3. 主婦年金(第3号被保険者)が廃止されたら負担はいくらに?
現在、主婦年金に加入している人は、原則として年金保険料の負担なく国民年金を受給することができます。
仮に今後、主婦年金(第3号被保険者)が廃止された場合、国民年金の保険料を納付する必要が出てきます。
令和6年度の国民年金の保険料は月に1万6980円で、前納せずに毎月納付した場合は1年で20万3760円となります。
つまり、主婦年金が廃止された場合、約20万円の国民年金の負担額が増えることになるのです。
元々は負担がなかった保険料が、約20万円の負担になる可能性があることから、該当世帯は「専業主婦を辞めて働く」「年収の壁を意識せずに働く」などの検討が必要になるかもしれません。
4. 主婦年金(第3号被保険者)の廃止予定はもう決まっている?
主婦年金(第3号被保険者制度)が廃止された場合、対象者は年間約20万円の保険料負担が増える可能性がありますが、具体的な廃止予定日は決まっているのでしょうか。
結論からお伝えすると、主婦年金(第3号被保険者制度)の廃止はまだ決まっておらず、あくまで現在は「第3号被保険者制度の在り方について」を検討している段階です。
この制度の見直しをめぐっては、以下のような配慮が必要との意見があり、慎重に議論が進められています。
- 育児や介護、健康上の理由で就業に制約がある人への配慮
- 主婦年金制度を前提に生活設計をしてきた人への配慮
現状すぐに主婦年金が廃止されるという動きは見られず、主婦年金の対象を「育児や介護を理由に就業の制約を受ける人に限定する」といった縮小案が検討されています。
5. 年金制度の改正についての最新情報を確認しておこう
本記事では、現在分かっている「主婦年金(第3号被保険者)の廃止案」について詳しく紹介していきました。
今回は、現在検討されている「主婦年金の廃止案」について解説しましたが、政府は年金改正に向けて「加給年金」や「障害年金」などの議論も進めています。
年金の改正は、私たちの老後生活に直結する重大なものとなっているため、しっかりとアンテナをはって年金改正の情報を確認しておけると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点2」
- 厚生労働省「令和5年版厚生労働白書」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「た行 第3号被保険者」
- 厚生労働省「第3号被保険者制度について」
- 政府広報オンライン「会社員などの配偶者に扶養されている方、扶養されていた方(主婦・主夫)へ 知っておきたい「年金」の手続」
- 財務省「国民負担率(対国民所得比)の推移」
- 厚生労働省「社会保障給付費の推移」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
和田 直子