2. 現行の制度には男女間格差がある

さて、現行制度においては、子どもがいない世帯における、受給権について男女格差があります。端的にいうと男性が配偶者のときより、女性が配偶者のときの方が有利な制度設計となっているのです。

女性の場合は、30歳未満でも5年間の有期給付が受けられます。さらに、30歳以上の場合は終身で年金を受け取れる制度となっています。これに対して、男性は働いて生計を立てられるとの前提から、55歳未満では受給権が発生しません。

このほかに、女性(妻)は40歳~65歳未満で夫と死別したときに「中高齢寡婦加算」を受けられます。具体的には年額61万2000円が受給額に加算されます。近年は女性の社会進出が進んでいるなか、時代にそぐわない制度となりつつあるのです。

ちなみに、子どもがいる世帯については、現行でも男女間格差はありません。20歳代~50歳代の世帯において、子どもが18歳に到達する年度末まで、性別にかかわらず遺族厚生年金を受け取れます。

【写真1枚目/全3枚】遺族年金の現行制度/改正後はどう変わる?次ペー ジ以降で改正後の遺族年金イメージを紹介

遺族年金の現行制度

出所:厚生労働省「20代から50代に死別した子のない配偶者の遺族厚生年金の見直し(イメージ)」