現在多くの学校で、名簿は男女別ではなく混合で作られるようになっているそうです。ランドセルを見ても、男の子の色として認識されていた青や水色を持っている女の子も今ではたくさんいます。性差のない環境で育った子は選択肢が多くなるという説もありますが、ジェンダーレスな子育てについて考えたとき、思っていたよりも難しいことにも気がつきました。
「○○だから」という言葉の刃
子育てをしていると、よくこんなことを言われます。
「新幹線が好きなの? 男の子だもんね」
「男の子なのにおままごとが好きなんだね」
「男の子なんだから転んでも泣かないのよ」
「男の子だからよく熱を出して大変でしょう?」
「少しぐらい日焼けしても大丈夫よ、男の子だから」
女の子を持つママは、よくこう言われるそうです。
「ママのお手伝いしてえらいね! 女の子だもんね」
「女の子だからよくおしゃべりするでしょう?」
「女の子なのにそんな言葉使わないの」
私自身このような声掛けが子どもの頃からあまり好きではなく、言われるたびに本音では嫌な気持ちになっています。
私がこのことに関して初めて強い違和感を抱いたのは、小学生のときでした。両親や兄と祖父母の家を訪れたとき、帰り際に「女の子なんだからきちんとした挨拶をしなさい」と言われました。そのとき「挨拶をしなければいけないのはわかるけど、なんで女の子だけなの?」と反発したことを覚えています。
私だけではなく、なにげない「○○だから」の言葉に傷つけられている人も、たくさんいるかもしれませんね。
2歳頃から自分の性別を認識するように
息子が2歳の頃、「○○くんは、おちんちんがある」と自分の体を指して言うようになりました。そこで「ばーばにはあるかな?」と聞くと、「ない」と。「じーじにはあるかな?」と聞くと、「ある!」と答えていました。そこで気になったのは、どこで性別を判断しているのだろう?ということです。髪が短いから男の子? スカートだから女の子?
しかし、息子には髪の長い男の子の友達がいますが、その子のことを女の子だとは思っていません。ばーばも髪が短くパンツスタイルばかりですが、息子は女性であると認識しているようです。なんとなく性別の違いを感じ取ってはいるものの、髪型や服装では判断していないのかな?と感じました。
避けては通れない性教育
将来息子は、今は本能的に嗅ぎ分けている男女の差を具体的に認識するようになるでしょう。成長期を迎えるとホルモンの関係で体に大きな差が出てきますし、私も“性による体のつくりの違い”は、きちんと子どもに教えなければならないと思っています。
しかし、あくまでも違うのは“体のつくり・機能”だということを自分の言葉できちんと伝えられるのか、あまり自信はありません。なぜなら、近年ジェンダーレスという言葉をよく耳にするようになりましたが、いざ息子が「じゃぁ僕もスカートはいていい?」とか「髪をのばして三つ編みにしたい」と言い出したとき、「そうよね!素敵だよね」と快く賛成してあげられるのかを考えると、正直言って自信がないのです。
これまで我が家では息子にパンツしかはかせたことがありませんが、女の子だったらスカートやワンピースもたくさん与えていたでしょう。幼い息子がスカートや三つ編みに興味を抱いたとき、その子の意思を尊重して堂々と認めてあげられる親には、まだ私はなれていないのです。
「男の子だから」という言葉を嫌いつつも、結局我が子には男の子らしさを求めてしまっているのかもしれません。
体の違いを上手に教えてくれる絵本
みなさんは『おんなのこってなあに? おとこのこってなあに?』という本をご存じでしょうか?
いろんな国の子どもたちの写真とともに、「かみがながいのがおんなのこ?」や「ズボンをはいているのが男の子?」などの問いかけがされる絵本です。裸の男女の写真とともに、体のつくりについての説明もあります。髪型や服装だけでは性別を判断できないこと、あくまでも体のつくりが違うということだけを教えてくれているのです。
この絵本を読み聞かせることによって親子で性について話すきっかけも作れますし、男女の違いをシンプルにわかりやすく説明することもできるかもしれません。私は未熟なので、この絵本に頼りつつ「男の子だから」という言葉を発しないようにすることから気をつけてみようと思っています。
あなたは男の子のスカートを許容できる?
男の子らしさ・女の子らしさよりも、自分らしさを求める人が増えている現代。スカートをはいている男の子や坊主頭の女の子を見たとき、その子の個性だから気にならないという人もいれば、少し心配になる人もまだまだいるようです。違和感を覚えつつも口には出さないだけというスタンスの人もいるでしょう。反対に、「男の子だから・女の子だから」の考えに賛成の人もいるかもしれませんね。みなさんは、どう思いますか?
***投信1はLIMOに変わりました***
桜井 まどか