費が伸びる予定で、結果としても計画以上に増えている状況です。逆に言うと、売上高・粗利益も、計画を大きく超えることができました。
(2019年5月期は)販管費はかなり伸びる計画になっていますけれども、売上高・粗利益に関しては、少しコンサバに見えるところはあるかもしれませんが、結果としては、今お出ししている計画を、超えられるかたちに持っていきたいなと考えております。
質問者1:今のお答えの確認なんですけれども、販管費のほうは、かなり自分の意思でビジビリティーが高く計画できる。一方で売上については、ビジビリティーが販管費よりは低くて、上に振れる可能性もあるということですよね?
渡辺:そう捉えていただいても構いません。
質問者1:それと、今の2つのお答えは、30ページ(中期的な営業利益イメージ)の目先の売上成長と先行投資を優先して、その後の販管費の増加を抑制するという、そのイメージと沿ったご説明と捉えていいんですか?
渡辺:そうですね。今期に計画している販管費の中には、人件費も含めてですけれども、やはり我々が戦略的に投資していきたい分野も含まれておりますので、そういったものが先行的に、費用としては発生するかたちになっております。
それが、今期中に利益として返ってくるものもあれば、来期以降に返ってくるものもございます。ただ、それを含めても、今期の売上高・粗利益に関しては、より上を目指していきたいなと思っております。
質問者1:どうもありがとうございました。
質疑応答:組織の権限委譲の進捗は?
質問者2:エース経済研究所のサワダと申します。ご説明ありがとうございました。3点お願いいたします。まず1点目が、今期のご計画の中で、アドセンスの前提となる再生回数や単価のご想定を、どんなかたちで立て付けられているのかということです。
2点目が、前期にありました、「Google AdSense」の基準変更……ハードルが上がった部分についてなんですけれども。これは、収益に関しては若干のマイナスの影響だったと思うんですけれども。
その一方で、クリエイターの方の獲得ですとか、サポートの価値が上がっていくということは、以前ディスカッションさせていただいたことがありました。それが、実際はどうであったか。プラスに働く部分もあったのかということについて、コメントをお願いいたします。
3点目は、できましたら、鎌田社長にご回答いただきたいんですけれども。前期から、現場の組織の権限委譲をどんどん進めていらっしゃるということで、現時点での手応えと課題など、見えてきた部分がございましたら、コメントをお願いいたします。以上、3点になります。
鎌田:1点目は、ちょっと今調べていますので(お待ちいただいて)、2点目のYouTubeパートナープログラムの変更に伴った、クリエイター獲得のマイナス・プラスみたいなところで申し上げます。
おっしゃるとおり、確かに、収益化ができるクリエイターについて、一定の基準はできたことから、絶対数としては対象クリエイターが減っているということは、当たり前の回答としてございます。
2点目ですけれども、昨今いろいろなかたちで、動画にまつわる問題であったり、トラブル(が発生しております)。これは逆に言うと、ネットリテラシーが上がっていっているために、行われている部分も増えてきていると思うんですけれども。
そういった中から、私自身が考えているところとしては、最初からもう、ふるいにかけられている状態になっているなと捉えています。
そういった中では、クリエイターを獲得・スカウトすることに対しても(対象が)絞られているというところから、決してそこがマイナスなのかと言うと、より健全にビジネスを推進していくためには、むしろプラスに捉えています。それが、当社に与える影響としても軽微だということであり、むしろプラスに働く部分が、今後は大きくなってくるのかなと考えています。
3つ目にご質問いただいた、積極的な権限委譲につきまして(お答えしますと)、そもそも私自身がHIKAKINというYouTuberと出会い、この会社を作り、自身がマネジメントをやってきたところから、今日に至っている中で。
当然、僕自身がクリエイターと話せないことは、寂しいことであったりするんですけれども。そうは言っても、今は250人の社員と5,800チャンネルの中で、権限委譲を非常に積極的に進めていっています。
これは、当社が上場するときにも、「決して大企業にはならない」「大企業ベンチャーのままだ」と、お伝えさせていただいたとおりでございますので、決して現場のスピード感を落とすことなく、権限委譲を進めていっています。その点において、「現時点でネガティブなことがあるか?」について、既存事業においては、とくに何もございません。
私自身がやることとしては、次の事業をいかに作っていくかにつきまして、やはりトップダウンで風を吹かしていかなければいけないというところから、推進している状態でございます。
渡辺:1点目に関してですけれども、再生回数当たりの広告収益に関しましては、ほぼ横ばいで見ております。そのため、アドセンスの売上増は、ほぼ再生回数分だとお考えください。
質問者2:どうもありがとうございました。
質疑応答:「VTuber」の台頭をどう捉えている?
質問者3:3点ほど、お願いいたします。まず、数字のお話です。今期(2019年5月期)のアドセンスの売上高が、年間で88億円となっています。
(2018年5月期の)第4四半期で(売上が)22億円上がっているんですけども、(それに対して)4を掛けただけの数字に見えるんですけども。これは単に、保守的な見通しと考えていいのか、少し何か理由があるのか。そのあたりの考え方を教えてください。
渡辺:それでは、私からお答えさせていただきます。確認させていただきますと、7ページ目で(2018年5月期第4四半期の)アドセンスの売上が22億円になっているのに対して、(2019年5月期の)アドセンスの年間の売上高の計画が88億円で、「掛ける4は、コンサバ過ぎないか?」というご質問でよろしいでしょうか?
