3. 岸田総理率いる知財戦略本部が描くアニメ戦略

内閣知的財産戦略本部(本部長:岸田総理)の資料「新たなクールジャパン戦略(2024年6月4日)」によればアニメの海外展開は2022年で約1.5兆円と好調であるものの、慢性的な人材不足を課題として挙げている。

また、海外プラットフォーマーとの優越的な交渉を強いられるケースがあることもアニメ分野の課題として挙げられており、ビジネスサイドの強化が今後のアニメ業界の成否にも関わってきそうだ。

政府は「日本発のコンテンツの海外市場規模を、2033年までに20兆円とすることを目標値として設定する」とし、その中間目標として2028年までの10兆円規模を目指している。

また、対応方針・今後の取組として下記を掲げている。

  1. 基幹産業として、海外展開に関するデータを充実させ、PDCAサイクルを高速に回す
  2. 海外へのビジネス展開力を高める
  3. デジタル・ビジネスに対応した構造改革を進める
  4. コンテンツ産業を支える人材を強化する
  5. 官民一体となって海賊版対策を強化する
  6. 官民の連携体制を強化する

なおアニメのほかは、ゲームの海外展開が2.8兆円、マンガは3200億円、実写(映画/ドラマ/ファクチュアル)は1300億円となっており、今後のアニメ業界の海外での成否が目標達成のカギとなることは間違いなさそうだ。

4. まとめ

今回は帝国データバンク発表の資料「『アニメ制作市場』動向調査2024」から今のアニメ業界の現在地をお伝えするとともに、内閣知的財産戦略本部の資料「新たなクールジャパン戦略」から国の描くアニメ戦略を紹介した。

もはや一大輸出産業となりつつあるコンテンツ産業において1.5兆円の海外インパクトを誇るアニメ産業だが、人材不足をはじめとする困難な課題も山積みだ。

さらなる成長には官民が一体となって過酷な労働環境の改善などに取り組む必要があると言えるだろう。

参考資料

LIMO編集部