3. 政府税調での議論内容

2024年5月13日に行われた「第2回税制調査会」の議論要旨は、以下のとおりです。

  • 配偶者控除が適用されるよう年収を調整することで、労働することや労働力を抑制していないか。
  • 女性の社会進出が進んだ現代において、年収の壁をつくるような税制は納税者への公平性が保たれているのか。
  • 税制上すでに年収の壁がなかったとしても、制度があることで「短く働くことがいいことだ」という雰囲気をつくってしまったように思う。個人所得課税の配偶者控除、特別扶養控除が本当に現代でも役割を果たしているのか考えるべきではないか。

いわゆる「年収の壁」や税控除制度が、働く意欲を削ぐものになっていないか、女性の社会進出が進んだ現代においてふさわしい制度か、といった問題提起がされました。

政府としても、パートやアルバイトの人が年収の壁を意識せずに働ける環境を後押しする「年収の壁・支援強化パッケージ」を打ち出しています。

年収の壁・支援強化パッケージ

年収の壁・支援強化パッケージ

出所:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」

配偶者控除の制度が、時代に沿うものとして機能しているかどうか、今一度見直すべきときが来ているのかもしれません。

これを踏まえて、次章からは配偶者控除や税制についての今後の展望を解説します。