3. 56%の年金受給世帯が「年金だけでは生活できない」
厚生労働省年金局が発表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均受給額は以下の通りです。
老齢厚生年金が14万3973円、老齢基礎年金が5万6316円です。なお、老齢厚生年金には老齢基礎年金額が含まれています。
夫婦それぞれの現役時代の職業などにより、公的年金の受給額の目安は、以下のように3つ組み合わせが考えられます。
3.1 【1.夫と妻がともに会社員や公務員】
夫の老齢厚生年金が16万3875円で、妻の老齢厚生年金が10万4878円で、夫婦で合計26万8753円
3.2 【2.夫:会社員や公務員、妻:専業主婦または扶養の範囲内でのパート】
夫の老齢厚生年金が16万3875円で、妻の老齢基礎年金が5万4426円で、夫婦で21万8301円
3.3 【3.夫婦共に自営業や個人事業主など】
夫の老齢基礎年金が5万8798円、妻の老齢基礎年金が5万4426円で、夫婦で11万3224円
こういった年金額で、公的年金だけで生活費をカバーできているのか気になるところです。
厚生労働省「2022(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金を受給している高齢者世帯のうち、公的年金だけで生活費を支払えているのは41.7%という結果が出ています。
3.4 高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合
- 公的年金・恩給の割合が総所得の100%:41.7%
- 公的年金・恩給の割合が総所得の80~100%未満:17.9%
- 公的年金・恩給の割合が総所得の60~80%未満:13.9%
- 公的年金・恩給の割合が総所得の40~60%未満:13.2%
- 公的年金・恩給の割合が総所得の20~40%未満:9.3%
- 公的年金・恩給の割合が総所得の20%未満:4.0%
58.3%の世帯は、働いて収入を得たり不動産からの収入を得たりと、年金以外からの収入で補填しているようです。
4. まとめにかえて
年金生活世帯向けに、追加給付金の支給が検討されることになりました。
いつ・どのくらいの金額が支給されるのか、詳細はまだ未定なため、今後の政府からの発表を待ちましょう。
8月から10月の電気代・ガス代補助と合わせて、年金生活世帯や低所得者などの生活に少しでもゆとりが出ることを期待したいところです。
参考資料
- 首相官邸ホームページ「令和6年6月21日 岸田内閣総理大臣記者会見」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
木内 菜穂子