さて、そもそもなぜ、外国人労働者が必要なのでしょうか。各業界で足りなければ、高い賃金を提示して他の業界から労働力を奪ってくれば良いだけです。その分だけ売値を上げれば、日銀の目指す「マイルドなインフレの国」ができるはずです。

論者によっては、「日本は人口が減っていくので、経済力が維持できない。その分を外国人労働力で補うべきだ」という人もいるようですが、それは賛同できません。重要なのは日本のGDPではなく、日本人1人当たりのGDPなのですから。

たとえば、100年後には日本の人口が3分の1になったとします。日本のGDPを守るには、残り3分の2は外国人で補充する必要があります。そうなると、日本列島に住む人の3分の2は外国人ということになります。そんな日本列島を我々は本当に望ましいと考えているのでしょうか。

慎重な判断が求められる分岐点に我々は立っているのだと思います。

なお、本稿は厳密性よりも理解しやすさを重視しているため、細部が事実と異なる可能性があります。ご了承ください。

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塚崎 公義