5. 【国民年金と厚生年金】だけで暮らす高齢者は41.7%のみ
2024年7月に公表された厚生労働省「2023(令和5年) 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金のみで生活する高齢者世帯は、わずか41.7%となっています。
つまり、高齢者世帯の約6割は年金だけで生活できていないのです。
このような事実に触れたとき、「やっぱり年金だけで生活できる人は少ないよね」と納得する方と、「年金だけで生活できないならどうすればいいの?」と焦る方に分かれます。
老後について深く考えてこなかった方は、年金以外の資産が必要であるという事実に驚くものですが、一時は「老後2000万円問題」が話題になったこともあり、漠然と考えていたという方も多いでしょう。
6. まとめにかえて
今回は、60歳代、70歳代、80歳代のそれぞれの年金支給額を見ていきました。
国民年金の全体の平均月額は5万6316円、厚生年金の全体の平均月額は14万3973円です。なお、日本年金機構が発表した2024年4月からの夫婦二人分の厚生年金(老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は23万483円でした。
実際にこの金額をみて、ゆとりある老後生活が過ごせると思う方は少ないでしょう。
岸田総理は6月21日の会見で、年金生活世帯等を対象に、追加で給付金を支給することも述べました。岸田総理大臣の後任を選ぶ総裁選挙に注目が集まっていますが、こちらの給付金の動向も気になるところです。
給付金だけではなく、国は老後資金の準備の方法として、新NISAやiDeCoなどを活用できるよう制度化しています。また以前から老後の準備の方法として個人年金などもあります。
まずは年金がいくらもらえるのか「ねんきん定期便」をみて確認してみましょう。そして、足りない部分を補うため準備を始めることが大切です。
人生の三大資金、教育、住宅、老後のうち唯一ローンが組めないものが老後資金です。早めの準備を心掛けましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 観光庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」
- 厚生労働省「2023(令和5年) 国民生活基礎調査の概況」
渡邉 珠紀