止まらぬ物価が私たちの家計を圧迫し続けるいま。2024年6月、岸田総理は物価高騰による生活負担軽減のため、年金世帯や低所得世帯への追加給付金支援を検討していることを発表しました。
物価高から守る「二段構え」の対応のうち、第二段として策定されるものです。
「酷暑乗り切り緊急支援」によるガス・電気料金補助や、住民税非課税世帯等に対する10万円の給付など、現在進行中の各種支援策がしばしば話題となるこんにち。
2019年にスタートしている「年金生活者支援給付金」という国の支援策があることを知っていましたか?公的年金の収入金額やその他の所得が一定基準以下の高齢者や、障碍者の方々を対象に、基礎年金にプラスして給付金が支給される制度です。
2024年9月から本制度に新たに該当する方々へ請求書の送付が始まります。給付金を受け取るためには請求書の提出が必須となっていますので、注意が必要です。
本記事では「年金生活者支援給付金」について、その概要、支給要件、給付額について解説します。
1. 【年金生活者支援給付金】支給要件を解説!
年金生活者支援給付金は、「老齢年金・障害年金・遺族年金」の受給者のうち、前年の所得などの要件を満たす人が対象となります。
1.1 老齢年金:年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が87万8900円以下※2
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まない
※2 77万8900円超87万8900円以下の場合は「補足的老齢年金生活者支援給付金」を支給
1.2 障害年金:年金生活者支援給付金の支給要件
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得※1が472万1000円※2以下
※1 障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
※2 扶養親族等の数に応じて増額
1.3 遺族年金:年金生活者支援給付金の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得※1が472万1000円※2以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
※2 扶養親族等の数に応じて増額
老齢年金、障害年金、遺族年金、それぞれの支給要件を確認したところで、次で「給付水準」についても確認しましょう。
2. 請求しないともらえない【年金生活者支援給付金】給付基準額を整理!
日本年金機構のホームページによると、2024年度の年金生活者支援給付金の給付基準額は下記の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5310円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6638円・2級5310円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5310円
老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5310円です。ただし、保険料納付済期間をもとに計算されるので、実際に受け取れる金額は人それぞれです。
障害年金生活者支援給付金の場合、障害等級により基準額が異なります。遺族年金生活者支援給付金の場合、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合、上記の基準額を子の数で割った金額が受け取れます。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算方法
月額5310円を基準に保険料納付済期間等に応じて算出。
下記①と②の合計額となります。
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間※1 / 被保険者月数480月※3
- ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円※2 × 保険料免除期間※1 / 被保険者月数480月※3
なお、年金生活者支援給付金を受給することにより、所得が受給要件の金額を超えることのないよう下記の措置がとられています。
- 前年の年金収入額とその他の所得額の合計が77万8900円超87万8900円以下の方には、①に一定割合を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金」を支給
基礎年金の保険料を480月全て納付していた場合には、月額5310円、年額で6万3720円の生活者支援給付金が支給されることになります。
※1:保険料納付済期間等は、年金証書や支給金額変更通知書等でご確認ください。
※2:保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。
- 昭和31年4月2日以後生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については1万1333円(老齢基礎年金満額(月額)の1/6)、保険料1/4免除期間については5666円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)
- 昭和31年4月1日以前生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については1万1301円(老齢基礎年金満額(月額)の 1/6)、保険料1/4免除期間については5650円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)
※3:大正6年4月1日以前に生まれた方、大正6年4月2日~昭和16年4月1日までの間に生まれた方は、被保険者月数が異なります。詳しくは日本年金機構のホームページをご確認ください。
3. 《令和のシニア》国民年金・厚生年金をいくらもらっている?
最後に、厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、老齢年金の平均受給額がどれくらいかを確認しておきましょう。
まずは国民年金から。
3.1 《令和のシニア》国民年金をいくらもらっている?
〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金の平均月額は、男女全体、男女ともに5万円台ですね。男女全体の平均である月額5万6316円を受け取れた場合、年額では67万5792円です。
年金以外の収入がない場合、65歳以上ならば老齢年金生活者支援給付金の対象となります。
次では厚生年金についても見てみましょう。
3.2 《令和のシニア》厚生年金をいくらもらっている?
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※ここで紹介する厚生年金の受給額には、国民年金の月額部分が含まれています。
厚生年金は、国民年金に上乗せして加入する仕組み上、国民年金より受給額が高くなるのが一般的です。
ただし、厚生年金は年金加入期間や年収により決定するため、個人で受給額が大きく異なります。
厚生年金への加入期間が短い、国民年金の保険料納付月数が少ないといった場合には、年金受給額が少なく生活者支援給付金の対象となる可能性もあるでしょう。
4. 年金だけでは不安?資産を上手に「守り・育てていく」ために
物価上昇が続くいま、年金生活者支援給付金制度を始めとする各種制度は、年金世帯にとっては頼りになる支援であると言えます。そして公的年金は、多くの世帯の老後の暮らしを支える柱といってよいでしょう。
その一方で、年金や給付金の実質的価値は、インフレにより目減りする可能性もあります。また、平均寿命の延びに伴い、リタイア後の人生は長くなっています。
資産運用を活用することでインフレリスク、そして長生きリスクに対応しながら、資産を上手に守り・育てていく視点を持つ好機であるとも言えそうです。
複数の資産に分散投資することでリスク軽減を図ったり、経済状況やライフスタイルの変化に合わせてポートフォリオを定期的に見直しすることも大切です。
5. 【年金生活者支援給付金】新たに対象となる人は請求手続き必須!
今回は、「年金生活者支援給付金」の支給要件や給付額を整理してお伝えしたあと、今のシニア世代が受け取る年金額についても見てきました。
新たに年金生活者支援給付金の対象となる人には、9月ごろから「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきます。
この給付金は公的年金同様、請求手続きをしないと支給されないお金です。新たに対象となる人には、9月以降順次請求書が届きますので、必ず手続きしましょう。
また、すでに年金生活者支援給付金を受け取っている人は、新たに手続きをする必要はありません。
6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
6.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
6.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
6.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。