質問者3:はい。
渡辺:まず、そこに関してのお答えといたしましては、(動画の)再生回数に関しては、基本的には右肩上がりに上がっていくものですので、第4四半期の水準からは上がっていくと考えております。
ただ、一方で、再生回数あたりの収益に関しましては、こちらは季節性がございます。必ずしも、第4四半期の水準から右肩上がりに上がっていくかと言うと、第4四半期(3月から5月)が、季節性としては、再生回数あたりの広告収益が一番上がりやすい四半期になります。
逆に言うと、第1四半期・第2四半期・第3四半期は、季節性としてはそれよりも弱い四半期になりますので、一概に言うことはできないということで、「少しコンサバ(なのでは?)」と言われれば、コンサバかもしれませんけれども、必ずしもここから、アドセンスの収益は右肩上がりに上がるものではない。四半期単位では、変動があるのかなと考えております。
質問者3:一応、去年も右肩上がりにはなってきているんですけども。そこが、今回は違うという、何か特別な要因はないということですか?
渡辺:細かく見れば……例えば7ページ目を見ていただくと、去年も(2017年5月期の)第4四半期から(2018年5月期の)第1四半期は、一応QonQだと、少し売上が下がっているんです。なので、再生回数で言うと上がっているのですけれども、再生回数あたりの広告収益で言うと、四半期ごとの変動がございますので、そのあたりは多少加味していただいた方がいいかなと(考えております)。
質問者3:わかりました。それと、23ページの表に、YouTubeには年代別でどれぐらいのユーザーがいるのかが記載されているんですけども。UUUMさんの所属のクリエイターさんは、だいたいどんな層なのかというところはありますか?
そこにおいて、例えば、HIKAKINさんはだいたいどういうユーザーさんに受けていて、今後はもうちょっとそれを広げていく考えがあるとしたら、どういうことを考えなければいけないかとか。もし、そのあたりのアイディアがあったら、教えてください。
鎌田:それでは、僕からお答えさせていただきたいと思います。個別のクリエイター単位の視聴者属性は、出していないものになっているので、それは割愛させていただくのですけれども。
加重平均を取らせていただくと、「13歳から18歳」や「18歳から24歳」など、Googleアナリティクスの中にある一定の区分の中で、若年層男性が一番多いゾーンになっております。
ただ、逆に言うと、チャンネル単位では、女性がメイクをしている動画であれば(視聴者の)95パーセントが女性だったりとか、各チャンネル単位のコンテンツの内容によって変わってくるものです。一概には言えないというものがありつつも、加重平均を全体として取ると、一番(多いゾーン)は若年層男性となっております。
この若年層男性(が一番多いゾーンである)というものが、いいか悪いかみたいなことも言われますけども。結局のところ、テレビにつきましても、今は子どもたちが見なくなってきています。例えば、おもちゃにしてもゲームにしても、こういった子どもたちや、やはり若い人たちに見てもらいたいところに対して、今はアプローチする手段が、本当に減ってきています。その中で、私たちが重宝されていることが、1つのポジションとなっています。
次に狙いたいところで言いますと、やはり企業さまからしてみても、「ご年配の方が見てくれたときには、もっと広告単価が上がっていくのではないか」というところも、お話をいただいたりする中で、オリジナルコンテンツを、それこそ30代・40代の方向けに作らせていただくことも、チャレンジの1つとして、今は出させていただいている状態でございます。
質問者3:ありがとうございます。最後なんですけども、最近「VTuber(バーチャルYouTuber)」が出てきているんですけども。これについて、鎌田社長はどういう見方をされていて、今後、御社としてはどういうスタンスなのかを教えていただければと思います。
鎌田:必ず、いただく質問なのだろうなと想定していたのですけれども。おっしゃるとおり、日々1体以上みたいな(ペースで)、今は4,000体以上のバーチャルYouTuberが出てきています。おもしろいかたちで、顔出しをせずに、擬似体みたいに出てきたものです。
昔の顔出しをしていないゲーム実況者とか、手だけで商品を紹介している人たちも、「もしかして、こいつらもバーチャルYouTuberなのかな?」なんて、僕自身も思ったりするんですけれども。
いいことの1つとしては、それ(バーチャルYouTuber)をきっかけに、動画を見てくださっている人たちが増えているのは、確実だと思っています。まだまだ、「これが、当社として取り組むべき市場なのかな?」というところにつきましては、私たちも、だいたいの再生回数はトラッキングしていく中で(それでも)結局のところは、声優さんや技術といったところに、今のバーチャルYouTuberが依存していることは確かです。
これを僕たち自身が自社でやるのか、もしくは協業するのかというさまざまな選択肢の中では、まだ選んでいるのが正直なところで、それが何かしらのかたちで発表できるときになれば、速やかにお伝えしていきたいと考えています。
質問者3:ありがとうございました。